「生前退位のために憲法改正が必要である、というのは、これまでの政府見解とは異なる。:南野 森氏」
http://sun.ap.teacup.com/souun/20613.html
2016/8/25 晴耕雨読
政府解釈も同様(つまり皇室典範4条を改正すれば生前退位は可能で、憲法改正は不要)。
したがって、現行の皇室典範4条のままでは、天皇には退位の自由はない、ということにもなる。
たとえば1971年3月10日の衆議院内閣委員会における受田新吉議員に対する高辻正巳内閣法制局長官の答弁を参照。
生前退位のために憲法改正が必要である(=皇室典範の改正だけではできない)、というのは、これまでの政府見解とは異なる。
> 天皇生前退位 制度化は「憲法改正が必要」 #日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://t.co/QjXHlJYsm7
昭和46年3月10日の衆議院内閣委員会。
受田議員:「退位論ということになると、これは皇室典範…を改めるということで、一応法律論として済むのではないか」「憲法問題ではなくして…皇室典範の改正ということで済めば…」
→高辻内閣法制局長官:「…簡単に申せば仰せのとおりだと思います。」
昭和47年4月26日の参議院予算委員会第一分科会。
木島則夫議員:「退位制度は、これは憲法には抵触をしないで皇室典範を改正すれば可能であると宮内庁では解釈されているかどうか」
→瓜生順良宮内庁次長:「…純粋の法律論から言えばそうだと思います、憲法には規定がないわけでありまするから。」
昭和53年3月16日の参議院予算委員会。
秦豊議員:「(現行制度には)退位や譲位がないんですね、皇室典範を変えなきゃならぬわけですね、法的には。」
→真田秀夫内閣法制局長官:「その点もおっしゃるとおりでございます。学説の中には、退位は憲法上できないんだという説もないこともないのですけれども、通説としては、憲法上その退位ができるかできないかは、法律である皇室典範の規定に譲っているというふうに言われておりますから、おっしゃるとおり皇室典範の改正が必要だということに相なります。」
昭和54年5月8日参議院内閣委。
真田長官:「いろいろ学説はあります。学説はありますが、憲法自身は「皇室典範の定めるところにより」と書いてございますので、理論上ぎりぎりの法律論から言いますと、皇室典範の改正によってそういうことができるんじゃなかろうかというふうな意見がございます。」
学説については、佐藤功の逐条解説書(『憲法(上)〔新版〕』)のみを紹介:「皇位の継承は天皇が崩じたときに限る…すなわち、天皇の生前の退位を認めない…ただし、憲法上は退位が許されないものとされているのではないから、皇室典範の改正によって退位制度を認めることは可能である。」(49頁)
しかしほんとに内閣法制局がそんなこと言ったのかな。
にわかには信じがたい。
特別法で生前退位を認めれば良いという議論に対してそれは憲法2条(皇位は「皇室典範の定めるところにより」継承する)に違反するから無理だ、と言うならまだしも、まさか生前退位の制度化に憲法改正が必要だと言うなんて。
憲法1条の「この地位は、主権の存する国民の総意に基く」とは、天皇という存在(天皇の地位一般)の根拠が主権者たる国民の意思にあることを示す。
大日本帝国憲法との比較の観点から(つまり新旧憲法で天皇の地位の根拠が根本的に変わったということを示すために)一見当たり前のことが書かれている。
日本テレビの報道(内閣法制局が生前退位には改憲が必要と言ったというもの)には疑問があります。
というわけで、小論を書きました。
>Shoko Egawa 生前退位に憲法改正は必要ない(南野森) - Y!ニュースhttps://t.co/tonlzP0wqH
>「日本政府の見解は、憲法学界の通説と同様、生前退位の制度化のためには憲法改正は必要なく、皇室典範の改正で足りるとする、「改憲不要説」なのである」と →生前退位に憲法改正は必要ない(南野森) - Y!ニュース
>アルルの男・ヒロシ 天皇生前退位 制度化は「憲法改正が必要」https://t.co/x9fd4R15Y4 これは憲法第1条で天皇の地位は日本国民の総意に基づくと定めていて、天皇の意思で退位することはこれに抵触する。 一方、生前退位を今の天皇陛下にだけに限定するのであれば、特例法の制定で対応が可能
>アルルの男・ヒロシ 安倍政権と内閣法制局はもはや「憲法の上の存在」になってしまった。こんな無茶な解釈が出来るのか!
>川内 博史 陛下の生前退位の制度化には憲法改正が必要だと内閣法制局が見解を示していると、官房長官が会見で述べたそうだ。9条の解釈改憲という、立憲主義に照らし、してはならないことをした内閣法制局の言うことなど、説得力無しだ。憲法改正をしたい安倍氏の、また御手伝いをしているだけの話か。