アイデンティティ政治はホロコーストを引き起こすのか?
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2017年9月26日 マスコミに載らない海外記事
2017年9月20日
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Paul Craig Roberts
アメリカ崩壊の兆しは至る所にある。どうやら誰も気がつかないようだ。国連で、世界はアメリカに賛成投票を続けている。ロシアと中国ですら、対北朝鮮で、ワシントンに賛成投票をしてアメリカ外交政策の侍女をつとめるのでは、例外的な、必要欠くべからざる国アメリカというイメージ作戦は、ワシントンから最も脅威にさらされている敵国にさえ成功プロパガンダとなったようだ。ロシアと中国がワシントンの主導に従えば、ワシントンの指導力の代案が存在しないのを世界に示すことになる。
20兆ドルの公的債務と、それより大きな民間債務を抱え、労働人口は借金で首が回らず、第三世界並みの低賃金国内サービス業で働き、株式市場は連邦準備金制度理事会の流動性で不合理に押し上げられ、大企業は利益を自社株買い戻しに使い、軍は、16年間、少数の軽武装イスラム教徒に縛りつけられたままで、マスコミならぬプロパガンダ省が、結果として無知な大衆をもたらし、公的・私的組織では道徳規範が崩壊し、勇気も消滅している国が、それでもなお、世界中を言いなりにさせることができている。ワシントンはオズの魔法使いだ。
ワシントンは過去16年間、7カ国丸ごとあるいは一部を破壊し、何百万人も、殺害し、四肢を奪い、孤児を生み、未亡人を生み、立ち退かせて来た。ところがワシントンは、自らを人権、民主主義と、あらゆる良きものの偉大な擁護者だと言う。“自分たちの”政府がおかした人類に対する膨大な犯罪に抗議して、アメリカ人が声をあげることはほとんどない。
国連は、他の国々に対する終わりのない侵略、恐るべき戦争犯罪や違法な介入のかどで、アメリカ合州国政府を非難する決議を行わない。
ワシントンは、外交ではなく、威嚇に頼っているが、世界はそれを容認している。国連はアメリカから資金を得ているので、アメリカ承認協会として機能している。
治安機関は警察国家機関と化し、連中は、戦争犯罪を報告すべしというアメリカ軍法の義務を、実刑判決という結果を招く反逆罪に変えてしまった。アメリカ軍法は、アメリカ憲法や法律と同様、空文化し、無視され、施行されないのだ。
ブラドリー/チェルシー・マニング事件を検討しよう。ブラッドリー・マニングは、アメリカ軍兵士たちが、ジャーナリスト、通行人、良きサマリア人とその子たちを、まるでビデオ・ゲームであるかのように殺害している様子を示す映像を公表した。こうした殺人は戦争犯罪だ。ところが罰せられたのは、犯罪をおこなった連中ではなく、犯罪を明らかにしたマニングだった。
監獄から釈放された後、チェルシー・マニングは、最近、ハーバード大学ケネディ行政大学院に客員研究員として招かれた。ハーバードは、不法に有罪とされ、重罪にされた真実を語る人への支持ではなく、性転換者への支持を示すために招請した可能性が高い。その結果、大騒動になった。真実を語る人を招請するハーバードは、なんと大胆なのかと私は本気で思う。マニングは『マトリックス』を丸ごと崩壊させかねなかったのだ。
それを防ぐべく、CIA元副長官、元長官代行のマイク・モレルが、“有罪判決を受けた重罪犯で、機密情報漏洩者を称賛する組織の一員ではいられない”という理由でハーバード上席研究員を辞任した。モレルは、真実を語る人たるマニングに反対するのは平気なのだ。モレルは、性転換者に対して偏見を持っていると見られかねないことだけ心配していた。モレルは辞任状にこう書き加えた。“私は、わが国で、アメリカ軍務に服する権利を含め、性転換アメリカ人としてのマニング女史の権利は全面的に支持することを明記することは重要だ” http://ijr.com/the-declaration/2017/09/974664-ex-cia-chief-delivers-blistering-quit-harvard-latest-hire-convicted-leaker-manning/?utm_campaign=Conservative%20Daily&utm_source=hs_email&utm_medium=email&utm_content=56364361&_hsenc=p2ANqtz-90FWYOJKtzTJE_i-iTjvCJMl3zW9G7Hkuo1svylTWfC2zw4FHp1ccdUmUO6HY0J1VlaYW9VPzQDIczEfhw7578dcDDew&_hsmi=56364361
モレルは、チャーリー・ローズTVショーで、「メッセージを送るため、アメリカは、ロシア人殺害を始めるべきだ」と発言した、狂った不道徳な人物であるのを想起されたい。モレルほど狂った人物がCIAのトップになれることをアメリカ人は死ぬほど恐れるべきなのだ。
