世界的な資産価格の上昇、買われ過ぎの恐れも
ワシントンの米連邦準備制度理事会(FRB)本部 PHOTO: TOM WILLIAMS/CONGRESSIONAL QUARTERLY/NEWSCOM/ZUMA PRESS
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IRA IOSEBASHVILI AND CHELSEY DULANEY
2016 年 9 月 6 日 12:51 JST
米国株から新興国市場に至るまであらゆる資産の価格が年初来上昇しているが、こうした広範な上昇相場が今後も続くかどうかは今秋明らかになる米企業の業績や金利動向次第となりそうだ。
数年にわたり緩和政策で市場を支えてきた各国の中央銀行が突然方針転換すると懸念しているアナリストはほとんどいない。だが一部の運用担当者は、経済の全般的なファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は異常なまでに高い相場水準に追い付いておらず、市場心理が不意に変化すれば資産価格はすぐにも下げに転じかねないと警告している。
こうした懸念は、先進国の株式や新興国債券、原油や金などのコモディティー(国際商品)の上昇が金融緩和やドル相場の安定によって支えられているように見えることによって拍車が掛かっている。この前提条件が崩れれば、影響はあらゆる市場に広がる可能性がある。2016年の年初からの数週間には、前の月に米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを実施したことを受け、こうした資産が一斉に売り込まれた。
今のところ、多くの投資家は引き続き運用に積極的だ。08年金融危機の前のように銀行がレバレッジを高めたり住宅価格が急騰したり、といった過度のリスクテイクの兆候はほとんどないと見ているからだ。買われ過ぎだとか、ボラティリティー(変動率)が不安になるほど低いという指摘はあるものの、買いの好機を逃したくない多くの運用担当者は手元資金を大幅に増やすことには乗り気ではない。
米クレスキャット・キャピタルのケビン・スミス最高経営責任者(CEO)は「ファンダメンタルズに懐疑的かどうかと聞かれれば、答えはイエスだ。だが、下落に転じる前にはもっとフロス(小さなバブル)が増えるだろう」と語った。
【左】新興国の実質国内総生産(GDP)成長率、前年比【右】新興国ファンドへの資金流入額(単位:十億ドル)
https://si.wsj.net/public/resources/images/MI-CR506_REFLAT_16U_20160905102408.jpg
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX指数、恐怖指数)はここ数週間で2年ぶりの低水準をつけており、投資家が悠長に構えすぎており市場の予想外の動きに不意を突かれる恐れがあることを示唆している。VIX指数は2日時点で11.98だったが、これは1月や6月の水準の半分未満という低さだ。1月の安値からの上昇率を見ると、2日時点でS&P500種指数が6.7%、米原油価格が20%、MSCI新興国株式指数が31%だ。一方、足元の米経済成長はまだら模様で、雇用市場が順調に改善しつつも、製造業はなかなか不振から抜け出せない。また原油在庫は過去最高近く、減少の兆しがほとんど見えない。
相場を左右する一つの鍵を握るのがFRBだ。CMEグループによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む12月利上げ確率は直近で51%と、2カ月ほど前の約12%から上昇している。ここ1年は利上げ期待が銀行株や公益株などを激しく値動きさせてきた。
米国が利上げしただけで世界の経済成長が頓挫すると考えている投資家はほとんどいないものの、多くは今後1年から1年半先にかけて、追加利上げに伴い高配当株などの高利回り商品の魅力が薄れれば運用方針を変更する構えだ。過去12カ月の利益に基づいて算出した株価収益率(PER)を見ると、利回りを求める投資家の間で人気の高い公益株は19.3倍、S&P500種指数は18.4倍で推移している。
デルテック・インターナショナルの最高投資責任者(CIO)、アチュル・レーレ氏は「米金融政策の引き締めに伴い、割安で潤沢なドルの流動性を追い風に買われてきた株式よりも、経済成長に敏感な株式を増やしたいと考えている」と述べた。
レーレ氏は公益株や不動産投資信託(REIT)などの高利回り商品は買われすぎとして投資を見送っている。例えば、不動産調査会社グリーン・ストリートによると、REITのPERは7月末時点で23倍と、2000年時点での10倍未満を大きく上回る。同氏が買っているのは新規住宅販売の伸びが期待できる住宅株などだ。
企業の業績に重点を置く投資家もいる。S&P500種指数構成企業の純利益は4四半期連続で、収益は6四半期連続で減少している。
BNYメロン・ウェルス・マネジメントのCIO、レオ・グロホウスキー氏は、株価の上昇と企業の業績不振への懸念から、株式の保有比率を減らした。相応の増益がないにもかかわらず株価が上がり続ければ、株式の比率をさらに下げるつもりだという。
