FX Forum | 2016年 07月 27日 13:02 JST
ヘリマネは非現実的、失望の円高に要警戒
亀岡裕次大和証券 チーフ為替アナリスト
[東京 27日] - 対ドルで100円近辺まで円高が進んでいた為替が、7月11日に突如、円安へと切り返し、21日には107円台をつけた。最近の世界株高に示されるリスクオンの動きが円安をもたらした面もあるが、ヘリコプターマネー(ヘリマネ)政策導入の期待が浮上したことが円安に寄与した面も大きい。
ヘリマネの提唱者であるバーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長が訪日し、11日に黒田東彦日銀総裁、12日に安倍晋三首相と会談したことが、きっかけとなった。
政府はヘリマネに関する具体的なやり取りはなかったとし、バーナンキ氏が金融政策と財政政策のポリシーミックスの必要性と、日銀には緩和手段がまだいろいろ存在すると指摘したことを明らかにした。政府はヘリマネを検討している事実はないとしたが、市場はヘリマネ導入の可能性をやや織り込んだ。
折しも与党が参院選に勝利した後で、政府がアベノミクス強化の姿勢を示し、大型経済対策が月内をめどに打ち出される見通しとなったうえ、28―29日に日銀金融政策決定会合が控えていることが、市場の憶測を強める原因となったようだ。
<ヘリマネ導入による円安リスクは制御不能>
一部報道によれば、バーナンキ氏が4月に訪米した本田悦朗前内閣官房参与(現駐スイス大使)に対し、デフレ克服の最も強力な手段としてヘリマネに言及し、政府が市場性のない永久国債を発行、日銀が直接引き受ける手法などを選択肢の1つに挙げたとされる。また、政府と日銀が協定を結んで、日銀が市場で買い取った国債を半永久的に保有する一方で、政府が取り決めの範囲内で国債を発行するという方式も一部で報道されている。
日銀が国債を直接引き受けようと、別枠の基金や市場を経由して間接的に引き受けようと、いずれにせよ日銀が紙幣を増刷して財政支出を賄うことに変わりはない。政府が「永久に(あるいは半永久的に)債務返済の必要のない資金」を日銀から調達し、財政支出として市中にばらまくことになる。
ヘリマネはこれまでとは違い、「実質的に資産の裏付けのない円」が出回り始めるようなものであるから、それがたとえ小規模であっても、円の信認が低下し、円は売られるだろう。また、財政規律の低下とみなされ、国債が格下げされたり、売られたりもするだろう。
そもそも、ヘリマネの目的はどこにあるのだろうか。実質的に国の借金を増やさずに財政支出をすると、将来的な増税や社会保障削減への不安が後退して需要創出効果が高まり、デフレ克服に役立つからだろうか。それより、通貨安(円安)効果がデフレ克服に役立つからではないだろうか。
ただし、ヘリマネ導入によってどの程度円安が進むのかは、事前にわからない。デフレ克服のための金融・財政の一体化策と言っても、円の信認と価値を低下させる政策に他ならないので、円安が大幅に進む可能性がある。
当初は円安を背景に日本の株高が進むとしても、いずれ国債価格が下落(金利が上昇)して、株価や不動産価格にマイナス圧力がかかるだろう。また、円の価値が大幅に下落する見通しとなれば、海外勢が日本への投資を引き揚げて、円資産価格にマイナス圧力がかかる可能性もある。
つまり、当局がコントロールできないような円安となれば、様々なリスクを伴うことになる。もし円安効果が小さければ、円安効果が大きくなるまでヘリマネの規模を拡大することにもなるだろう。
<狭まる追加緩和余地、円安効果は限定的>
ヘリマネを導入した場合の円安効果は大きく、導入の可能性はゼロではないと市場がみているからこそ、円安が進んだはずだ。しかし、政府・日銀がヘリマネ導入に踏み切る可能性は非常に低い。すでに、黒田日銀総裁の「ヘリコプターマネーの必要も可能性もない」との発言などを受けて、円高に振れている。
一方、日銀が7月の政策決定会合で追加緩和を行うとの市場の期待は強い。日銀当座預金のマイナス金利幅拡大は、民間銀行の収益悪化効果と市場金利低下効果が相殺し、円安効果は乏しいだろう。日銀が貸出支援基金から民間銀行に貸し出す金利にマイナスを適用した場合、銀行の利ざや縮小を抑えるものの、貸し出し規模が限定的なために金融緩和効果と円安効果もさほど大きくないとみられる。
また、国債買い入れ増額とマネタリーベースの増加ペースアップは、短期的に円安効果はあっても、量的緩和の終わりが近づくとの見方から中長期的には円高効果を持つはずだ。上場投資信託(ETF)などの買い入れ増額も、短期的に株高効果は望めても、世界的に市場がリスクオフに傾いてしまえば、効果は長続きしないだろう。
上記緩和策を複数組み合わせて実行する可能性もあるが、資金需要が弱いなかで資金供給を増やしたり、市場金利を低下させたりしても、金融緩和効果は限られ、金融機関の運用金利と調達(預金等)金利の利ざや縮小が金融引き締め効果をもたらす。量的緩和の拡大余地が限られるとの見方は、強まることはあっても弱まることはないだろう。
つまり、日銀金融政策に有効な追加緩和余地が十分に残っているとの期待は後退する方向にあるため、追加緩和をしても円安効果は限定的であり、金融緩和への期待変化が今後も次第に円高に作用していくとみられる。政府・日銀がヘリマネ導入に否定的な姿勢を示し続けた場合に一段と円高に振れる可能性と合わせて、円安よりも円高の進行を警戒すべきだろう。
*亀岡裕次氏は、大和証券の金融市場調査部部長・チーフ為替アナリスト。東京工業大学大学院修士課程修了後、大和証券に入社し、大和総研や大和証券キャピタル・マーケッツを経て、2012年4月より現職。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-yuji-kameoka-idJPKCN10708B?sp=true
任天堂、4─6月期は245億円の最終赤字 為替差損350億円計上
[東京 27日 ロイター] - 任天堂(7974.T)が27日発表した4─6月期連結決算は、最終損益が245億円の赤字(前年同期は82億8400万円の黒字)だった。営業外で350億円の為替差損を計上したことなどが響いた。
