赤い羽根募金というと私は幼いころ見たTBSのテレビ番組、
「大橋巨泉のこんなものいらない」という番組のテーマでとりあげられた「『赤い羽根募金』がなぜいらないか」の理由として、
毎年、使途不明金数十億(当時四十億円/年単位の使途不明金)がある
と取り上げられていたことに端を発する。
そのことをいまだに克明に覚えているのは、『偽善』と呼ぶにはこれ以上無いというくらいの明白な『悪』をそこで認識したからであり、幼心に怒りに打ち震えたからである。
その当時の記憶が温存してあることによって、いまだに赤い羽根をみると嫌悪感が募ってくるのである。
自分はそうした場所に混じりたくない、いかがわしい金集めには参加したくない、とした素直な心に「自分を感じる」わけである。
この番組のシリーズ最終回のテーマは、「国境など要らない」というテーマであったから、実に先進的な発想を形にした、今では珍しい番組作りが行われていたと感心する。そこに当時の人々の想いと、巨泉という人物の意志の強さ、豊かさを感じることができる。
人間として生まれたからには平和を希求する、という、至極当たり前でもっともな視点による締めくくりにて、惜しまれつつ番組を終えたが、いま再び当時のフィルムを蘇らすことは現代の若者の意識に一石を投じることになるかもしれない。ちなみに司会のリードを勤めたのは「とくだね」の小倉氏であるから、氏もまた同じ思いを共有しているはずである。
というわけで、現国会で自民党がこぞってその胸に”どのようにして生産されたかもわからない”「赤く塗られた鳥の羽」をつけているのをみると、非常にいかがわしい団体に見える、という自民党に対して滑稽で珍妙な印象を受けるという私の個人的な心情をこの場を借りて吐露するものである。
赤という色もなぜ赤なのか、羽をむしられている鳥の無残な惨状を脳裏に抱かせる時点でアウトなわけで、他生物の生き血をすすって生きている人間というおぞましさと、原罪的な発想とをくっつけたいだけなのか、さまざまな観念的な印象操作を与える時点で、シンボリックであり、そこにどう素直に善意の象徴として絡むのかも疑問である。
しかしながら、それがまた彼らにはマッチした色というか、そのいかがわしき団体と不穏なつながりをあえて示唆してみせているというか、まあ、そういうばかばかしさがあって実に漫画テイストに彩られた政権に感じるのである。
個人的に人のため善意を尽くしたいと本気で願うなら、金で事は解決せず、直接必要なもの奉仕しにいく気概なくして善意など存在しないのだから、しかたなく時点の金に換えて奉仕しに行く団体をそれぞれに作るほうがいい。
どこぞの馬の骨かわからないものに金を預けるだけなんざ、善意、施しと呼ぶにはおこがましい。都政改革同様、その金がどこにどう流れているのかそれを透明にすべきである。
信頼があるとするならそれでいいが、公表もされない使途不明金が数十億もあるところをただ信じて託すというのは馬鹿というか無責任でしかない。よってそんなところに金を預ける馬鹿はいない。
わかっていながら、易々と善意と称しては寄付金を募って集め歩く人間や、そこに寄付する人間もまた、自分がないのである。よほど人の目に恐れをなしているか、自分や人の世そのものを馬鹿にしているかのどちらかで、そうしてつねづね自身に対するやましさを抱えては、自分を否定し、仮面をかぶって、隠れて、さ迷い歩く人の類であり、そうしていながらやっぱり息苦しさを解消したいと願う。問題とはそうして人々が維持しているのである。
教育の現場では、寄付金を半強制的に徴収されていたと記憶する。いまでもそうだろう。真の教育者、金は二の次だとする人間はまことにいるのか?
もしいるのなら、そんなことはさせず、それぞれの人格に見合った、自分らしい善意の施し方を考えさせる、そのための機会を設けるべきだ。それが社会を育てることになる。
恐れに根ざした行為が世の中から一向になくならないのは、事の本質に目が向いていないままにあるからである。争いや批判の応酬ばかりが繰り返されている原因とはそれである。
であるならば、まずは自分に向き合って、自分の抱える、または社会の抱える問題の原因となる事の本質とは何かをしっかりと自身に追求すべきである。自分が何に踊らされているかを突き止めるのである。
特に教師たる立場のていたらくが目立つ。人の長と立つものがふがいないばかりに教育とは名ばかりの洗脳が横行している。
問題を解消することなど簡単である。
大事なのはそれぞれ、恐れの正体を自身の中に見極めることである。仮面をかぶった自分の姿に気づくことである。そうすることで、あらゆる事の本質に気づく。
自分に期待が持てるようになる。
自分を好きになる生き方の発想がおのずと身につくというものである。
http://www.asyura2.com/14/idletalk41/msg/417.html