日印原子力協定と、軍事
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52885159.html
2016年11月12日 在野のアナリスト
南スーダンで、PKO部隊からケニアが撤退します。民間団体が救援要請した際、UNMISS(国連 南スーダン派遣団)が動かず、それについてケニア出身の軍司令官が更迭されたことへの抗議です。ケニア軍はそこそこの規模があったので、それが撤退するのは大きな痛手でしょう。しかもその出来事は、南スーダンの国軍が暴徒化したもので、今後もそういう事態が多発するかもしれない。自衛隊の駆けつけ警護が適用されることになりましたが、そういう事例がいつ起きてもおかしくありません。
すでに内戦状態とみられるのに、未だにそれを認めない日本。衝突という言葉で誤魔化せる時間は、そう長くはないでしょう。問題は国連から要請された際、出動しなければ今回のケニア司令官のように、何らかの懲罰的なことがあるのか。それ次第では自衛隊員への犠牲か、懲罰か、その選択を迫られる場面がでてくるのかもしれません。
UNMISSにも参加するインドと、日本は原子力協定を結びました。核拡散防止条約(NPT)にも参加していないインドに、原発を輸出できるわけですが、インドが核実験などをした場合には停止する、としながら協定には入れていない。平和目的に限定する、としながら罰則規定もない。言ってみればお手盛りで、インドが核実験を行ったら日本から協定終了の手続きができる、としましたが、言ってみれば核実験を行ったり、軍事転用された後で協定を停止しても時すでに遅し、となります。
かつてNPTに参加していない中国や仏国とも、原子力協定をむすんだことがある、としますが、時代背景が異なります。北朝鮮が核保有国入りをめざし、NPTが形骸化する中で、さらにNPT非加盟国に原子力技術を輸出する。そうなればNPTを脱退する国が新たにでてくるか、加盟していても核保有国をめざす国がでてくるかもしれない。それこそトランプ氏などは日韓も核武装を、と述べているぐらいです。世界は核拡散時代に入るかも知れず、そんな動きを原子力協定は助長しかねないのでしょう。
安倍政権がここまで原子力ムラに配慮するのも、今井内閣総理大臣秘書官の影響、とされます。安倍政権が財務省の頚木をはなれ、消費税再増税を延期できるのも、今井氏が経産官僚として財務省の影響を排除できるから。『ご説明』と称して財務官僚が増税の必要性を説いても、同じ官僚である今井氏がそれを見抜いてしまう。経産省が福島原発の賠償費用や、廃炉費用を国民に負担をおしつけることでさえ、安倍政権では堂々と語られるのも今井氏がいるから、とされます。原子力協定も同じ延長上にあるのでしょう。エネルギー畑を歩いてきた今井氏は、今や原子力ムラの村長のような存在です。安倍氏が今井氏を頼り、今井氏がその力をふるう以上、日本の原子力政策は国民犠牲、諸外国の迷惑など顧みない形ですすめられる、とさえ言えるのかもしれません。
14日はスーパームーン、月が地球に大接近する日です。地震も心配されますが、噴火も警戒されるところかもしれません。それは日本に限らず、世界全体も同様です。そして地球が変動期に入っているのだとしたら、原発ばかりでなく、核兵器の安全な管理ですら、風前の灯かもしれないのです。トランプ氏が核のボタンを握り、その脅威にさらされる国が増える。世界に極右政権が誕生する、その勢い、先鞭を米大統領選がつけたのなら、ますます世界は不安定化していく。不安は恐怖を生み、そこから逃れようと核武装にはしる国が続出するのかもしれません。そんな折、日本がそうした流れも読まず、原子力協定に前向き、というのは世界にとってもリスクになるのかもしれないのです。今井氏は「1億総活躍」というキャッチフレーズの生みの親、とされます。しかし日本の原子力政策に関してみれば、すでに70億人を越えた、とされる世界の人口、「70億総迷惑」にすらなりかねない、とさえ言えるのでしょうね。