TPP協定は、参加国すべてを縛る単一共通の取り決めは極めて限定的なものであり、実体は二国間合意の“集合体”と言えるものである。
今は選挙対策としてTPP反対を唱えているヒラリー・クリントンさんだが、第1期オバマ政権の国務長官としてTPP推進の旗を振った“実績”がある。
仮に大統領に当選したら、あれこれもっともらしい理由を持ち出してTPP協定の批准の動く可能性が高い。そのときには、今回の会談で安倍首相が語った「基本的価値を共有する各国が経済の絆を深めていくことは地域の安定にも資する」といった話を持ち出す可能性もある。
さらに言えば、二国間合意の“集合体”であるTPPの特質から、クリントン政権がいいとこ取りをする可能性も指摘できる。
この間のTPP交渉で有利な条件を獲得したものだけ相手国に実行を迫るというものである。
たとえば、日本に、米や牛肉の輸出に関する“特別待遇”や保険分野の“優遇”などはたとえTPPが発効しなくても、日米間の合意事項としてその履行を求めるといった対応である。
参加国の多くとEPAを締結している日本にとって、TPPは、日米EPAや日NZEPAを新たに締結する意味あいが強い。
TPPが発効しなくても、その交渉過程で米国やNZと合意した内容が履行されることになれば、“一部発効”ということになる。
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クリントン氏 安倍首相にTPP反対の考え伝える[NHK]
9月20日 10時27分
アメリカを訪れている安倍総理大臣は日本時間の20日朝、アメリカ大統領選挙の民主党の候補、ヒラリー・クリントン前国務長官と会談し、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の早期発効を目指す考えを示したのに対し、TPPに反対の考えを表明しているクリントン氏は同様の考えを伝えました。
この中で安倍総理大臣は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定について、基本的価値を共有する各国が経済の絆を深めていくことは地域の安定にも資するなどとして意義を強調し、早期発効を目指す考えを示しました。
これに対し、「雇用を奪うあらゆる貿易協定を阻止する」などとして、TPPに反対する考えを表明しているヒラリー・クリントン前国務長官は同様の考えを伝えました。
TPPをめぐっては、オバマ大統領は来年1月までのみずからの任期中に、アメリカ議会の承認を目指す考えを示しています。
一方、安倍総理大臣は「アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟の重要性はさらに高まっている。地域や世界の平和と安定に貢献していくうえにおいて、さらに日米同盟を強化したい」と述べました。
これに対し、クリントン氏は「日米関係はアジアのみならず、世界において平和と繁栄を実現していくうえで必要な要素だと考えている」と述べ、両氏は地域や世界の平和のために日米同盟は重要だという認識で一致しました。
また、クリントン氏は各地でテロが相次いでいることに触れ、「テロ対策への努力を倍増しなければならない」と指摘しました。
日本政府高官によりますと、会談ではこのほか、北朝鮮情勢や海洋の安全保障をめぐっても意見が交わされたということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160920/k10010695811000.html?utm_int=all_side_ranking-social_002
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ヒラリー・クリントン氏 ニューヨークで安倍首相と会談[スプートニク日本語]
2016年09月19日 16:35(アップデート 2016年09月19日 19:02)
米大統領選挙の民主党候補ヒラリー・クリントン氏は、国連総会に出席するためニューヨークを訪問中の安倍首相と19日に会談することで合意した。
共同通信によると、両氏は会談で、東アジアでの領土紛争や北朝鮮のミサイル・核プログラムをめぐる状況などを含む東アジア情勢について意見交換する。
また共同通信によると、会談はクリントン氏側が申し入れたという。
クリントン氏は、アジア太平洋地域における米国の重要な同盟国としての日本との緊密な関係を強調したい考えとみられる。