もちろんハーバードは、CIAの圧力に屈伏して、マニング採用を取り消した。
モレルの採用に関して、ハーバードに苦情を言った人はいるのだろうか? モレルは、マニングとは違って、有罪判決こそ受けてはいないが正真正銘の重罪人だ。CIA幹部として、モレルは、アメリカ法でも国際法でも重罪にあたるCIA拷問プログラムに関与している。ハーバードとモレルは、拷問はかまわないが、それについて真実を語るのは禁物なのだ。モレルが考えている通り、マニングが、それに関して誰にも言わない限り、戦争犯罪を行ってもアメリカにとっては不利にはならないのだ。
情報を機密にする唯一の理由は、政府の果てしない犯罪が暴露されないよう守ることだ。ところが法律を支えるはずのアメリカ政府、法科大学院、裁判所丸ごとが、政府犯罪を発見できなくして、そうしなければ発見され得ない犯罪を暴露する内部告発者を非難する政策に関して沈黙している。
すると、我々はハーバードの勇気をどう評価すべきだろう? Fマイナス評価が十分に酷い点数だろうか? 私が通っていた頃は、大学は政府犯罪の表向きの看板役を演じる見下げ果てた臆病者ではなかった。
これはアメリカにとって、実になさけないことなので、一体何が最も興味深い要素なのか考えよう。モレルは、アメリカ戦争犯罪を暴露して真実を語る人を弾圧するのは悪いことだとは思っていないが、アイデンティティ政治と反目するのはまずいと思っているのだ。性転換者に反対していると見なされることを彼は恐れている。
言い換えれば、アイデンティティ政治が真実を打ち負かしてしまうということで、この点はいくら強調してもしすぎることはない。像撤去から、ヒラリー・クリントンと民主党全国委員会によって、人種差別主義者、性差別論者、同性愛嫌い、白人男性銃マニアと定義された労働者階級に対する民主党による攻撃に至るまで、我々は至る所でそれを目にしている。現在、アメリカ二大政党の両党は、兵器産業や雇用を海外移転する大企業や巨大銀行やウオール街を代表している。アメリカ国民を代表する政党は存在していない。
実際、人々は様々な集団に分断され、お互いに戦わされている。それがアイデンティティ政治の狙いだ。白人異性愛男性を除く、あらゆる集団が犠牲者集団で、女性、黒人、ヒスパニック、同性愛者や性転換者は、兵器産業や雇用を海外移転する大企業や金融部門やワシントンが彼らの敵なのではなく、アイデンティティ政治で労働者階級とひとまとめにされている集団の白人異性愛男性が敵だと教えられる。もちろん女性も黒人もヒスパニックも同性愛者も労働者階級のメンバーなのだが、彼らはもはやそういう風な見方をしない。女性、黒人、ヒスパニック、同性愛者として、彼らは自分は、政府や、政府がそれに仕えている強力な既得権益団体の犠牲者ではなく、白人男性の犠牲者だと考えている。そして“南北戦争”像の。
南部連合国の首都、バージニア州リッチモンドのロバート・E・リーの像を巡る論議が、またもやニュースになっている。像攻撃は、リベラル/進歩派/左翼が憎悪を教え込む方法の一つだ。まず憎悪は、生命のない物体、像に向かった。南部連合国兵士像が引き倒されるビデオを見ると、公的建造物を冒涜する連中は、まるで人であるかのように、像に唾を吐きかけ、蹴っていた。
生命のない物体は、無知な烏合の衆にとって、“奴隷制維持のために戦った”と思いこんでいる人種差別主義者の白人南部男性の代役なのだ。憎悪はそこでは止まらない。憲法を書いた建国の始祖たちにまで広がっている。無知な烏合の衆、大学生や一体誰の金なのか分からないバスで送り込まれた連中が、逃亡財産(奴隷)を元の所有者に返すことを憲法が要求しているので、憲法を人種差別主義者が書いた人種差別主義文書と見なしているのは確実だ。烏合の衆は、18世紀には、奴隷制は合法で、多くの社会の一部だったことが理解できない。無知な烏合の衆奴隷制は労働力の欠如の産物ではなく、白人による肌の色の濃い人々に対する憎悪の産物だと思いこんでいる。リベラル/進歩派/左翼は、白人は人種差別主義者なので、黒人を奴隷にしたと教えるのだ。
ロジャー・D・マグラスが、Chroniclesの2017年6月号で、社会主義者のカール・ポランニーなどの無数の歴史学者も、あらゆる人種が奴隷にされていたことを明らかにしている。北アメリカでは、アイルランド人が売買されていた。だが憎悪を売り歩くイデオローグ連中は、事実などおかまいなしだ。憎悪を広めることが連中の狙いであり、真実などとんでもないのだ。リベラル/進歩派/左翼は主に白人なので、彼らが説く憎悪は自分たちに巡り巡って、熱いお灸をすえることになる。それもひどく。
アメリカ、イギリス、ヨーロッパやカナダの白人人口が非白人の大量移民と出生率の大きな差異のおかげで少数派になることを考えると、憎悪される迫害者として描かれる白人の将来は一体どうなるのだろう? 憎悪を教え込んでおいて、それが政治行動で表現されないよう期待するのは不可能だ。白人は、自国内で、ナチス・ドイツのユダヤ人のようになるのだろうか?
