「『トランプ氏が沖縄から去ると言ったら、それは絶好のチャンスである』孫崎享氏インタビュー:岩上安身氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/21094.html
2016/11/12 晴耕雨読
https://twitter.com/iwakamiyasumi
11月10日(木)「岩上安身による元外務省国際情報局局長・孫崎享氏インタビュー」の模様を実況します。
トランプ大統領の勝利となった米大統領選の結果や、国会におけるTPP審議の行方などについて、岩上安身がお聞きします。
岩上「トランプ氏が当選した翌日、日本ではTPP承認案が国会本会議で採決されようとしています。これはちょっと・・・」
孫崎氏「対米従属というのも、一つの生き方です。しかし国会でTPPを採決してしまうというのは、トランプに喧嘩を売るようなもの」
岩上「トランプ氏は、一貫してTPP反対を主張し続けています。TPPについて『アメリカをレイプするためにこの協定を結ぼうとしてきた』とまで言っています。これを日本主導でやるというのですから、空前の愚かしさです」
岩上「本当にアホで間抜けな属国ですよね」
孫崎氏「こんなバカはいないんじゃないの。トランプ氏とすれば『おっ、オレに挑戦する気だな!』と思いますよ」
岩上「安倍総理はヒラリー氏だけに会っていましたね」
孫崎氏「今の日本の政治家や財界人、メディアは、ジャパンハンドラーとしか付き合いがないんですよ。しかし今回、共和党のネオコンやジャパンハンドラーたちはヒラリーを支持した。ですから、これから彼らへの粛清が始まりますよ」
孫崎氏「トランプ氏は、一般国民に受けるかどうかで政策を決めますね。トランプ氏は70歳。この世代は、1990年代の日本をすごく驚異に感じています。彼としては、日本叩きを絶対にやらないと思っているはずです」
孫崎氏「今回、テレビや新聞はトランプ氏の勝利を予測できませんでした。しかし、米国でもネットなどのマイクロメディアはトランプ氏の勝利を予想していました」
岩上「日本のメディアも米国のメディアも同じように腐っていますね」
孫崎氏「情報関係のアメリカ人から『次はユリコ』という話を聞きました。これは、小池百合子さんが東京都知事選に立候補する前の話です」
岩上「政治経験がない大統領としては、1953年のアイゼンハワー以来です」
孫崎氏「私は政治経験がないことがマイナスになるとは思いません。むしろ、今のアメリカではプラスになるのではないでしょうか」
孫崎氏「トランプ氏が、アメリカの軍産複合体にどれぐらいメスを入れられるか。オバマ氏は完全に骨抜きにされてしまいました」
岩上「あとは金融ですね。アメリカの金融は今、とんでもないバブルですから」
孫崎氏「ヒラリー氏の支持基盤は、金融等の大手企業を中心とする既存勢力。さらに米国のメディアは、たった一紙をのぞいて地方紙を含めてヒラリー支持でした。これは本当に異常なことです。トランプ氏勝利の背景には、既存勢力への強い不満があります」
孫崎氏「今回の米大統領選とBrexit(英国のEU離脱)か重なり合う面を持っています。マスコミをはじめ英国の既存勢力は『EU離脱反対』を言っていました。これに対して多くの英国民がノーを突きつけたのです。『反グローバリズム』の流れです」
岩上「この間、米国と英国がグローバリズムと新自由主義、そして帝国主義を率先して行ってきました。しかしこうした潮流に対し、それぞれの国の国民がノーを突きつけたというわけですね」
岩上「トランプ氏の中東政策について。トランプ氏は『ISはアメリカが育てた』ということをズバッと言っています。中東に関して、トランプ氏はロシアと和解するのではないでしょうか?」
岩上「選挙中に言われていたのは、トランプ氏が大統領になったら任期中に暗殺されて、ヒラリー氏が大統領になったら任期中に逮捕されるだろう、ということです。ヒラリー氏はもうこの後は余生を過ごすことになるでしょうが、トランプ氏はどうなるか」
岩上「各国の反応の中で注目なのが、フィリピンのドゥテルテ大統領です。『トランプ氏の勝利を心からお祝いする』というメッセージを出しました。彼は『フィリピンのトランプ』とも言われています」
岩上「ちょっと心配なのがヨーロッパの状況です。フランスの極右政党『国民戦線』のマリーヌ・ルペン氏はトランプ氏に『おめでとう』とメッセージを送りました」
孫崎氏「イギリス、アメリカときたわけですから、次はフランスで変革が起きる可能性はあります」