一部の投資家は、最近の原油価格の持ち直しで企業の収益が上向くことを期待している。ファクトセットによると、S&P500種指数構成企業は7-9月期も前年比で減益が見込まれるが、10-12月期にはエネルギーセクターの黒字化に伴い5.5%の増益が予想されている。
新興国市場への不安もある。新興国資産に特化したファンドは4-6月期で流入超に転じたが、開発途上国の経済成長は緩慢だ。
ロンドンのヘッジファンド、ファサナラ・キャピタルのCIO、フランチェスコ・フィリア氏は、多くの投資家が買いの手を緩めないのは、上昇相場に乗っていれば収益率を高められるからであって「(相場に)強気だからではない」と指摘した。
浜田内閣官房参与:日銀はFOMC決定前の追加緩和は控えるべきだ
日高正裕、藤岡徹
2016年9月6日 11:30 JST
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日銀が行動起こしても米国の決定次第で為替はより大きな影響
一段の円高を食い止めるため当局は何らかのアクションを
浜田宏一内閣官房参与は、20、21日に日本銀行が開く金融政策決定会合について、米国時間21日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)の決定前に追加緩和を行うことは差し控えた方がよいとの考えを示した。
日銀が金融調節方針を決定するのは21日で、FOMCの決定はその数時間後に明らかになる見込み。浜田氏は5日の英語によるインタビューで、日銀が行動を起こしても、米連銀の決定次第で為替相場がより大きな影響を受ける可能性が強いことから、日銀はFOMCの決定を待つべきだと述べた。
浜田宏一氏
浜田宏一氏 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg *** Local Caption *** Koichi Hamada
浜田氏は、今年に入って為替相場の円高が進行したことについて強い懸念を示した上で、日本の当局は一段の円高を食い止めるため、何らかのアクションに踏み切るのが望ましいとの考えを示した。
米国が量的緩和の出口に向かうのをちゅうちょすれば、日本は財務省の為替介入や日銀の外債購入によって投機的な為替投資家により真剣に対抗すべきだ、と述べた。
外債購入
8月31日には上田ハーローがウェブサイト上で開いた特別セミナーで、財務省の為替市場介入や日銀による外債購入は「リーガルには許されている」と述べながらも、「問題は相手がどれほど報復してくるか」だと述べ、政策の実現には米国との関係が重要になるとの見方を示した。
安倍晋三首相は5日、中国・杭州での20カ国・地域(G20)首脳会議後の記者会見で、日銀の外債購入について「為替介入を目的とする場合は、日銀法上、日銀が自ら行うことは認められていない」と述べた。その上で「金融政策の具体的手法は日銀に委ねるべきと考えており、私は黒田総裁の手腕を信頼している」と語った。
日銀は7月29日の金融政策決定会合で、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れペースを年間6兆円にほぼ倍増する追加緩和を行うとともに、マイナス金利付き量的・質的金融緩和の下での経済・物価動向や政策効果について、総括的な検証を行うと表明。議長の黒田東彦総裁がその準備を執行部に指示した。
黒田総裁は5日の講演で、総括的な検証について「市場の一部で言われているような緩和の縮小という方向の議論ではない」と述べた。その上で、量、質、金利の各次元での拡大は「まだ十分可能だ」と述べるとともに、「それ以外のアイデアも議論の俎上(そじょう)から外すべきではない」とも語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD21OK6K50XT01
ゴールドマンとモルガンSのギャップ広がる−9月の米利上げめぐり
Kevin Buckland
2016年9月6日 11:26 JST
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https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iOW2hM9Atf4I/v2/-1x-1.png
ゴールドマンは米雇用統計を受け、今月の利上げ確率55%に引き上げ
モルガンSはインフレ圧力の欠如などを理由に据え置きと予想
米国で今月利上げがあるのかをめぐり、ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレーの見方に大きなギャップが生じている。2日発表された8月の米雇用統計で市場の方向感が決まらなかったことが大きい。
