都知事候補・古賀茂明氏の予言通りになったダッカ襲撃 溝口敦の「斬り込み時評」
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2016年7月11日 日刊ゲンダイ 文字お越し
日本人7人が犠牲になったダッカのテロ事件(右は古賀茂明氏)/(C)日刊ゲンダイ
参院選が与党圧勝で終わった。次に都知事選という政治イベントが控えている。
小泉元首相の振り付けで立候補した小池百合子元防衛相の周りでは、石破派の鴨下一郎や平将明両衆院議員らが集まり、安倍首相に一泡吹かせるべく戦略を練っている。
小泉元首相とすれば都知事選を一つの政局にして、安倍体制に風穴をあけたい。自民党都議団が擁立する前岩手県知事の増田寛也氏などは小池氏の敵たり得ないが、どっちが勝とうが、自民党というコップの中の嵐で終わる。
かつて「自民党をぶっ壊す」と呼号した小泉氏がぶっ壊したのは、本紙の指摘通り、自民党ではなく国民生活だった。そんな者の操り人形には何一つ期待できない。都民には自民党の政局を面白がる余裕などないのだ。
都議会民進党はいったんは民進党都連幹事長の長島昭久衆院議員に出馬要請したが、とうてい野党が政策協定を結べる候補ではない。その後、民進党都連会長の松原仁衆院議員が「野党4党の枠組みで戦い得る一人」として経産省出身の古賀茂明氏や前神奈川県知事の松沢成文参院議員の擁立を目指すと明らかにした。
古賀氏は去年1月、報道ステーションに生出演した際、次のようなことを語って、その後番組から降板させられた。
「安倍総理はカイロの演説で、ISILと戦う国には支援を行うと発言したが、すでに誘拐されていることが分かっていたのに、誘拐犯と戦う人を支援すると言ったら、誘拐犯を刺激する。日本は、アメリカやイギリスと同じような戦争をする国だと思われつつある。私たちは、後藤さんのような人こそ助けなくてはいけないと思っていて、安倍さんとは違うんだということを、私だったら、『I am not ABE』というプラカードを掲げて、日本人は違いますよ、戦後ずっと戦争していませんよと。憲法では、日本のことを攻めてこないような人たちのことを一方的に敵だなんて絶対に言いませんよと伝える」
先日、バングラデシュのダッカで日本人7人が人質になり、殺され、事件後、ISILは「十字軍の国を狙った」と犯行声明を出した。まさしく古賀氏の恐れた通りのことが現実に起きたのだ。
東京は4年後、オリンピックを開催する。すでに日本が十字軍の国とみられている以上、テロ組織も破壊要員を上陸させる。そのとき東京の治安を誰が維持するのか。安倍に嫌われ、干されたとはいえ、小池氏には守れそうにない。古賀氏なら、ことによると、と思われるのだ。
溝口敦 ノンフィクション作家、ジャーナリスト
1942年7月5日生まれ。早大政経卒 徳間書店、博報堂勤務を経て、フリージャーリストに。暴力団や闇の世界に深く食い込んだド迫力ルポには定評がある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞、日本ジャーナリスト会議賞受賞。『暴力団』(2011年)がベストセラーに。
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/362.html