NHKスペシャル MEGA CRISIS 巨大危機〜脅威と闘う者たち〜 第2集 地震予測に挑む 〜次はいつ どこで起きるのか〜
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160911
初回放送 2016年9月11日(日) 午後9時00分〜9時49分 NHK
第2集は、巨大地震に立ち向かう科学者たちの挑戦の物語。熊本地震で「想定外」とされた2度の震度7だが、そのリスクは予測できたと考える研究者たちがいる。地殻変動や地震の発生パターンを読み解く最新科学によって、従来より高い精度で地震の危険度が予測できるようになりつつあるのだ。その手法で「次の危険地域」をあぶり出し、今度こそ事前に警告を発しようという奮闘が始まっている。一方、南海トラフ巨大地震が懸念される西日本では、海底に設置された最新観測網が異変を捉え始めている。巨大地震へのカウントダウンなのか?海底下に潜む“地震の巣”の間近で、いち早く「兆候」を捉えようとする新たな挑戦に密着する。
MEGA CRISIS 巨大危機 〜脅威と闘う者たち〜 第2集 地震予測に挑む
http://blog.goo.ne.jp/verdalando/e/51da37893dd2d59f7ac77a0040aa37f9
2016-09-13 03:44:34 Lignponto
日曜日(9月11日)に放映されたNHKスペシャルを観ました!
今回は、地震予測について!
最新の知見を報道していました。
非常に興味深い内容でした!!!
今回は、活断層等の動きからの地震の火種や低周波地震のスロースリップ、統計学の見地からの地震の天気予報的な地震予測まで多彩でした!!
皆さん色々な角度から地震予測をされているのだと思いました。
特に番組を観ていて思ったのが、早急に地震の天気予報を日本でもやってもらえないかと!!!
米国では、既に行われているのです!
確かに最初の内は、外れるかもしれませんが、よりデータの集積と解析の精度を上げる事で、予報の精度を上げていけば良いと思います!!!
天気予報も最初は、外れる事がありましたが、今は、以前に比べればかなり違うと思います!
事が起こってから右往左往するよりも外れても事前に準備ができた方が、被害を最小限にくい止める確率が上がるのではないでしょうか?
地震学会や関係機関には、早急の実施を御願いします!!!
番組の再放送があるので、観る事のできる方は、必見だと思います!!!
放送時間:NHK総合。2016年9月14日(水)午前0時10分〜0時59分(13日深夜)
http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160911
MEGA CRISIS 巨大危機〜脅威と闘う者たち〜 第2集 地震予測に挑む 〜次はいつ どこで起きるのか〜
地震予測に挑む 〜次はいつ どこで起きるのか〜201... 投稿者 gomizeromirai
【NHKスペシャル】シリーズMEGA CRISIS 巨大危機〜脅威と闘う者たち〜 第2集
http://ameblo.jp/skyblue-junior/entry-12199388091.html
2016-09-12 22:47:14NEW ! じゅにあのTV視聴録
【NHKスペシャル】
「シリーズMEGA CRISIS 巨大危機〜脅威と闘う者たち〜 第2集 地震予測に挑む〜次はいつどこで起きるのか〜」
(NHK総合・2016/9/11放送)
※公式サイト:http://www6.nhk.or.jp/special/
<感想>
今後、日本で起こりうる巨大地震を予知する科学者たちの挑戦、非常に興味深く視聴しましたが今回新たに出てきたのは「統計学に基づく地震予知」。これは今まで余り見掛けたことのない新しいアプローチのような気がします。
今のところ海洋地震の予知も含め実用化まではいっていないようですが、それでも日本地震学会の山岡耕春会長の言うように、仕組みから地震を予測する従来のアプローチと合わせて「地震予報」に向けた研究が待たれるところです。「本日は地震確率が○%です」と予報が出されれば、私たちもそれなりの準備ができるわけです。例えば着替えや備蓄用品を持って出勤したりとか。もちろん巨大地震がないに越したことはないのですが、前もって心構えができるのとそうでないのとでは大きな違いがあります。
そんな時代がくるような科学の進歩を期待したいところです。