ゴールドマンのジャン・ハッチウス、ザック・パンドル両エコノミストは8月の非農業部門雇用者数の15万1000人増加について、今月20ー21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが実施される確率の押し上げに十分だとして、確率を55%に引き上げた。一方、モルガン・スタンレーのマシュー・ホーンバック氏が率いる同行ストラテジストらは米国債に強気の姿勢を崩さない。米労働市場にスラックが依然残り、インフレ圧力もないため、金利変更はないとみる。
イエレン議長
イエレン議長 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
雇用統計発表前の数日間にイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長らからタカ派的な発言が相次いだものの、ホーンバック氏らは2日付の顧客向けリポートに「米当局に関するわれわれの見方の強度に変わりはない」と記述。「当行の米エコノミストたちは今でも、2017年末まで金融政策は変わらないとみている」と付け加えた。
ブルームバーグの集計データによると、米金利先物が織り込む今月の利上げ確率は32%。実効フェデラルファンド(FF)金利が次回の利上げ後に平均で0.625%になるというのが前提だ。この確率は8月26日、イエレン議長がジャクソンホールでのシンポジウムで利上げの論拠は「この数カ月で強まった」と発言すると、42%まで高まった。
ゴールドマンのハッチウス、パンドル両氏は今月4日付のリポートで、このイエレン発言が雇用統計の「ハードルを比較的低くしたことを示唆した」と分析。「春の時点で、FOMCは6月か7月に利上げする準備が整っていたが、5月の雇用統計が弱かったところに英国民投票が邪魔をした。今ではこの2つの懸念材料は消えた」との見方を示した。
8月の雇用統計が利上げにもたらす意味合いで見方が大きく割れているのは、銀行のアナリストに限らない。ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロース氏が今月に利上げがある確率は「100%に近い」とするのに対し、同氏の古巣のパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)は今月に動きがある「可能性は非常に低い」との見方を崩していない。
原題:Goldman September Call Widens Gap With Morgan Stanley Over Bonds(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD27MS6S972F01
昼間からバドミントン−中国の生産性の伸び、アジア危機以降で最悪
Bloomberg News
2016年9月6日 12:07 JST
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日銀:「総括的な検証」で企画局にスポットライト−21日に提出へ
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中国の天津では、政府職員が真っ昼間に事務所のロビーでバドミントンをしている。東北部の遼寧省鉄嶺では、家族経営の零細工場で働く人たちがトラックのゴム製部品を手作業で切っている。収入は1カ月に約600ドル(約6万2000円)だという。
こうした事例が示す非効率さは、中国経済の消費主導型へのリバランスを妨げ、所得の伸びを抑制している。同国の労働生産性の伸びはアジア通貨危機の影響で製造業の受注が消え、国有企業が数百万人を削減した1999年以来の低さだ。
中所得国のわなと世界銀行が呼ぶ状況を回避するため、7億7500万人に上る中国労働者の生産性向上は極めて重要だ。オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の大中華圏担当チーフエコノミスト、楊宇霆氏(香港在勤)は「生産性低下は中国の長期的な経済の健全性に対する警告だ」と述べた。
中国国家統計局と国際労働機関(ILO)のデータによれば、中国の昨年の労働生産性は1人当たり7318ドルと、6.6%上昇にとどまった。
原題:China’s Productivity Growth is the Worst Since the Asia Crisis(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD27LG6JTSEF01
【端末機能ガイド】円高・人民元安にも負けず中国人観光客は日本へ
Alvin Giang
2016年9月6日 13:16 JST
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日銀:「総括的な検証」で企画局にスポットライト−21日に提出へ
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人民元が対円で引き続き下落しているにもかかわらず、中国からの訪日観光客は増加を続けている。
日本政府観光局(JNTO)の最新の統計によると、7月は73万1400人の中国人が日本を訪れた。月間ベースでは過去最高だった。4−6月(第2四半期)についてみると、中国人訪日観光客の4割強が20代、30代の女性で、多くが化粧品を買い求めた。中国での所得向上も訪日客増加の理由とされている。
