カリスマ転職コンサルタントの森本千賀子さん
「スゴい経歴」なのになぜ不採用? 転職で要注意の「5つのワナ」とは
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160827-00010002-nikkeisty-bus_all
NIKKEI STYLE 8月27日(土)11時0分配信
■「能力・実績を全面的にアピール」が裏目に
書類選考は高評価でクリアしたにもかかわらず、面接で不採用になるケースはよくあること。その主な理由には「社風が合わない」「会社が目指す方向性と本人の志向が一致しない」「給与など条件面が折り合わない」などが挙げられます。これらは皆さんも納得できるかと思いますが、中には応募者にとって思いがけない理由で不採用の判断が下されることも。意識したり対策することで防げますので、ぜひ「企業の視点」を知っておいてください。
本人が意識しないうちに失敗する「不採用」のパターンとして、「自己アピールが裏目に出る」ということがあります。
面接では、自分のキャリアや能力を最大限プレゼンしようとしがち。「こんな経験を積みました」「こんなスキルを身に付けました」というアピールに終始する人が少なくありません。
しかし、過去の経験・実績を語ることに集中するあまり、「なぜこの会社に入りたいのか」「この会社で何がしたいのか」「この会社で働くことで、自分はどうなりたいのか」という目的意識が抜け落ちている人が意外と多いのです。
企業側としては、もちろんこれまでの経験を生かしてほしいものの、成長意欲があり「伸びしろ」を感じさせる人を求めています。実際、選考現場では「即戦力となる経験を持つ人」と「経験は浅いが向上心が高い人」とが比較され、後者が選ばれることもよくあります。「過去の実績」という経験値だけでなく「今後のビジョン」を語れるようにしておくことが大切です。
一方、「優れた能力と実績」をアピールしすぎると、企業側にかえって不安を抱かせることもあります。「うちの会社では物足りなくて、すぐに辞めてしまうのでは」と思われるのです。
あるいは、チームワークを重視する会社であれば、「上司よりも優秀だと、マネジメントがしづらいのではないか」「他の社員とギャップがありすぎて浮くのではないか」「ある意味、『オーバースペック』ではないか」といった懸念も抱かれるでしょう。
こうした事態を防ぐには、自分の能力を何でもかんでもアピールしようとするのではなく、相手企業の「ニーズ」を意識してつかむことが大切です。企業サイトに記されているメッセージや今後のビジョンなどから、今回の採用背景、自分に期待される役割などを想像し、それらが自分のキャリアのどの部分と重なるのかを見極めてください。その部分にフォーカスして語るようにするとよいでしょう。
■不用意な「提言」で不信感を抱かれる
自身の能力の高さ、意欲をアピールしようとして、相手企業の経営方針に対し「こうするのがいいのではないでしょうか」「こうするべきだと思います」など、積極的に提言する人もいらっしゃいます。これがうまくハマればいいのですが、的外れになってしまうことも。「うちの考え方とはズレている」と思われると「縁がなかった」と結論付けられてしまいます。
実情を正しく理解しないうちに、不用意に発言するのは控えたほうがよさそうです。
入社時の肩書にこだわりすぎて、拒絶される
面接も順調に進み、内定の方向で進んでいても、結果的に採用を見送られることがあります。「給与条件が折り合わない」なら双方納得できる理由といえますが、中には「管理職の肩書を持って入社したい」という希望を主張し、拒絶されるケースもあります。実際に、管理職としての活躍を期待しての採用であったとしても、です。
応募者側としては、既存社員に対して権威を持ちたい、あるいは家族や同僚、友人に対して「部長待遇で迎えられる」という体裁を整えたい気持ちがあります。ところが、企業側では、「まずはフラットな立場で入社し、職場や既存社員になじんだ上で、周囲が認めるかたちで昇格させたい」と考えるケースも少なくありません。肩書を持つことに強くこだわる応募者は、「肩書がないと仕事ができないのか」という不信感を抱かれ、破談になることもあります。
■無意識のふるまいが不信感を与える
採用・不採用のボーダーラインにいる場合などは、ほんのちょっとした「引っかかり」によって、一気にマイナス評価に傾くことがあります。ここでは、私が面接に同席したとき、実際にあった事例をご紹介しましょう。
Aさんの面接はスムーズに進みましたが、最後の最後で面接担当者が首をかしげることが起こりました。
面接担当者が「何か質問はありますか?」とたずねると、Aさんは会社の業績や今後の事業計画に関する数値について細かく質問。面接担当者は数値データを示しながらていねいに回答しました。しかし、Aさんは、ふんふんとうなずくだけで一切メモを取らなかったのです。聞いただけで数値が示す意味が理解できたとも、数値を記憶できているとも思えません。
面接対策本などにはよく、「最後に質問があるかたずねられたら、必ず何か質問すべし」と書かれています。Aさんは、それを表面的に行っただけなのが見てとれました。結果、Aさんは「本気度」が低いと見なされ、採用を見送られました。
一方、Bさんの場合、「コミュニケーション力」に疑問を持たれ、不採用となりました。おそらくBさん本人は、質疑応答を問題なくこなしたと思っていたでしょう。確かに、口頭での受け答えはスムーズでした。しかし、Bさんは面接担当者3人を目の前にして、終始1人としか目を合わせなかったのです。
面接の場には、社長、人事部長、私の3人が出席し、人事部長が質問を行いました。それに対し、Bさんは人事部長の方だけを向いて答え続け、私と社長には一度も目を向けなかったのです。これが「コミュニケーション力に難あり」という評価になってしまいました。
これはBさんに限らず、よく見るケースです。面接の場に複数の人がいた場合、質問者は1人でも、なるべく視線を全員に均等に振ることを心がけてください。
■「こだわりのアイテム」が違和感を生む
Cさんの面接でのこと。質疑応答は順調に進み、採用の方向で進むかと思われましたが、面接後、社長がぼそっとつぶやきました。
「あのカバンはないでしょ」
Cさんが手にしていたのは、高級ブランドのロゴが大きく入ったバッグでした。
「取引先にもああいうカバンを持っていくのかな。お客さまにどう思われるだろう」
社長は不安を抱き、採用を見送りました。
このほか、ある採用担当者は、応募者の腕時計に目を留めました。それは海外の高級ブランド品。それもかなり目立つデザインの、一見しても相当に高価な価格帯のもの。「うちの社員たちにはない感性だな。当社の風土にはなじめないのでは……」と戸惑ったそうです。
持ち物にこだわるのは、もちろん悪いことではありません。しかし、面接においては、それが場の空気にそぐわないこともあります。相手企業の社風も考慮し、ギャップを感じさせない身なりを心がけることも大切です。
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