<視聴メモ・番組内容(いわゆるネタバレ)が含まれています>
※見出しは当方で付けました。
・壊滅的な被害をもたらす巨大地震、次はいつどこで起こるのか。平穏な日常が突如、危機へと変貌する。それが私たちの生きる時代。
・二度の激震で多くの命や暮らしを奪った熊本地震。全国各地で強い揺れを伴う地震が相次いでいる。日本は地震の活動期に入ったのか。
・警戒が高まる次の巨大地震、その危機を乗り越えることはできるのか。未来を地震を予測する闘いが始まっている。
・深い海の底で巨大地震の前兆を捉えようと挑む最先端の観測網。見えないものが見えてきた。
・統計学者は、かつてない地震予報の実現を目指している。地震が起きる確率が高い場所を毎日の天気予報のようにはじき出そうというのだ。
・そして熊本地震の解析からは、次の地震を引き起こす火種が見えてきた。一つの地震が起きたら、その直後が一番危険。
・突然の危機から人々を守るために、次の地震を予測する最前線の闘いに迫る。
<突如襲う大地震の脅威 未来の危機を予測せよ>
私たちの生活を脅かす巨大な危機をどう乗り越えればいいのか。その戦いの最前線に迫ります。今回取り上げるのは、未来の大地震を予測する闘い。全国には2000を超える活断層があります。そのどこで地震が起きてもおかしくない。そう言われています。でもその中でも特に今、どの活断層で地震の危機が高まっているのか。それを予測しようという研究が熊本地震を機に新たな展開を見せています(有働由美子アナウンサー 以下、有働)
・震度7の揺れに連続して襲われた熊本県益城町、破壊された多くの家が今も手付かずのまま残されている。多くの人たちにとって予期しない中で起きた大地震だった。
熊本県には決して大きな地震は来ない、そんな過信が私の中にあったのではないか。常にその思いがわき起こり、鋭いとげとなって胸に突き刺さります(蒲島郁夫熊本県知事)
・どうすれば地震の危険が迫っていることを科学的に示せるのか、挑み続けている研究者がいる。東北大学災害科学国際研究所の遠田晋次教授は、地震が起きる場所には地震を起こすきっかけ、いわば火種があるはずだと考えている。
火種というか活断層全体を動かすために何らかのきっかけがいる。大きい地震が起こりやすくなった状態、もしくは起こりにくくなった状態をある程度明示することは可能(遠田氏)
<次の地震を起こす「火種」 見えてきた予測のカギ>
・地震の火種とは何か、遠田氏がその実態を初めて捉えたのはトルコで起きた大地震だった。トルコ北部を全長約1000kmにわたって貫く北アナトリア断層。
・1999年8月、この活断層の一部がずれ動きマグニチュード7.6の大地震が発生(イズミット地震)。さらに3か月経たぬうちに、その東側でマグニチュード7.2の大地震が起きた(デュズジェ地震)。
・連続して起きた2つの地震には密接な関係があるはずだと遠田氏は考えた。氏が思い描く地震連鎖のメカニズム。活断層の一部がずれ動いて地震が発生すると、動いた断層の両端で地盤が大きくひずむ。ひずみがある場所では小規模な地震が発生しやすくなる。
・地盤のひずみと小さな地震活動、この2つが重なった所に地震の火種が生まれる。そこにずれ動きやすい活断層があると、やがて火種がきっかけとなって次の地震が発生する可能性がある。地震の火種は活断層がずれる方向や大きさによって様々な形で現れる、遠田氏はそう考えた。
・トルコで起きた大地震の場合はどうだったのか。最初に起きたマグニチュード7.6の大地震では、5つの活断層がずれ動き地震が発生。断層の動きからひずみが生じていた。その後、小規模な地震が発生。火種が生まれた。3か月後の大地震はまさにその火種の中の活断層がずれ動いて起きていた。ひとたび地震が起きて火種が生まれると、周辺で次の地震が起きやすくなるという新たな発見だった。
・日本で起きる地震も、この地震の火種によって引き起こされているのではないか。その仮説が裏付けられる形となったのが、熊本地震の二度の震度7だった。
・4月14日に発生した最初の地震(マグニチュード6.5)。遠田氏はこの地震で発生したひずみを計算した。ずれ動いたのは活断層からひずみが生じた。その後、小さな地震が頻発。地震の火種が生まれた。そして2日後の4月16日、まさに火種の中の活断層がずれ動いて再び大地震が発生(マグニチュード7.3)、二度目の震度7が熊本を襲った。
