トランプが真っ先に取り組むべきはイラクの安定化だ
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2017-05-22 天木直人のブログ
トランプの初外遊先がサウジアラビアとイスラエルだという。
そこで見せたトランプの最初の取引が、12兆円ものサウジアラビアに対する武器売り込みであるという。
そして中東版NATOという名のスンニ派アラブの結束だという。
しかも、イランが対米穏健派のロハ二大統領を再選したばかりというタイミングの悪さだ。
ロハに大統領の足を引っ張るようなイラン包囲網の結成である。
トランプの中東訪問を報じる大きな記事の脇に、イラクでテロが起き、35人が死亡したという記事があった。
これは象徴的だ。
トランプが真っ先に行う事はブッシュが行ったイラク攻撃の落とし前をつける事なのだ。
あのとき米国は、湾岸戦争で同盟国化したサウンジアラビアの将来が不安定化すると見て、サウジアラビアに代わる同盟国にイラクをつくり変えようとしてイラクを攻撃した。
しかし、その統治に見事に失敗し、いまやイラクはシーア派支配の破綻国家になってしまった。
そんなイラクをそのままにした、再びサウジアラビアに戻ったところでテロとの戦いは終わらない。
それどころか中東がスンニ派とシーア派に分断され、さらなる混迷に陥る。
トランプの米国が真っ先に取り組むべきは、イラク攻撃の反省と、イラクで破綻国家になったイラクの再建だ。
そして、あらゆる中東紛争の原因であるパレスチナ問題の、公平で持続的な解決である。
それにもかかわらず、イスラエルを訪問してイスラエルの安全保障を最優先する中東政策を始めようとしている。
トランプ外交の最大の危険性は、これから始まるその中東政策にある。
その事だけでも、トランプ政権は一日も終わるべきである(了)