フランス人作家のジャン・ラスパイユは、この問題を、1973年に「The Camp of the Saints」で検討した。44年前、本はベストセラーになった。今なら、この本を読んだり、書名をあげたりするだけでも人種差別主義者の証明と見なされてしまうのではあるまいか。現在は議論して良いものについて多くの制限があり、そこで暮らす人々にとっては、現代を認識することが許されないのだ。
9月12日、大きなアカガシの木を拙宅に吹き寄せたハリケーン・イルマに悩まされ、道路が封鎖され、三日間電話もなしに、山間の地域に閉じ込められていた間に、クリス、ロバーツ(姻戚関係はない)が、オンラインUnz Reviewに書いた記事で、非白人移民の前にフランス国家が崩壊するこの予言的な物語を思い出させてくれた。http://www.unz.com/article/the-camp-of-the-saints-this-centurys-1984/
これはまさに、フランスのみならず欧米世界全体でおきていることだ。おそらく白人の自業自得なのだ。たぶん進歩なのだ。だが、それに関しては、誰も何も言うことを許されていないのが現実だ。マリーヌ・ルペンは、フランスは、アフリカや中東のためではなく、フランス人のためにあると言い、彼女も彼女の政党もフランスはフランス人のためにあると言ったがゆえに、人種差別主義者、ファシスト、ナチスだと言われている。
これはほぼ半世紀前に、ジャン・ラスパイユが起きると言っていたことだ。白人は、心理的に圧倒的な軍事力と経済力を持っているにもかかわらず自らを守ることは出来まい。
欧米への膨大な非白人移民を考えて見よう。ドイツ企業はトルコ人を労働力として欲しがっている。アメリカのアグリビジネスや屠殺場や建設業はメキシコ人を労働力として欲しがっている。カナダは人を欲しがっている。イギリスとヨーロッパの植民地大国は、植民地の人々に国籍を与えて、植民地主義を正当化した。言い換えれば、帝国が侵略の逆流をもたらしているのだ。21世紀、欧米は、ワシントンの終わりのない戦争と欧米による経済略奪によって家を追われた人々の膨大な移民を味わっている。我々は彼らを現地で殺害し、こちらにやってくるようにしているのだ。
多数の非白人移民と、ユダヤ文化のマルクス主義者による産物で、欧米リベラル/進歩派/左翼の公式イデオロギーとなったアイデンティティ政治が合体すると、結果は、白人がホロコーストに会う可能性ということになる。自らを白人異教徒とは違うと考えているユダヤ人は、世界から、白人、しかもその最悪連中と見なされている。アイデンティティ政治を作り出した連中自身が自分たち自身の主義の犠牲者となるだろう。
実際、アイデンティティ政治、ごくわずかな人々だけは悟るするにせよ、ホロコーストを招きうる政治原則の犠牲者になりかねないという自分たちの運命に抗議するよう白人が悟るのを妨げている。
欧米は統合失調になっている。一方で、ワシントンは、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアやイギリスの支援を得て、肌の色の濃い人々を虐殺し続け、欧米世界が、非白人の人々を殺害し、略奪して罪をおかしていることを証明している。一方で、欧米各国政府は、欧米による戦争と経済的迫害から逃れる難民を温かく迎え入れている。アイデンティティ政治が、欧米政府が非白人に対する更なる罪をおこない、移民人口の増大を確実にする中、欧米の諸国民が、罪にひれ伏すのを確実にする。
非白人は復讐するだろう。愚かな白人の身から出た錆でないと誰が言えるだろう?
活動中のアイデンティティ政治: http://www.nationalreview.com/node/451391/print
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。彼 の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
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記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2017/09/20/identity-politics-brewing-holocaust/
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