・もしかしたら一連の熊本地震の前にも何かしらの火種があったのではないか、遠田氏は過去の地震のデータを徹底的に洗い出した。すると鍵となる一つの地震が浮かび上がった。それは2000年6月に起きたマグニチュード5.0の地震。ずれ動いた活断層の周囲にひずみが生じたことが分かった。その後、小さな地震が頻発、地震の火種が生まれていた。今年4月の最初の地震は、その火種から延びる活断層がずれ動いて発生していた。
2000年の地震が長期で見たときの大地震前のシグナルだった。だから地震が連鎖していったという見方です(遠田氏)
<最新研究が予測する 日本各地の「地震の火種」>
・熊本地震の解析から見えてきた地震の火種という新たな手がかり。これを用いれば、次に大地震が起こりやすい場所を予測できるのではないか。遠田氏は過去20年間の地震を解析、これまでに2か所で火種が見つかっている。
・1つ目は糸魚川−静岡構造線断層帯が貫いているエリア。5年前、長野県でマグニチュード5クラスの地震が相次ぎ、ひずみが生じた。さらに小さな地震が多数発生、火種が生まれていると見られる。その周辺の牛伏寺断層は注意が必要だという。
・2つ目は仙台市周辺、長町−利府線断層帯。1998年、マグニチュード5の地震が発生。その後、ひずみが生じた部分で小さな地震が相次ぎ火種が生まれていると見られる。一見、断層から離れているが、地下を見ると断層は地下に入って斜めに入り込んでいて、火種はその断層面の上にのっていることが分かる。
・長町−利府線断層帯が一度にずれ動いた場合、国の想定によると仙台市で最大震度7の揺れが発生する。最悪の場合、死者は1000人に上ると予測されている。
日本全国どこでも地震が起きるという伝え方をしてしまうと逆に意識しなくなると思いますので、主要な活断層はここにあるとか、そういう情報をいかに減災に結びつけられるかということが重要(遠田氏)
<次の地震を起こす「火種」 見えてきた予測のカギ>
今の2か所についてもすごく気になるんですけど、地震の火種、もう一度教えていただいていいですか(有働)
・日本地震学会の山岡耕春会長(以下、山岡氏)は地震の火種について、両方の岩盤がずれ両端にしわ寄せが寄る。そこにひずみが溜まって、そこでこう小さな地震が起きていって、その影響でまた次の地震が起きる。これが火種となって次の地震をまた誘発していくというようなことが起こりうるということをモデルを示して説明した。
地震が起きると何か少しパワーが逃れたから、ちょっと安心だみたいな気持ちになるんですけど(有働)
それは非常に正しいんですよ。断層がずれるとですね、まさにその場所のエネルギーは減るんですね。だけどその周辺にひずみが集まってきて、またそれが原因となってすぐ隣りで地震が起きるとか、より大きな地震が起きるというところにつながるというのがこの考えですね(山岡氏)
先日イタリアで活断層がずれて起きたマグニチュード6.2の地震なんですけれども、これがその映像ですけれども、まさにもう街が本当に全部、崩れていっている(有働)
古い石造りの建物なんかに非常に大きな被害をもたらしているように見えます(山岡氏)
それも地震の火種が引き起こしたと考えられるということなんですよね(有働)
ここでは2009年にラクイラという所で地震があった。それは今回起きた震源からいうと20〜30km南の場所。そのラクイラの地震によって、ひずみが集中して、そこが火種になった。そうして今回はその北側の火種の部分の中で先日の地震が起きたということになるんです。ですから、2009年のラクイラの地震の影響を受けて、先日のイタリアの地震が発生したというふうに言ってもいいのではないかなと思います(山岡氏)
そうすると、長野と宮城県の仙台の2か所の火種なんですけど、どのぐらい危ないと受け止めたらいいんです?(有働)
それぞれですね、今までの地質学的な研究によってですね、例えば牛伏寺断層の場合は大体500年ぐらいに1回、地震を起こしているという所で、もう既にその1つ前の地震からその時間を超えていてですね、ある意味でいつ地震が起きてもおかしくないっていう状況になってますし、長町−利府線断層帯もやっぱり同じような状況になっているんですね(山岡氏)
しかもそこに今、いわゆる地震の火種が(有働)
起きていると。その火種がくすぶっている間に、ひょっとしたら大きな地震が起きるかもしれない。ただその火種がですね、だんだん消えていってしまうこともありうるので、だから火種ができたからといって、必ず地震が起きるわけでもない。ただ(周辺の)活断層で起きる地震に歩みを進めるプロセスであることは間違いない。それぞれの場所で家の耐震性、家具の固定、非常用品の準備など地震に対する備えをすることが大事(山岡氏)
