件名:米軍がシリア攻撃 「単独でも動く」の衝撃
日時:20170408
媒体:岩手日報
出所:http://www.iwate-np.co.jp/ronsetu/y2017/m04/r0408.htm
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米軍がシリア攻撃 「単独でも動く」の衝撃
米軍は7日、空爆に猛毒サリンとみられる化学兵器を使ったとしてシリアにミサイル攻撃を行った。米国単独でも武力行使に踏み切る姿勢を鮮明にしたトランプ政権の姿勢に、国際社会には衝撃が広がった。
標的はアサド政権の空軍基地。地中海に展開する軍艦から巡航ミサイル59発を撃ち込んだという。
トランプ大統領はアサド大統領の退陣にこだわらず、過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を優先する政策へ転換したばかりだった。ところが、化学兵器で「私の考えは大きく変わった」と再度の方針修正を言明した。
今月初めの空爆の死者は80人を超え、シリア内戦で最大級の化学兵器被害となった。アサド政権と、後ろ盾のロシアは関与を否定したが、アサド政権軍による攻撃との見方が強まっている。
アサド政権は過去にも化学兵器使用が疑われ、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)は、化学兵器の一種、塩素ガスを使用したという報告書をまとめている。
しかし、国連安全保障理事会ではロシアと中国が拒否権を行使して制裁決議を否決。今回も安保理の緊急会合が開かれたが、非難決議を提出した米英仏とロシアが対立、決議は持ち越したままだ。
この状況に、ヘイリー米国連大使は単独でも制裁を行う姿勢を示していた。それは単なる脅しではなかったことになる。
アサド政権とロシアの反発は必至。これ以上の泥沼に陥れば内戦の収束は遠のく。それは結局、ISを利するばかりではないか。出口を探る舞台を安保理などの多国間協議に戻すべきだ。
安保理の協議がまとまらないうちに軍事攻撃に踏み切った衝撃波は、中東から東アジアにまで及んだ。米国の軍事介入はちょうど、米中首脳会談の最中というタイミングだった。
核・ミサイル開発に狂奔する北朝鮮と、制裁強化に消極的な中国という構図がシリアと重なる。それを意識して習近平国家主席に作戦の展開を見せつけたという観測は、必ずしも的外れとは言い切れないだろう。
「中国が北朝鮮問題を解決しないのであればわれわれがやる」「全ての選択肢がテーブルの上にある」。トランプ大統領は前のめりの発言を続けている。一歩間違えれば、第2次朝鮮戦争を引き起こす恐れもある。そうしたブラフ(脅し)は危険すぎる。
シリア攻撃が北朝鮮に対してどれほどのメッセージになったかは、まだよく見えないが、平和的に朝鮮半島の非核化を実現する道を探る首脳会談であってほしい。
(2017.4.8)
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//memo
http://www.asyura2.com/17/kokusai18/msg/874.html