円・人民元のスポットレートと観光業との関係を分析するためのブルームバーグのチャート機能を紹介する。
中国人観光客の訪日と両国通貨の関係を以下の手順で探ってみよう。
・端末に「China outbound」と入力し、オートコンプリートされた候補の中から「China Outbound Tourists - Total」を選択。
・「 GP ラインチャート(Line Chart)」を選択。直接「CHTUTL <Index> GP <GO>」と入力して、この画面を一気に呼び出すことも可能。
・チャート右上の「銘柄・スタディ(Security/Study)」ボタンを押し、灰色の「銘柄追加(Add Security)」ボタンを押す。
・新たに出現した黄色のボックスに再び「China outbound」と入力、オートコンプリートされた候補の中から「China Outbound Tourists - Japan」を選択する。
・左上の期間の欄は、スタート日として「12/31/2013」、終了日として「06/30/2016」を選択。「GO」キーを押す。
・「銘柄・スタディ(Security/Study)」を押すと右側に出ていたパネルが消える。
・赤いツールバーの「編集(Edit)」をクリックし、「標準化(Normalization)」を選択。
・新たにポップアップ画面が出現する。「標準化パネル1(Normalize Panel 1 by)」にチェックを入れ、その右横の黄色のボックスから「変動率(Percentage Appreciation)」を選択、右下の「更新(Update)」を押す。
作成されたチャートは、2013年末から中国人訪日観光客が400%余り増加したことを示す。海外旅行をした中国人の数は全体でも再び増加傾向となり、同期間は35%増だった。
同期間の円の対人民元での上昇を見てみる。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iRqPLbHOk5IA/v2/-1x-1.png
・「yen yuan」と入力し、オートコンプリートされた候補の中から「JPYCNY Curncy Japanese Yen / Chinese Renminbi Cross (XDF Default) 」を選択。
・「 GP ラインチャート(Line Chart)」を選択。直接「 JPYCNY <Curncy> GP <GO>」と入力して一気に この画面を呼び出すことも可能。
・左上の期間設欄はスタート日を「12/31/2013」、終了日を「08/25/2016」とし「GO」キーを押す。
・チャートの上部中央にある「各種ライン等(Annotate)」をクリック、チャート左側に現れるバーの上から3番目の「 % 変化率(Change)」機能のアイコンをクリック。
・チャートの最初の数値をクリック(「+」マークが現れたことを確認し)、マウスを最後の数値までドラッグして離す
出来上がったチャートは、円が人民元に対し13年末から15%余り上昇しているにもかかわらず、中国人訪日観光客は依然として歴史的高水準にあることを示している。
関連記事:
・「爆買い」は家電より化粧品・香水に−訪日中国人の消費動向に変化
・中国人観光客の日本再訪率は高い−チャート
・7月の訪日外客数は19.7%増の229万7000人
この FFM 記事についてのお問い合わせは:
Alvin Giang, foreign-exchange specialist: +86-21-6104-3159 or agiang5@bloomberg.net
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD28LV6JIJUR01
ドルLIBOR上昇が人民元相場にまで波紋、中国企業に債務返済促す
Justina Lee
2016年9月6日 11:01 JST
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借り入れコスト上昇が中国企業にドル建て債務の返済促す
ドルLIBORは7年ぶりの高水準に上昇
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iK2XKRtlK89w/v2/-1x-1.png
ドル建てのロンドン銀行間取引金利(LIBOR)も、中国人民元に影響を与えるリスクに加えよう。
ドルLIBORが7年ぶりの高水準に急上昇したため、中国企業の5850億ドル(約61兆円)に上るドル建て債務の履行コストは高まっている。こうした状況は、企業に海外ローンの返済を促し、元相場への下押し圧力を強めている。
LIBOR上昇の背景には、マネーマーケットファンド(MMF)改革による短期債の需要減少がある。トレーダーの間では年内の米利上げ確率は5割以上と見込まれており、ドルLIBORは高止まりする公算が大きい。ブルームバーグが集計したアナリスト予想中央値によれば、2016年末の3カ月物ドルLIBORは0.85%、17年末は1.38%と見込まれている。2日時点のレートは0.84%だった。