熊本地震の後に何か全国で地震が頻発しているというふうに体感として感じるんですけども、それって熊本地震の火種が全国に飛んでいるっていうか、そういうことは考えられませんか?(有働)
おそらくそれはないと思うんですね。最初の火種の影響を受ける範囲っていうのは比較的限られていて、関東地方だともう1000kmぐらい離れてますので、これはもう殆ど関係ないと。ただ例えば九州の中とかですね、九州のちょっと周辺ぐらいは、やっぱり影響を受ける可能性があるんですね(山岡氏)
私たち気になる南海トラフはどうですか?(有働)
南海トラフに関して言うと、ワンステップ先かなと僕は印象を持っているんですけど、心配ではありますね(山岡氏)
<巨大地震が迫る南海トラフ 最新観測がとらえた異変>
・南海トラフとは東海から九州の沖合まで続く海底の深い溝。そこでは日本列島の下に海側からプレートと呼ばれる岩盤が沈み込んでいる。押されている陸側のプレートは90年から150年に一度跳ね上がる。これが南海トラフの巨大地震。
・その前触れを捉えようという研究が始まっている。京都大学防災研究所の山下裕亮助教は、高感度の地震計を使って地下深くで何が起きているのかを探っている。今年4月の熊本地震以降、山下氏はある異変に気づいた。地震計がごく小さい不気味な揺れを捉え始めていた。
熊本の地震の直後は余震がたくさんあって殆ど何も見えなかったんですけど(通常の地震と)明らかに違う波形が見えていて、これは九州の東の日向灘で起こっている低周波微動の波形になります(山下氏)
・揺れの発生源は南海トラフの西の端にあたる日向灘。そこで熊本地震の翌日から低いうなりのような揺れが2週間にわたって発生していた。解析の結果、山下氏が導き出した揺れの正体とは何か。
・4月14日、熊本で最初の震度7を記録した大地震が発生。その衝撃で陸側のプレートがゆっくりとずれ動き始めた。2つのプレートの境目ではごく小さな地震が頻発。これが不気味な揺れの正体だと考えられる。プレートがゆっくりとずれ動くこの現象は「スロースリップ」と呼ばれている。このスロースリップが巨大地震の引き金となる可能性が指摘され始めている。
・巨大地震とスロースリップの関係が注目されたのは、5年前に起きた東北沖の巨大地震(東日本大震災)。地震の後、海底から回収された地震計に驚くべきデータが記録されていた。巨大地震の1か月以上前からスロースリップの発生を示す小さな長い揺れが捉えられていた。
・解析の結果、スロースリップは宮城県の沖合で発生していたことが分かった。そのすぐそばでマグニチュード9の巨大地震が発生したのだ。スロースリップに引きずられる形で大きなエネルギーを蓄えた震源域が、一気にずれ動いたと考えられる。
巨大地震が起こる準備の過程ですね。ちょっとずつ緩んでいく、そのときにスロー地震(スロースリップ)が起きるのではないか(同上)
・南海トラフで起きているスロースリップも、巨大地震の前触れなのか。山下助教は4年前から日向灘の海底にも地震計を設置し監視を続けている。解析の結果、去年のデータから気がかりな現象が見つかった。
・日向灘の南にはスロースリップが繰り返し起きているエリアがある。去年、その範囲が東側へ大きく広がったことが分かった。その先には南海トラフで想定される巨大地震の震源域がある。
南海トラフの想定震源域に近い方向に(スロースリップが)広がっていくと危ういなと。ここがひずみを十分にためきっている状態で隣からポッと押されると、それで地震が起こってしまう可能性も否定はできない(同上)
・南海トラフの巨大地震。最悪の場合、どんな危機が日本を襲うのか。国の想定に基づくシミュレーションはどのようなものか。
・プレートが跳ね上がり海底が大きく隆起する。地震の規模は最大でマグニチュード9.1、激しい揺れが九州から東海までの広い範囲を襲う。最大の揺れは震度7、東京でも超高層ビルが大きな揺れに見舞われる。
・激しい揺れが収まらないうちに襲いかかるのが津波。紀伊半島の南部では最短で地震発生の僅か2分後に津波が到達。
・死者は最悪の場合32万人以上、未曽有の広域災害だ。
<巨大地震が迫る南海トラフ 地底観測で前兆をつかめ>
・巨大地震の予兆をどうにかして捉えたい、鍵を握るのはスロースリップの監視だ。今、南海トラフではスロースリップをいち早く捉える画期的な観測網の建設が進められている。
