ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちー「教育無償化もいいが、先生の待遇改善の考慮も」〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171005-00000055-sasahi-bus_all
AERA 2017年10月9日号
経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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ついに解散・総選挙となりました。何のための解散なのか皆目見当がつきませんが、自民党の公約の中には幼児教育の無償化などを消費税増税で賄う、などというのがあるようです。しかし、前から言っていますが、日本の財政は破綻の危機などになく、むしろ、資産超過なのであって、わざわざ消費税増税で対処する必要は全くない。地方にばらまいているつまらない補助金を整理すればその程度の金はいくらでも出てくるはずです。こちらを検討せずにすぐ消費税増税とするのはいかにも「悪手」です。
しかしながら、教育に投資をするのは広く国民にプラスになるという面では正しい選択です。アメリカでは様々な分析が出ているのですが、先進国においては教育こそが唯一成長に資することができる投資だと言われます。教育水準が上がれば上がるほどその都市の収入が上がり、あらゆる職業の年収が増えることはよく知られています。教育の充実という方向性は決して間違っていません。
ついでに申し上げますと、小学校の先生たちの待遇改善もぜひ考慮してもらいたい。
正直、あの職場は「ブラック企業」どころではありません。朝から夜遅くまでテストの採点、学校の事務手続き、さらには親への対応などに追われ、土日も様々な行事でほぼ潰れてしまいます。しかも、残業代、休日出勤手当などは一切なし。夏休みといっても交代で学校に行き、ひどい労働環境と言えます。先生一人一人の、子どもがかわいい、という善意のみが頼りなのです。このあたりの実情はどれだけ伝わっているのか……。教育に携わる先生の待遇改善は、特に小学校では急務ではないでしょうか。
親も良くない。学校は勉強を教える場所です。最低限のルールを守る、人に迷惑をかけないなどの躾は家庭でやるべきでしょう。それを学校任せにする親が大勢いるために教師の負担は増えるばかり。学校がやることをミニマムにすることも考える必要があります。このままいったら、小学校教育そのものが崩壊する危険があることを指摘しておきたいと思います。そのためには政治もそうですが、親の対応も変わる必要があり、せっかく議論が出てきたところなので、みなさまにも積極的に考えていただきたいと思っています。