世界経済で日本が一人勝ちになるシナリオとは
世界経済で日本が一人勝ちになるシナリオとは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170107-00010001-moneypost-bus_all
週刊ポスト2017年1月13・20日号
新年の東京株式市場はかつてない大相場への予感で幕を開けた。市場関係者が見据えているのは株価2万5000円や3万円にはとどまらない。その先、日経平均が1989年末の史上最高値(3万8957円)を更新し、「4万円」を突破するという未来予想図である。
「世界経済は日本一人勝ちの状況になってきた」
そう指摘するのは証券アナリストの植木靖男氏だ。
「米国や欧州の金融当局が利上げで引き締めに転じる中で、日銀だけが金融緩和でジャブジャブお札を刷りまくっています。そのうえ日本には3年後の東京五輪というハッキリした目標がある。2016年末には東京、岐阜、長野、名古屋で次々にリニア中央新幹線が本格着工し、今年、来年と高速道路や鉄道など大規模なインフラ投資が本格化することが約束されています。
日本のマクロ経済が五輪に向けて急拡大するのは確実で、大型株の時価総額はどんどん上がっていきます」
日本の五輪特需をきっかけに、世界の投資マネーがさらに流れ込む。「日本買い」の動機はそれだけではない。ケイ・アセット代表の平野憲一氏が語る。
「バブル崩壊以降、日本経済は不当に低く評価されてきました。しかし、いまの日本は世界を見渡しても政治と経済が最も安定した国です。世界の投資家から見れば、実力に比べて株価が安い日本市場は、投資先として打ってつけなのです」
日本企業がいかに実力より低く評価されているかは、株価が1株あたりの利益の何倍かを示す株価収益率(PER)で日米の代表的銘柄を比べるとわかりやすい。
前期決算で過去最高益(純利益2兆3126億円)をあげたトヨタ自動車のPERは約14倍。昨今、欧米の有力企業を買収し世界から注目を浴びるソフトバンクグループは約10倍。それに対し、米国マイクロソフトは約30倍、グーグルに至っては約38倍だ(2016年12月27日時点)。
業種によって異なるが、一般的に15倍を下回ると割安と言われる。利益ベースで考えるとトヨタやソフトバンクの株価は、マイクロソフトやグーグルに比べて3分の1から4分の1の割安ということになる。
さらに今後予想される為替レートの変動も日本企業にとって好影響をもたらす。「強いドル」を掲げるトランプ次期米国大統領の登場で、為替市場では1ドル=110円台後半へと急速に円安ドル高が進み、輸出企業の利益はこれから膨らんでいくことが予想される。
トヨタは2016年の下期為替レートを1ドル=100円に設定しているが、1円円安に振れるだけで利益が約400億円増えると試算される。同じく日産は120億円増、富士重工は98億円増になる計算だ。
こうした現状を加味すれば、世界の投資家たちが“日本買い”に走るのは当然といえる。