中信証券(CITIC証券)の債券調査責任者、明明氏は「中国企業のドル建て債務は大部分がLIBORをベースにしているため、LIBORが上昇すると為替相場の圧力が高まる」と指摘した。同氏は中国人民銀行(中央銀行)の金融政策部門に勤務した経歴を持つ。
中国が昨年8月に元の実質切り下げを実施して以来、海外債務の返済が元安の主な要因の1つとなっている。中信証券の明氏によれば、元相場はLIBORとの相関の方が中国の同種のレートとの相関よりも高い。ブルームバーグの集計データでは、中国の外貨建て債務の約84%はドル建て。
クレディ・スイス・グループのプライベートバンキング・ウェルスマネジメント部門の外為シニアストラテジスト、クーン・ハウ・ヘン氏(シンガポール在勤)は、「ドルLIBORの上昇を受け、中国企業は従来の借り入れを返済しようとしており、それがドル高・元安につながっている」と分析。「LIBORがさらに上昇するリスクはまだ残っているだろう」との見方を示した。
原題:Libor Surge Reverberates All the Way to China’s Currency Market(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD24V96KLVR701
中国のアルミ業界、自動車や飛行機に照準−市場揺るがす兆し
Bloomberg News
2016年9月6日 10:39 JST
中国の大手、アルミ供給過剰で高価値製品の製造目指す
市場の変化で米アルコアは会社分割を計画、劉氏は米アレリス買収
中国が世界最大のアルミニウム生産国として台頭し、業界を揺るがしている。供給が過剰となっていることから、競合企業は利益が減少しプラントの閉鎖を余儀なくされている。1世紀余りにわたって業界を象徴する存在である米アルコアは、製錬所を相次いで閉鎖し、会社分割を計画している。
一部企業は赤字を抑制する兆しを示し始めているものの、操業停止が今後さらに増える可能性がある。
原材料であるアルミ市場で優位に立った中国は、より価値の高いアルミ製品の生産能力増強を目指している。先週には、中国アルミ業界の起業家、劉忠田氏が米アレリスを23億ドル(約2400億円)で買収すると発表。これにより、中国のアルミ押し出し加工最大手である中国忠旺を率いる劉氏は米国と欧州の技術のほか、アルミ製品の買い手である米ボーイングなどの航空機メーカーや独アウディなどの自動車メーカーにこれまで以上にアクセスできるようになる見込みだ。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、朱軼氏は8月31日、香港から電話インタビューに応じ「これは中国企業によるこれまでと異なる動きだった。以前、中国は海外で原材料資産を取得しようとしていたが、今回は製品を製造・販売する企業を買収する。それは、製造業と経済の改革に向けた中国政府の目標に合致する」と指摘した。
原題:China Chasing Cars and Planes Heralds Next Upheaval for Aluminum(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD234G6S972E01
米ガソリンが値下がりする中、ウォルマートの来客数増加
Sophie Caronello
2016年9月6日 08:41 JST
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/igd8E4GDRxL4/v2/-1x-1.png
ガソリンが値下がりすれば、ショッピングに行く米国人が増えるだろうか。それは、小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズにとっては事実のようだ。ガソリン小売価格が下落し始めた2014年にウォルマートの来客数は増加した。同社は、5−7月(第2四半期)の業績が予想を上回ったことを受け、8月に通期利益見通しを引き上げた。
原題:Wal-Mart Customers Shop More as U.S. Gasoline Prices Drop: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-05/OD20A36JTSEF01
豪ドル上昇−RBAが政策金利据え置き
Narayanan Somasundaram
2016年9月6日 13:45 JST
6日の外為市場でオーストラリア・ドルは上昇。豪中銀が同日の会合で政策金利を据え置いた。
シドニー時間午後2時32分(日本時間午後1時32分)現在、豪ドルは0.5%高の1豪ドル=0.7621米ドル。豪ドルはこのまま推移すれば対米ドルで5営業日連続の値上がりで、3月以来の長期上昇となる。
原題:Aussie Dollar Holds Gain After RBA Keeps Rates Unchanged(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-06/OD2FWL6TTDS501