・プロジェクトの中核を担う海洋研究開発機構の荒木英一郎氏らは、南海トラフの海底に総延長800kmを超える観測ケーブルを張り巡らせた。「DONET」(地震・津波観測監視システム)と名づけられた大規模な海底観測網だ。
・今、この観測網に巨大地震の前兆を捉える特別な装置を接続しようとしている。それが一見、電柱のような装置。内部には高精度の圧力センサーが搭載されている。
・荒木氏らの計画では、南海トラフの海底に深い縦穴を掘り、そこに圧力センサーを差し込みDONETの海底ケーブルに接続する。スロースリップが起これば周囲の岩盤が広がり、圧力が下がる。その僅かな変化を常に観測し、巨大地震の前触れをいち早く捉えたいと考えている。
地震というのはその前の準備の段階では、ゆっくりと動いているかもしれません。それは非常に小さな動きでしかないので、こういうふうな非常に感度のいい装置をうまく動くような環境に、すなわち地下の井戸の中に入れないと小さな現象は見えてこない(荒木氏)
・今年4月、海底の縦穴に圧力センサーを差し込む作業が行われた。壊れやすいセンサーを激しい海流の中に沈めていく。水深2523m、センサーの先端が縦穴の入口に到達した。海底のさらに下、650mの深さにまで差し込んだ。既に深い海の底からセンサーが捉えたデータが刻々と届き始めている。
もっともっと観測を高いレベルでしていく。今こうなっていますよ、だんだん変化していますよ、地震が近づいていることはデータからいっても間違いないですよ、というようなことが情報として出していけるように研究していきたい(同上)
<巨大地震の準備段階か 南海トラフの異変を監視せよ>
じゃあ、もう南海トラフの地震は、いよいよ迫っているということですよね?(有働)
いや、まだどこまで迫っているかはよく分からないんですよ。ただ先ほど出てきたようなスロースリップという現象が起きると着実に地震に向けて一歩、歩みを進めるということが起きるんですね。とにかく南海トラフは巨大地震に向けて進んでいることは間違いない(山岡氏)
そのスロースリップで言いますと、ゆっくりずれているということはエネルギー解消しているから、逆にパーンと跳ね上がることはないっていうふうには考えられないんですか?(有働)
実はそうではないんですね。スロースリップを起こしている場所もあれば、全く起こしていない場所もある。そうすると、ゆっくりこっちでスロースリップを起こして、こっちでスロースリップを起こしてっていうことがあるとですね、全くスロースリップを起こしていない場所にどんどんひずみがたまっていって、そこが一気にバンと滑る。それが巨大地震になる。ですからスロースリップというのは、南海トラフの場合には巨大地震を準備しているプロセスそのものなんですよね。スロースリップが起これば起こるほど巨大地震に近づくということなんですね(山岡氏)
先ほどの深い海の中に掘っていたセンサーですけれども、あれからはどんなことがこのあと分かってくるんですか?(有働)
南海トラフの巨大地震の震源域って差し渡し700kmぐらいあるものですから、1か所調べるだけで全てが分かるということではもちろんない。けれども、今までにないようなスロースリップを起こしたかどうか、そのうち分かってくる可能性がある。今までにないことが起きているときには、ちょっと心配しなければいけない(山岡氏)
よく30年以内に何%とか言われますけども、南海トラフで言うと今、私たちどのぐらいだというふうに感覚的に持っていればいいのですか?(有働)
国は30年以内に南海トラフは70%の確率で起きると言っているわけですよね(山岡)
ちなみに南海トラフが起きないという可能性はあるんですか?(有働)
起きないという可能性はない。必ず起きます。あまり時間が残されていない可能性もある。だから防災上はそういうものだと思って、とにかく一生懸命、防災対策を進めておいて、いつ来てもいいように備えておく。それに加えて、いろいろな観測から切迫感が高まってきたら事前に準備をする。いろんなやり方ができると思うんですね(山岡氏)
<ついに「地震予報」が実現? 明日の危険を予測せよ>
・ここまで地震の予測を見てきたが、有働アナウンサーが表を示した。これはまだ世の中には公開されていないもので、これまでの予測とは全く違う手法で計算された「地震予報」。今年の8月20日から1か月以内を示しているという。マグニチュード4以上の地震が起きる確率が高い地域というのが赤い色で示されている。
