トヨタ:今期利益予想を上方修正、お家芸の原価改善と円安傾向で
堀江政嗣、Craig Trudell
2016年11月8日 15:04 JST 更新日時 2016年11月8日 16:45 JST
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トヨタ自動車は今期(2017年3月期)の業績予想で、為替前提を円安方向に見直したほか、原価改善努力などにより、営業利益、純利益を上方修正した。いずれも市場予想は下回った。
8日の決算資料によると、今期の営業利益は従来の1兆6000億円から前期比40%減の1兆7000億円、純利益が同1兆4500億円から同33%減の1兆5500億円の予想に見直した。ブルームバーグが集計したアナリスト20人の営業利益予想の平均は1兆8724億円、19人の純利益予想の平均が1兆6173億円。
今期業績予想では為替変動の影響や原価改善の努力で、いずれも従来比400億円のプラス要因となる。為替前提は対ドルで従来の102円から103円、対ユーロで同113円から114円に見直した。伊地知隆彦副社長は決算会見で、英国が国民投票で欧州連合(EU)離脱を決めた直後に立ち上げた緊急収益改善活動が大変順調に進んだと話した。
トヨタが同時に発表した7−9月決算では、営業利益が前年同期比43%減の4746億円、純利益は同36%減の3937億円だった。円高や諸経費増加などが響いた。
今期のダイハツ工業、日野自動車を含むトヨタグループ世界販売は小売りベースの計画で、従来の1015万台から前期比で横ばいの1010万台に修正した。北米市場について、伊地知氏は高水準の需要が続いており、注意深く見守る必要があるとした。同市場には17年以降、主力セダンで大幅モデルチェンジを控えているほか、小型のSUVを投入する予定という。
ダイハツ工業、日野自動車を含むトヨタグループの今年1ー9月の世界販売は約752万9000台となり、独フォルクスワーゲン(VW)の約760万9000台を下回って首位を逃していた。トヨタグループでは今年、愛知製鋼の工場事故や熊本地震により国内部品会社の生産停止が相次ぎ、トヨタは国内工場の稼働一時停止を繰り返していた。
FCVやEVの選択肢も
次世代の環境対応車について、伊地知氏は、本命は燃料電池車(FCV)と指摘し、FCVに重点を置いて開発を進めていると話した。水素社会を実現する過程では排出ガスをなくすゼロエミッションを達成するため、FCVのほか、電気自動車(EV)という選択肢もあるとも述べた。
国内自動車決算では、ホンダが今期の営業利益や純利益予想を上方修正した。コスト削減効果や年金会計処理の影響などが円高の悪影響を吸収する。日産自動車は円高が響いて7−9月決算が減収減益となり、今期業績予想を据え置いた。
自己株取得・消却
トヨタは同日、自己株取得を決めたと発表した。4000万株(自己株を除く発行済み株総数の1.31%)、2000億円を上限に、15日から17年2月14日までに取得する予定。株主還元や資本効率の向上、機動的な資本政策を遂行するため。30日には自己株7500万株を消却するとも発表した。9月30日時点の自己株は約3億3468万株で、自己株を除く発行済み株総数が約30億5041万株。
伊地知氏は自己株について、経営の柔軟性を確保をするために3億株を確保し、それを超える分は原則、消却していくと話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-08/OG40F36TTDSI01
トヨタ、「稼ぐ力」減速 欧米勢と差縮まる
2016/11/8 19:18
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トヨタ自動車と欧米の自動車大手の「稼ぐ力」の差が縮まってきた。トヨタは円安の追い風がやむ一方、独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)は得意とする地域、車種の販売を伸ばして利益率を高めている。環境技術など将来への投資がかさむなか、商品力を鍛えて収益を引き上げる重要性が一段と高まっている。
決算会見するトヨタ自動車の伊地知隆彦副社長(8日午後、東京都文京区)
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決算会見するトヨタ自動車の伊地知隆彦副社長(8日午後、東京都文京区)
2016年7〜9月期の売上高営業利益率をみると、トヨタは前年同期比4.3ポイント減の7.3%にとどまる一方、VWは7.2%(特殊要因を除く)、GMは7%になった。円高に苦しむトヨタは研究開発費の増加なども利益率の低下につながった。
一方、VWは高級車ブランド「ポルシェ」などの販売が好調で、排ガス不正問題を機に始めた経費節減も寄与した。GMはガソリン安を追い風に北米で利幅が大きいピックアップトラックなどの販売を伸ばしている。
競争環境が厳しさを増すなか、より重要になるのは実質的に利益の4割を稼ぐ北米市場の収益力だ。米国市場は堅調だが、トヨタの販売は8月まで4カ月連続で前年割れ。北米は7〜9月期に営業減益となった。「ガソリン安で多目的スポーツ車(SUV)などの販売比率が高まったが、供給が追いつかなかった」(伊地知隆彦副社長)
トヨタはピックアップトラックを生産するテキサス工場では休日稼働などで生産能力を向上。メキシコの工場でも1億5千万ドル(約155億円)を投資して、ピックアップトラックの生産能力を6割引き上げる計画だ。次の課題は、主力の乗用車の強化に移る。
トヨタは17年、米国で年間40万台超を売る最量販車「カムリ」を全面改良して発売する。同社が進める新たな開発・設計手法「TNGA」をカムリ級の商品に応用する先駆けとなり、派生車の全面改良も相次ぐ。17年はトヨタの米国における「4番打者」であるカムリの販売動向が、同社の行方を大きく左右することになりそうだ。(名古屋支社 奥平和行)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD08H2Q_Y6A101C1000000/
トヨタ、世界販売を下方修正=北米に陰り、てこ入れ急務
トヨタ自動車は、日野自動車やダイハツ工業を含む2016年度の世界販売の見通しを1010万台(従来予想1015万台)に下方修正した。最大の市場である北米での販売に陰りが見えたことが響く。トヨタが得意とするコスト削減で営業利益こそ上方修正したが、「稼ぎ頭」のてこ入れ策が急務となっている。
「足元でやや弱含んでおり、今後も注意深く見守る必要がある」。トヨタの伊地知隆彦副社長は8日の記者会見で北米市場の先行きに警戒感を示した。
16年度の北米販売は、282万台(同288万台)の見通し。なお高水準だが、前年度実績の283.9万台から上積みを実現する計画を断念した格好だ。
背景には、人気車種の変化がある。北米ではガソリン価格の低下に伴い、大型のピックアップトラックやスポーツ用多目的車(SUV)などの販売が拡大。燃費の良い乗用車タイプは人気が低迷している。
これを映し、トヨタ単独の上半期(4〜9月)の北米販売は、主力エコカー「プリウス」が前年同期比22.8%減。大型車「タコマ」は5.6%増と堅調だったが、生産能力の不足からプリウスの落ち込みを補えず、全体では2.4%減と5年ぶりに前年同期を下回った。販売を拡大したホンダや日産自動車と比べ、トヨタの不振ぶりが際立つ。
トヨタは北米での巻き返しに向け、「顧客の需要に最大限応えていく」(伊地知副社長)構えだ。輸出を拡大するほか、タコマなど大型車を生産する既存工場の設備増強を順次進める。
ただ、メキシコ工場の生産能力を6万台引き上げる計画が完了するのは18年と、まだ先だ。北米事業は直近の7〜9月期に営業減益となっており、早期回復への道筋は見えていない。(2016/11/08-19:39)
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http://www.jiji.com/jc/article?k=2016110800795&g=eco
http://www.asyura2.com/16/hasan115/msg/465.html