〜ヒトの体組成から食を見つめよう!〜
まず、
ヒトのおおまかな体組成をみてみよう。
様々な生化学の本には、
多少の差はあるが、
概ね、
ヒトの体組成について
以下のような数字が書かれている。
水分 66%
タンパク質 16%
脂質 13%
糖質 1%未満
無機質 4.4%
核酸 微量
となっている。
この体組成を維持できないと、
ヒトの生体として
生命維持ができなくなる。
この体組成の維持が
ヒトの恒常性維持の
最優先課題になる。
優先順位から言うと、
@水、Aタンパク質、B脂質となる。
しかし残念ながら、
皆さんが大好きな糖質は、
たとえば、
体重50キロの人で換算すると
血液中のブドウ糖4g、
間質液中のブドウ糖4g、
肝臓の貯蔵用のグリコーゲン100g
筋肉中の貯蔵用のグリコーゲン300g
等でトータル408g程度になる。
さらに、
ほとんどが、
ブドウ糖としての体組成ではなく、
グリコーゲンとしての体組成である。
ヒトのブドウ糖がブドウ糖の形態で、
機能しているのは、
血液中の4gと
間質液中の4gだけである。
くどいが、
ブドウ糖は浸透圧が高くて、
糖化のリスクもあるので、
体組成においては
最低限の量で、
維持されているのである。
ヒトの生体は、、
ごくごく微量のブドウ糖で、
赤血球、
脳のグリア細胞にブドウ糖を
必要量糖新生で供給して賄われており、
糖質経口摂取の必要性の根拠は皆無である。
もし、運動を始めたら、
糖新生が亢進して、
血糖値は上昇し、
そのブドウ糖が、
筋肉のGLUT4で取り込まれるし、
それで足りなければ、
筋肉中のグリコーゲンを使うだけの話である。
この均衡を破壊するのが経口の糖質摂取である。
さて、体組成における糖質やブドウ糖の位置付けや
役割に関してはこれで、
理解できただろう。
今日のテーマは、
タンパク質の摂取と脂質の摂取についてである。
ヒトの体組成は水とたんぱく質と脂質で
全体の95%を占めている。
小学生でも理解できるだろうが、
水とたんぱく質と脂質を摂取しなければ、
ヒトの体組成は維持できず、
やがて、栄養失調や心身の疾患で衰弱するのである。
ただ、人間は、
必須アミノ酸や必須脂肪酸を摂取しなくても
すぐに死にはしない。
ただ、ジワジワと心身に疾患を抱え、
栄養失調になり、
最終的に衰えて死に至るだけの話である。
とくに、ヒトは動物である。
動物から必須アミノ酸や
必須脂肪酸を摂取する必要がある。
動物は動物から栄養を摂取するのが、
一番効率が良い。
だから食物連鎖と言う法則があるのである。
菜食主義の人の栄養状態は
ひじょうに悪い。
菜食主義の人が、
菜食をやめて、
良質な動物性たんぱく質や
良質な動物性脂質を摂取し始めると
見違えるように
栄養状態が向上し、
健康な心身に戻ることができる。
女優の中谷美紀が菜食主義で
栄養状態が極めて悪化していた頃が
あったようである。
詳しくは知らないが、
溝口先生の栄養指導を受けて
健康を取り戻したようである。
菜食主義の人の傾向として、
このように、
必須アミノ酸や必須脂肪酸の欠乏が顕著にみられる。
そして、
穀物やイモ類や果物摂取による糖質過多で、
ビタミンやミネラルが破壊されている。
まずは、菜食礼賛の人は、
何ものか知らないが、
教祖の言葉を真に受ける前に、
人が何を素材にできているのか?
学ぶべきだろう。
ヒトは植物由来なのだろうか?
ヒトは植物なのか?
ヒトは光合成するのか?
ヒトは野菜でできているのだろうか?
ヒトは穀物でできているのか?
ヒトはイモでできているのか?
ヒトは果物でできているのか?
ヒトは砂糖でできているのか?
ヒトの体組成で、
繊維質や糖質は体組成に含まれているのか?
草食動物は草を消化して
草から本当に栄養を摂取してあんな
大きな身体に成長するのか?