・この予報を導き出したのは統計学という手法というのだ。
・統計学の研究の拠点、統計数理研究所。ここに地震予報の実現を目指す科学者がいる。尾形良彦名誉教授は、統計学で地震の発生確率を予測する研究を長年続けてきた。
・統計学とは、交通事故や病気の発生、経済の変動に至るまで様々な出来事を数学的に分析する手法。例えば交通事故、いつどこで事故が起きているかという膨大なデータを集め分析すると、事故が起きる確率の高い場所が浮かび上がる。さらに時刻に注目すると、場所ごとに事故が起こりやすい時間帯の傾向が見えてくる。
・こうして事故の場所や時間帯のパターンをあぶり出せば、ある場所で今後事故が起きる確率を導き出すことができる。これが「統計学による確率予測」だ。
・地震も統計学でその発生パターンを読み解けば、それぞれの場所で今後地震が起きる確率が分かるのではないか、尾形氏はそう考えた。
これは昭和元年(1926年)からのデータです(尾形氏)
・尾形氏は過去に日本全国で起きた地震を、体に感じないごく小さなものまでくまなく解析した。その数は実に数百万、するとこれまで気づくことができなかった地震の発生パターンが浮かび上がってきた。
・その成果を最初に発表したのは2003年。全く新しい地震予測は研究者たちを驚かせた。尾形氏が予測した地震の起きやすい場所。実際にその後、内陸で発生した9つの大地震のうち6つが確率の高い地域で起こった。
・さらに尾形氏は、いつ地震が起きやすいかも予測しようと考えた。全国を10km四方の地域に区切って解析すると、時間が経つにつれて地震の発生する頻度が高くなったり低くなったりする傾向が地域によって異なることが分かった。
・こうしたパターンを読み解いて、ある地域で今後どれだけ地震が起こりやすいか確率を計算する数式が導き出された。この数式に毎日、各地で起きる地震の情報を入れると、刻々と今後の地震の発生確率が変化する。まるで天気予報のように地震が起きる確率の高い場所を予測しようというのだ。
・気になるのは、その予測の精度。7月1日の時点で計算されていた関東地方の地震発生確率で7月中にマグニチュード4以上の地震が起きる確率が他より高いと予測された場所で、7月17日と20日に茨城南部で、27日に茨城北部で地震が発生。
・尾形氏は今後、地震のデータが増えれば増えるほど更に精度の高い確率予測ができると考えている。
地震活動というのは極めて統計的なアプローチをしないと(地震活動の)背後にある物理的な要素は分かりませんので、できるだけ近い将来にこういうことが積み重なって確率予報ができるとすれば、こういう努力なしには難しい(同上)
すごいですね。8月20日から1か月以内にマグニチュード4以上の地震が起きる確率予測を見ると、熊本が8月31日にマグニチュード5.2、最大震度5弱の地震に見舞われましたけれども、リスクの高い赤色の地域に入っています。そして和歌山も赤くなっています。そして千葉、神奈川、茨城など関東周辺も赤くなっっていて、この赤い地域が他の場所に比べてより地震が起きる確率が高いといことなんですけれども(有働)
例えば熊本は先日地震があって、まだまだ余震活動が活発である。だからマグニチュード4を超える地震の確率が高い。それから例えば和歌山とか千葉とかその辺りは普段から地震活動が活発な場所である。それがこの確率の情報に反映されているというふうに考えて下さい。過去100年近くに起きたことが将来も起きるだろうとして予測。マグニチュード4とか5の地震は日本列島でたくさん起きているので、比較的予測がしやすい。めったに起きないような地震はなかなか予測が難しい(山岡氏)
でも心配な立場からすると尾形さんのあの確率予報ですよね。それも見せてほしいと思うんですけれども、公開されるっていうのっていつぐらいになりそうなんですか?(有働)
まだ現時点ではテストの段階なんですね。実際に起きた地震と比較をして、成績がいいとか悪いとかってやっている今、段階ですね。ただ海の向こうのアメリカでは明日の地震の確率をすでに公表している。(山岡氏)
・アメリカ西海岸カリフォルニア州。全長1300kmに及ぶサンアンドレアス断層が南北に貫く地震のリスクが高い地域。これまでも度々、甚大な地震災害に見舞われてきた(1906年のサンフランシスコ地震、1994年のノースリッジ地震)。
