「核兵器禁止条約「交渉開始」に反対しつつ、「交渉」には参加することを表明するなど前代未聞:勝見貴弘氏」
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2016/11/30 晴耕雨読
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核兵器禁止条約 日本も交渉へ | 2016/11/26(土) - Yahoo!ニュース https://t.co/oBXJwDHihy #Yahooニュース
土曜にこんなニュースが出ていたとは。
これには一言も二言も言いたい。
ので,ヤフ記事ににコメントしたが以下連投転載する。
日本が交渉に参加すること自体は勿論賛成する。
唯一の被爆国として核兵器全廃決議の採択を求め続けてきた国として、交渉にまったく参加しないという選択は道理が通らない。
核兵器禁止がここまで具体化するには遠い道のりがあり、これまで核兵器の全廃を訴えながら、そのもっとも具体的な案について、その交渉にすら参加しないというのは、まったく道理を経ないからだ。
しかし、参加の理由が、岸田外相の意向もあり、というのはやや解せない。
「被爆地広島出身の岸田文雄外相の意向もあり」というのは、岸田外相と安倍首相の間に見解の相違があり、委員会決議では首相の意向に押し切られた、ということだろうか。
そう思わせようとしているだけだと思うが。
国連の決議で「交渉開始」に『反対』しながら交渉には「参加」するというのは、前代未聞の「後出しジャンケン的」な行為であり、こうした「後出しジャンケン」を厚顔無恥にも国際環視の場でできてしまう現在の日本政府の国際感覚というか神経は、度し難いものがある。
ましてそれが、政府内の意見相違による結果だとしたら、これほど無様なものはない。
これまで例えば他国では、ICC規程の「採択」をめぐる決議でロシアや中国等が反対しつつ(安保理ではないので拒否権は行使できない)、実際の締約国会議には「オブザーバー資格」で参加するというのはあった。
しかし、「交渉開始」に反対しつつ、「交渉」には参加することを表明するなど前代未聞だ。
例えば、TPPの交渉参加を決めるときに、交渉に「参加しない」を決めていたら、その後の交渉内容に関する情報は完全に遮断されていただろう。
それが、「オブーザーバー」と「正規参加国」との違い。
だが、TPPは秘密協定だったので、「オブザーバー」参加すら認められないものだった。
今回の核兵器禁止条約の交渉開始に「反対」したということは、本来なら「交渉に参加」しないことがデフォルトである筈。
条約内容について交渉することすら反対ならば、会議の場で発言権を認められない筈。
「参加する」とはいえ、日本は「オブザーバー資格」になる筈。
つまり議決権や発言権を持たない。
これではまさに恥の上塗りだ。
しかもしそれが、「反対票」を投じた後に、政府の中で見解の相違があって、後日になってから、外相の意向を忖度して参加を表明するというのだから、目も当てられない。
「反対票を投じつつ、投票理由の中で交渉参加の意向を明らかにする」――国際的な失態であるという恥を承知でどのような理由を論じ、どのような立場で会議への参加権を獲得するのかお手並み拝見だ。
また参加している間の内容は、TPPとは違い公開議論となる筈だから、これも注視したい。
今回の方針転換は、「岸田外相の意向もあり」という体を借りてはいるが、実際は核兵器保有国そして最大の同盟国であるアメリカのための代行行動だろう。
アメリカの核の傘に守られているかぎりは、核の安全保障に関するアメリカの意向には逆らえない。
この恥を忍んだ「参加」表明の裏には、単純な見せかけの内閣不一致だけでなく、アメリカの”スパイ”として交渉内容を共有する意向があるのだろう。
だからこそ、日本政府や御用メディアの大本営発表ではなく、国連の議論のソースを追うことが重要になる。
被曝国の国民として、この議論は見逃せない。