通期予想は変更しなかった。営業利益は前年比36.9%増の450億円を見込んでいる。会社予想はトムソンロイターが調べたアナリスト18人の予測平均値483億円をやや下回っている。
(志田義寧)
http://jp.reuters.com/article/nintendo-idJPKCN1070OC
日産、為替変動で4―6月期営業利益9.2%減 通期予想は維持
[横浜 27日 ロイター] - 日産自動車(7201.T)が27日発表した2016年第1・四半期(4―6月期)決算によると、営業利益は前年同期比9.2%減の1758億円だった。為替変動が響き、5四半期ぶりの減益となった。17年3月期通期の連結業績予想は、従来のまま据え置いた。
トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト9人の4―6月期営業利益の予測平均値は1677億円だった。
4―6月期の営業利益に対し、為替の影響は912億円のマイナス要因となった。
通期の連結業績予想は従来通りで、売上高は前期比3.2%減の11兆8000億円、純利益は同0.2%増の5250億円、営業利益は同10.5%減の7100億円をそれぞれ見込む。アナリスト25人の今期営業利益の予測平均値は7129億円で、ほぼ同水準となっている。
通期の前提為替レートも期初のまま1ドル=105円、1ユーロ=120円としている。
http://jp.reuters.com/article/nissan-idJPKCN1070T9
三井住友F:4−6月は3割減益、マイナス金利や市場混乱が影響
河元伸吾、Gareth Allan
2016年7月27日 16:42 JST 更新日時 2016年7月27日 17:29 JST
三井住友フィナンシャルグループの 4−6月(第1四半期)の連結純利益は前年同期比31%減の1843億円だった。マイナス金利政策の影響で融資業務の利ざやが縮小したほか、市場混乱に伴い金融商品の販売手数料などが減った。通期予想は7000億円を据え置いた。
日銀などで27日開示した純利益は、ブルームバーグが集計したアナリスト5人の予想平均値1728億円を上回った。会社側の通期予想に対する4−6月期の進捗率は26%となった。
日銀は2月中旬にマイナス金利を導入。今期はその影響がフルに反映される。また第1四半期は欧州連合(EU)離脱決定を受けた円高・株安なども逆風となった。全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀行頭取)は7月の会見で「マーケットの不確実性と不透明性から厳しい状況が続く」と見通した。
利ざや低下
第1四半期の連結粗利益は前年同期比10%減の7158億円。貸出利息など資金利益は25%減の3265億円、投信販売手数料など役務取引等利益は8.1%減の2193億円、国債売買益を含むその他業務利益は45%増の1027億円となった。国内預貸金利ざや(三井住友銀行単体)は1.12%と同0.09ポイント低下した。
与信関係費用は106億円と前年同期より41億円増加。政策保有株の売却などを進める中、株式等損益は15億円と20分の1以下に減った。子会社のSMBC日興証券の第1四半期決算は50%減の108億円と振るわなかった。4−6月の東証株価指数(TOPIX)は7.5%下落した。
みずほフィナンシャルグル ープは29日、三菱UFJフィナンシャル・グループは8月1日に第1四半期決算を発表する予定。
中国人民銀が資金供給拡大−短期金利を3カ月ぶり高水準から押し下げ
Bloomberg News
2016年7月27日 17:56 JST
7日物リバースレポで1800億元を供給−6月29日以来の規模
7日物レポ金利は3bp低下の2.4%に−NIFC
中国人民銀行(中央銀行)は27日の公開市場操作(オペ)で資金供給額を増やし、指標の短期市場金利を前日の3カ月ぶりの高水準から押し下げた。
人民銀は7日物リバースレポを実施し1800億元(約2兆8500億円)を銀行システムに供給。1営業日の7日物リバースレポ供給額としては6月29日以来の大きさとなった。
銀行間資金の取引センターNIFCによる加重平均で、7日物レポ金利は上海時間午後3時46分(日本時間同4時46分)現在、前日比3ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.4%。同金利は前日まで6営業日連続で上げ、2015年8月以来の長期上昇となっていた。
原題:PBOC Steps in to Cool Money Market as Rates Surge to April High(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-27/OAYSDO6JTSED01
中国人民元:対ドルで続伸−経済指標で楽観的な景気観測強まる
Justina Lee
2016年7月27日 16:26 JST
中国人民元は27日、対ドルで続伸。中国の景気は持ち直しつつあるとの楽観的観測を経済指標が後押ししている。
中国外国為替取引システム(CFETS)によると、人民元は上海市場で現時時間午後2時半(日本時間同3時半)現在、前日比0.05%高の1ドル=6.6713元。中国人民銀行(中央銀行)はこの日の元の中心レートを0.16%引き上げた。
同日発表された6月の中国工業利益は増加。今月示された4−6月(第2四半期)の国内総生産(GDP)と6月の小売売上高は市場予想を上回った。
香港市場で取引されるオフショア人民元は0.04%高の6.6771元。13通貨のバスケットに対する人民元の動きを示す「CFETS人民元指数」を基にしたブルームバーグのレプリカはほぼ変わらず。
原題:Yuan Climbs for Second Day as Data Spur Bets Economy Recovering(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-27/OAYP2H6JIJUO01
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/354.html