家計のダウンサイジング(65歳夫婦、年金計24万円の場合)
定年後30年で1980万円の赤字に! 横山光昭氏に聞く“老後破産しない”家計術〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171026-00000098-sasahi-life
AERA dot. 11/6(月) 7:00配信
老後のお金に不安を抱く人は多いが、「何とかなる」と楽観的になっている人も少なくない。しかし、特に備えをしなくても問題がなかった親世代と異なり、現役世代の老後生活は、ちょっとしたことで“破産”に転落してしまうリスクがある。ゆとりある老後のために、何を準備すべきなのか。Reライフマガジン「ゆとりら秋冬号」の特集「安心老後をむかえるお金術」で、家計再生コンサルタントの横山光昭氏に取材した。
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「年金と退職金で悠々自適の生活が送れた老後は、残念ながらこれからはありません。自分の老後は自分で備える必要があります」と家計再生コンサルタントの横山光昭さんは指摘します。現役時代に人並みの給料をもらい、特に贅沢やムダ遣いもしないで普通の暮らしをしていたからといって、この先、“普通の老後”が約束されているわけではないようです。
日本人の平均寿命は、男性80.98歳、女性87.14歳で、この先も延び続けることが予測されます。人生90年時代です。65歳定年とすると、定年後の人生が、あと25年。人生の4分の1以上が定年後に待っています。
老後資金の柱となるのは、やはり年金。公的年金には、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」があります。20歳以上60歳未満のすべての人に、「国民年金」の加入が義務づけられ、それに加えて会社員や公務員は「厚生年金」に加入します。定年まで夫婦共働きなら、国民年金に上乗せされる厚生年金の支給額が多くなりますが、結婚後、妻が退職した場合には、妻の厚生年金はあまり期待できません。
実際、総務省の調べによると、平均的な高齢夫婦無職世帯の家計は、収入(おもに公的年金)よりも生活費の方が多く、毎月約5万5000円の赤字。30年間では1980万円の不足になります。
さらに、少子高齢化に伴い年金財政が年々厳しくなってきているのが現状。年金は減ることはあっても、増えることはないといえます。
■固定費の削減が重要
老後は収入が減った分、“家計のダウンサイジング”をする必要があります。ポイントは、保険料など固定費を見直す、支出の優先順位を決める、小遣いは減らさない、の3点です。
「毎月決まった金額が出ていく固定費を見直すことは、家計のダウンサイジング効果が大きいです。30代のときに入った保険がそのままになっていたら要チェック。子どもが独立している場合には、基本的には死亡保障は必要ありません。スマホ代は「大手通信会社から格安SIMに替えると、大幅に削減できます。当たり前のように払っていた出費を、もっと安い方法はないかと調べてみることが大事です」(横山さん)
その他の支出も、“いままで通り”にこだわっていては、減額するのが難しくなります。食費は「その日食べたいものを買う」から「週予算を決めて、予算内でやりくりする」に。被服費はファストファッションも利用するなど、いままでのやり方を見直してみましょう。車は1カ月に2、3回程度しか使用しないなら、「車を持たない生活」を検討してもいいかもしれません。ただし、節約は続けてこそ効果があります。無理しすぎてストレスをためてしまうと、ムダ遣いに走ることも。自分のペースですすめることが大事です。
横山光昭/家計再生コンサルタント。独自の貯金プログラムで、これまでに1万人以上の赤字家計を再生。おもな著書に『節約の9割は逆効果』(朝日新聞出版)など
(文/村越克子)