いつまでも古いPCを使い続けていては仕事にならない
稼ぎたければカネを使うべし。設備投資をケチって損する実例集
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170603-00010002-moneypost-bus_all
6/3(土) 16:00配信 マネーポスト
生活に苦しい中、副業でカネを稼ぐというのも選択肢に入る。今ならクラウドソーシングで「テープ起こし」や「データ入力」などの仕事も見つかる時代だ。また、ネットの普及により格段に文字や写真等の需要が高まってきたため、知り合いのツテでこうした仕事を得ることもあるだろう。しかし、「才能の有無よりも初期投資の多寡が重要なことがある」と語るのは、これまで多くのライターに様々な仕事を依頼してきたネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏は「稼ぎたければカネを使え」と説く。
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この前、カメラマンに写真を撮ってもらったんですよ。写真をfirestorage(オンラインストレージ)にアップロードしてもらいました。そのURLを私はクライアントに渡したのですが、後日「最初の10枚しか解凍できなかった」と連絡がありました。もう一度ダウンロードしようにもfirestorageは期限があるため、カメラマンにもう一度送ってもらえないかとお願いしました。これって、編集者のダメダメ仕事の典型ですね。カメラマンやイラストレーターには「早めに送ってください」とか言いながら、ギリギリになるまでfirestorageからダウンロードせず、期限切れになっていて「す、すいません、もう一度アップロードしてもらえませんでしょうか……」と頼む時の申し訳なさったら。すいません、これからはすぐに開けます。
というわけで、私のクライアントもダウンロードだけはしていたものの、中身を確認することなく、ギリギリのタイミングで解凍しようとしたら最初の10枚しか見られなかった、という話です。すると、カメラマンは「実は……、安い中古PCを掴まされてすぐにぶっ壊れて、中のデータがすべて吹っ飛んでしまったのです。SDカードからもすでに削除してしまいまして……。もっとまともなPCを買うべきでした……」と恐縮していました。彼は「もっと高いPCを買います」と言ってました。
あと、私は昔から若手芸人をバイトに雇って文章を書いてもらっていました。スマホ普及前の話だったのですが、スタッフブログを書くという仕事を頼みました。コンビに頼んでいたのですが、1人はPCを持っておらず、ガラケーで書いていました。しかし、ガラケーだと絵文字がつけられないという制約があったのです。絵文字というものは、一つ一つ選び、貼りつけるのは案外面倒くさい。こちらとしては、2人に絵文字付きの完璧な原稿をお願いしたかったのですが、1人は無理だという。そこで絵文字は私がPCでつけることにしました。
■頑固は損
最初の仕事の時に「いずれはPC買ってくださいね」と言い、二人のギャラは8万円と7万2000円としました。絵文字をつけられない方を安くしたのです。結果的にPCをその人が買うことはなく、さらには会議への遅刻・当日キャンセルなどが相次いだこともあり、クビにしました。
私はこの感覚が分からないのです……。この人は仕事を3年ほどやってくれました。となれば、36×8000円=28万8000円という差がつくわけで、4万〜5万円もあれば安いPCが買えるというのに、なぜ設備投資をしなかったのか、と思ったのですよ。お笑いのネタを作るにしてもPCがあった方がいいと思うのですが、頑なに「私はケータイで大丈夫です」と言い続け、ガンとしてPCを買わない。結局この頑固さと、遅刻・ドタキャン癖に呆れ、仕事を出すのをやめたのでした。
そして、もう一人が、「この給料じゃやっていけない……。なんでもいいから仕事をまわしてください」という会社員・A氏です。これは私自身がかかわったことではありません。知り合いの編集者・B氏が経験したことです。A氏とは元々「貧困中年」の企画で知り合ったようです。その時に上記のお願いをされたそうです。B氏はある時、書籍を引用し、それの解説をするという仕事をA氏にお願いしました。書籍の中のかなりの部分を引用するため、キンドルをまずはPCにダウンロードし、そこからコピペをするという手順になりました。
しかし、A氏の自宅ではネットが繋がらず、PCは持っているものの、自宅ではダウンロードができない、ということで15年ほど前に買った巨大なノートPCを持ってB氏の事務所に来ることとなりました。使っているOSはWindowsXPです。そこでキンドルをダウンロードしようとしたのですが、まず、ブラウザが立ち上がるまでにとんでもない時間がかかる。キンドルのアプリダウンロードページにようやくたどり着いたと思ったら、今度は総容量51MBのキンドルアプリのダウンロードに1時間半かかってしまう。そして、いざアプリを開こうとしたら「容量オーバー」の表示が出ました。なんと、ハードディスクすべてが占拠されてしまったのでした……。
結局A氏はこの仕事をマシンの性能の低さのせいで受注できず、1万円の副業収入をフイにしてしまったのでした。そして、B氏は「外注して時間を節約しようと思ったのに、PCのセッティングやらダウンロードやらなんやらで余計な時間を使った! もう彼には頼まない」と決めたそうです。その場でPCやカメラなどにポーンと大金を払うのは苦しいかもしれませんが、サクサクと仕事をこなす、そして発注主の信用を得るには分割払いでもなんでもいいので、高い機材を買った方が結果儲かると思います。