夫婦入居を希望する人は、諸条件を事前に施設へ確認しよう(イラスト/市川彰子)
夫婦で高齢者ホーム入居「費用は2倍?」「一方が亡くなったら?」 プロが解説〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171024-00000057-sasahi-life
AERA dot. 10/30(月) 7:00配信
生活に困ることが増えて、これからの自宅暮らしに不安…という夫婦には、「一緒に高齢者施設に入居する」という選択肢もある。発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、そんな夫婦入居にまつわるさまざまな疑問に回答する。
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Q:そもそも夫婦で入居できるの?
A:有料老人ホームやサ高住は可能
有料老人ホーム、サ高住、ケアハウスには夫婦で入れる二人入居向けの広い居室を用意しているところがある。自立同士の場合は問題なく同室入居できるが、一方もしくは二人とも介護が必要な場合、同室には入居ができない場合もあるので注意。
また、二人入居向けの居室は数自体が少なく、希望する施設にあるとは限らないので、同じ施設に夫婦別室で入居するという方法も。
Q:夫婦で入居するメリットは?
A:一人になっても日常生活に困らない
自立同士で同室入居する場合、お互いが身元保証人となり、特別に身元保証人を立てずとも入居できることが多い。また、もし一人が亡くなった場合も、食事に困ることなく、スタッフがケアもしてくれるため、生活に困らず暮らし続けられる。
Q:夫婦で年齢や介護度が違っても入居できる?
A:年齢が高いほう、要介護度が高いほうに合わせて施設選びを
施設ごとに入居の年齢条件が設定されているが、「夫婦の場合はどちらかがその年齢を超えていればよい」という施設が多い。
二人とも介護が必要だけれど介護度が違う場合、介護者向けの施設であれば夫婦で入居できる。夫婦のどちらかだけが介護が必要で、もう一方が自立の場合、要支援など介護度が低ければ自立向けの居室に入れるところが多い。
しかし、自立と要介護4など、介護度に差がありすぎると同室入居は難しい場合もある。いずれにせよ、事前に施設に確認をして選ぶ必要がある。
Q:夫婦入居の場合、お金はどうなる?
A:夫婦同室なら割安に
夫婦でも別々の部屋に入居を希望する場合、単身で入居する人が1人1部屋分を使用するのと同じ費用が、それぞれに必要になる。一方、同じ部屋に入居する場合は居室の面積が広くなるぶん家賃は当然高くなる。管理費は2倍ではなく1.5倍くらいのところが多い。また、有料老人ホームの場合は追加入居金を支払う場合が多いので注意(サ高住は不要)。
なお、当初は夫婦同室で入居したけれど、どちらかの要介護度が重くなって別の部屋に移らなければならなくなったときの費用負担は施設によって異なるので、事前に確認しておきたい。
Q:夫婦の介護度が入居後に変わったら?
A:別室に移らなければならないことも
ケアハウスや一部の有料老人ホームなど、「自立」を入居の条件としている施設では、入居した後にどちらかが介護が必要になると、同室で生活を続けるのが難しくなることがある。
一方、介護サービスを受けられる「介護型」あるいは「自立・介護混合型」の施設では、夫婦どちらかの要介護度が高くなっても住み続けることができる。ただし介護サービスの提供の面から夫婦で介護度があまりに違ってくると、同じ部屋で暮らすことができなくなる可能性もある。たとえ同室で一緒に過ごせる場合でも、病気の相手を気遣い、頻繁に介護スタッフが出入りするなどして、元気な方まで疲弊してしまうケースも少なくない。個室が確保できる間取りを選んでおくといいだろう。
入居後の要介護度の重症化は、遅かれ早かれ直面する問題なので、施設側にどのような対応をしてもらえるのかを確認するだけでなく、自分たちはどうしたいのか、夫婦で話し合っておくことが大切だ。
Q:一方が亡くなったら退去しないといけない?
A:一人になってもそのまま暮らし続けることができる
高齢者向け住宅の夫婦入居でどちらかが先に亡くなるのはごく当たり前のこと。一人になっても退去させられることはなく、夫婦で暮らしていた居室をそのまま利用できることが多い。ただし施設によっては一人部屋への移動を勧められることも。部屋が広いぶん家賃が高いので、入居者自身が希望して移るケースもある。配偶者が亡くなったときはどうなるのか、施設側に確認しておくと安心だ。
監修/米沢なな子(高齢者住宅情報センター 大阪センター長)
(文/熊谷わこ)
※週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018 プロに教わるやすらぎの選びかた」から