岩上「ドイツのメルケル首相は、安倍総理と違って毅然としたメッセージをトランプ氏に送りました」
孫崎氏「『あんたとは違う』ということですね。さらにこれは、国内向けのメッセージでもあるでしょう。『ドイツ国内では人種差別は許さない』というもの」
岩上「さて、安倍総理の反応です。『日米同盟は普遍的価値で結ばれた揺るぎない同盟だ』『あなたの勝利はアメリカンドリームだ』と。11月17日にも会談する予定とのことです」
孫崎氏「『はい、お金を出しますよ』ということですね。とても分かりやすい」
岩上「トランプ氏は人種差別の過激発言を繰り返しています。日本にも負けず劣らずの閣僚がいます。『土人発言は差別と断定できない』などと述べた鶴保庸介・沖縄北方担当相です。彼は大臣どころか議員をやっている資格はありません」
岩上「さて、TPPです。トランプ氏が当選したことで、共和党は改めて議会でのTPP承認を見送る意向を示しました。依然として、オバマ大統領のレームダック期間に承認されるという見方も残っていますが」
孫崎氏「それはないでしょう」
岩上「日本と同様にTPPを批准しようとしていたニュージーランドのキー首相も『承認される可能性はゼロに近い』と述べました。当然の判断ですよね。しかし、日本は衆議院で可決してしまいました。本当にお馬鹿さんとしか言いようがないですよね」
岩上「安倍政権がTPPを強行する正当性や合理性は全くありません。単なる狂気、単なるお馬鹿さんですよ」
孫崎氏「安倍総理は『日本に言われたらトランプ氏の考えが変わる』とでも思っているのでしょうか。そんな訳がない」
岩上「安倍政権を倒すには野党共闘が必要です。しかし、その野党共闘の邪魔をしているのが連合です。衆院補選では、連合のスタッフが鈴木庸介候補のところから引き上げてしまいました」
岩上「電通にしろ東電にしろ、今まで一流企業だと言われているところが実はブラック企業だったんですね。もちろん、IWJはブラック企業ではありません。僕以外、スタッフは週2日は休んでいますからね」
岩上「トランプ大統領のもとで日米安保はどうなりますか?」
孫崎氏「彼は実は、保守派のタカ派とつながっています。2003年頃からマケインは日本の核保有を認める発言をしています。トランプ氏の核容認はこの延長線上にあります」
孫崎氏「米国は、日本を守る気なんかさらさらありません。米国は自国の世界戦略のために米軍を日本に駐留させています。しかし日本人は、いつからか『米軍は日本を守ってくれる』と思い込むようになってしまいました」
岩上「トランプ大統領のもとで、沖縄の基地問題はどうなるのでしょうか」
孫崎氏「今日、琉球新報の記者から依頼された原稿を出しました。『トランプ氏が沖縄から去ると言ったら、それは絶好のチャンスである』という内容です」
岩上「ものすごく気になるのが、米国の経済がバブル崩壊前夜であることです。トランプ氏は『バブルが崩壊するなら、私が大統領になる前にしてほしい』などと発言しています。いまバブルが崩壊したら、リーマンショックを超える規模になりますよ」
岩上「野党共闘についてはどうお考えですか」
孫崎氏「今の民進党では、脱原発も安保法撤回もできないでしょう。しかし、選挙が終わったら新しい人が出てきます。そのことに期待したいですね」
岩上「いま、メディアは『小池劇場』一色です。小池知事は政治塾を立ち上げましたが、小池新党が反自民の受け皿になるのでしょうか」
孫崎氏「民進党から共産党までの野党共闘ができるかどうかにかかっていますね」
岩上「最後に、天皇陛下の生前退位についてお聞きしたいと思います。有識者会議が専門家へのヒアリングを開始しましたね。東大名誉教授の平川祐弘氏は天皇陛下に『ちょっとおかしいのではないか』と。本当に何様なのかと」
岩上「さらに、小堀桂一郎東大名誉教授も『天皇の生前御退位を可とする如き前例を今敢えて作る事は、事実上の国体の破壊に繋がる』などと言うことを言っています。彼は日本会議の副会長」
孫崎氏「昔は、東大にはこういう人はいなかったはずなんですけどね」
岩上「最後に、先生の新刊『21世紀の戦争と平和』をご紹介させていただきます。IWJ書店でも販売いたします」
孫崎氏「この本の序章は、トランプ氏のことから始まっているんですね。今こそ多くの方に読んでいただきたいですね」
以上で「岩上安身による元外務省国際情報局局長・孫崎享氏インタビュー」の実況を終了します。
動画アーカイブは準備が整い次第、IWJのホームページ(http://iwj.co.jp/ )にアップいたします。@iwakamiyasumi