我々の血や肉や骨や免疫力の元手や
ホルモンの元手は何から由来するのか?
子供のような疑問から、
人とは何ぞや?
という原点回帰の必要性があるハズである。
そういうことをやらない
怠惰な人が、
簡単に詐欺師に騙されたり、
玄米を食わされたりしているのではないだろうか?
まず、信仰より先に、
調査が重要なのである。
さらに、
ヒトの生命維持に、
動物性のたんぱく質や
動物性の脂質が必要なことも学ぶべきである。
菜食主義者の話はほんとうに興味深い。
馬や牛などの大型動物は
皆、草食である。
草が草食動物の
強靭で巨大な肉体をつくるのである。
と真剣な顔で説く。
そこで私は、
「先生!
ちょっといいですか?
草食動物は直接的に
草を消化して
それを栄養源にして吸収しているわけではありませんよ!
彼らの消化器系に寄生させている微生物に草を与え、
その微生物を育てて、成長させて、
その微生物の動物性たんぱく質と
動物性脂質と彼らの代謝物を栄養源にして、
巨大な肉体をつくっているのです。
広義では草食動物は、
微生物という動物の血と肉を食らう
肉食動物なんですよ!」
と突っ込みを入れるが、
ほとんど聞いてもらえない。
なぜか?
草食動物の消化器系に
寄生している微生物をみたことがないからかもしれない。
みたことがないものは、
存在しないと同じなのである。
あと、ある人が、
「人間の歯の形は、
トラやライオンと違うから
人間は肉食動物ではない!」
と真面目な顔して力説する
人も数多くいます。
私は
「先生、
人間は、狩りの時に、
ライオンのように、
牙を用いて、
狩りをしていなかったんです。
人間は頭脳を用い、
知恵と知性で狩りを行い、
道具や集団によるチームプレイで、
狩りをしたんです。
そして、
頭脳や道具やチームプレイで
狩りを成功させた後に
獲物を捌くときも、
牙ではなく
今で言う刃物やナイフのような
石器等の道具を用いて、
捌き、
食べる時も
ナイフのような石器等の道具を用いたのです。
だから
ヒトの歯型は、
ライオンやトラのように牙が
発達しなかったんですよ!」
そもそも、
ライオンやトラ等の
肉食獣の牙は、
狩りの時の武器としての発達したものであり、
さらに、
獲物をとらえた時の
獲物を捌く為の道具として発達し、
獲物を食べる時にも
肉を斬り裂く道具として
発達したものです。
幸い、
人間には、
自分の牙を発達させずに
狩りができるような
頭脳と狩りに使う道具をつくり
利用する知恵と
集団で狩りを行う頭脳集団を
形成したのです。
したがって、
自分の牙を武器に発達させる必要がなかったわけです。
もちろん獲物を捌くときも道具を用い、
獲物を食べる時も、
一口大に肉を切るのも、
道具を用い、
それをお口の中で噛み噛みすれば、
おいしく獲物を頂けたわけです。
まあ、歯型とヒトの食性を
一直線で結論付ける
すごい理論を打ち建てる人が、
今だのこ21世紀にたくさんいることが
大いなる不思議と
知性の退化と退潮を感じるのは
私だけではないでしょう。
人間が何を食べるべきか?
それは、
人間の身体はいったいぜんたい、
何でできているか?
まず、
それから考えるべきでしょう。
さらに、
人間の
歯型を見て、
「人間はライオンの歯型と違い牙がない、
だから、
人間は肉食ではない!」
という
表層をなぞっただけの
短絡的で、
愚かな発想をしないことも重要です。
もっと重要なのが、
「草食動物のゾウやサイや馬が巨大なのは、
草を食っているから巨大なのだ!」
「だから草は栄養豊富なのだ!」
「あの競走馬の馬の筋肉と身体と
あのスタミナは草がもたらしてくれるのだ!」
「したがって、
アスリートは菜食主義を行うべきである!」
「肉を食うと、
ライオンのように
いつも
だらーんと寝そべっていることになるのである・・」
こういった
嘘や都市伝説に皆さんが
騙されないことを願っております。