・アメリカ政府の地震研究機関であるアメリカ地質調査所は、統計学で求めた地震発生の確率を地震予報として公開した(STEP 24時間地震予報)。
・カリフォルニア州の中で24時間以内に震度4以上の地震が発生する確率が高い地域を地図で示すもの。
この地図は何らかの被害を伴うような地震が24時間以内にどれくらいの確率で起きるかを色で示す。黄色から緑色のエリアでは確率が1%と計算されている(アメリカ地質調査所のアンドリュー・マイケルさん)
・この地震予報はアメリカ地質調査所のホームページで公表され、1時間ごとに自動で更新する仕組み。
たとえ確率が低くても地震が起きれば災害につながる。だからこそ伝えることが重要。どんな情報も科学者だけに留めず、全ての人に公開する必要があると考えている(同上)
<地震の巨大危機を予測せよ 命を守る最前線の闘い>
24時間以内に起こる確率が天気予報のように出されているというのは、びっくりするんですけれども。日本も公開したらどうかなって思いますけど(有働)
やっぱり日本の場合には、まだまだ公開したときにどういう社会の反応があるかっていうところがつかめてないので、なかなか公開できないっていう部分があると思うんですよね(山岡氏)
でもこれ天気予報もすごく精度上がりましたけど、外れることもあるじゃないですか(有働)
もちろんありますよね(山岡氏)
ということは、出していけばいつかは天気予報みたいに自分たちの中でどう見るのかっていうのができそうな気もするんですけど(有働)
その通りだと思うんですよね。地震の予報もですね、ある程度時間が経つとその辺の肌感覚がひょっとしたらできてきて、ごく素直に受け入れてもらえるようになる可能性はあるんですよね(山岡氏)
これからの地震の予測ってどういうふうに展開していくんですか?(有働)
従来の予測っていうのは、仕組みから地震を予測しようっていうやり方。例えば遠田教授の地震の火種の研究とか、荒木さんのスロースリップを使ったような研究というのは、どちらかというと仕組みを明らかにしながら地震を予測をしていこうっていう研究。尾形さんの研究というのは仕組みはとりあえず置いておいて、過去に起こってきた地震のパターンから法則性を見つけて地震の予測をしようというやり方なんですね。両方とも必要なんです。だから将来的には2つの手法が交わってというか一緒になって、仕組みの知識も入れながら確率的な予測もしていくということが必要になってきます(山岡氏)
「何か予測って難しいんじゃないかって、地面の中で起きていることだし、ちょっと何か諦めに似た気持ちみたいなものもあったんですけど、科学者の方々はそれをつぶさに見てらっしゃるんですね(有働)
私たちの感覚としては確実な予測は難しいだろうと。だけど全くできないわけではないということも分かっているんです。ですから全くできないわけではないので、少しでもできることを防災に役立てていきたいというのが、実際に現場の研究者たちの心にあるんですね。ですから確実でなければ駄目だというふうに言うと、結局何もできないので、やっぱり少しでも分かることは情報として出していって、それを災害軽減に役立てる方法を考えてほしいなというふうに思いますね(山岡氏)
・今も地震活動が続く熊本。この先に起きることを科学でどこまで予測できるのか、ありのままを伝えようと地震学者たちが説明会を開いた。被災地の人たちの不安に直接答えようという試みだ。
やっぱり我々が、我々の口から伝えていかなくてはいけない。限界も含めて説明をしていくということが、やっぱり必要だろうと思います(九州大学の清水洋教授)
・科学的な予測を防災に生かそうと、自治体も動き始めている。和歌山県防災企画課の石橋正信氏は、南海トラフを監視する海底観測網DONETで巨大津波を予測するシステムを開発した。地震が発生すると海底の圧力計で津波を検知し、高さや到達時刻を瞬時に予測する。その予測を津波が到達するより前に市町村に伝えることができる。
ここまで細かいレベルでの予測ができるシステムというのは今までにない。地域に特化して計算しているからこそ、予測が可能になっています(石橋氏)
・石橋氏はこのシステムを地域の人たちの迅速な避難に生かしてほしいと考えている。
まず命を守る、逃げていただかなければならない。そういうことに役立てばいいかな(同上)
・巨大地震という危機から私たちは逃れることはできない。でも決して諦めない。最前線では今も次の地震を予測する闘いが続いている。
(2016/9/12視聴・2016/9/12記)