岐路に立つ中国の“資源爆買い”戦略 ベネズエラ危機でばらまき政策に黄信号
2016.7.5 11:00
アフリカを中心とした資源国に巨額の投融資を行うことで油田などの海外権益の獲得を目指す中国の戦略が踊り場を迎えている。中国経済の減速でエネルギーなどの消費が減少していることに加え、金融支援先の南米ベネズエラでデフォルト(債務不履行)危機が高まったことを機に、政府部内にばらまき政策への慎重論が高まっている。
ばらまき見直し
原油安で経済に深刻な打撃を受けたベネズエラでは、追い詰められたマドゥロ大統領が中国からの融資で一段と有利な条件を引き出そうとしている。これに対し中国では、支援相手国の財政健全性や政治的リスクなどに慎重になってきている。
習近平国家主席は昨年12月のアフリカ歴訪で、同地域向けに今後3年間で600億ドル(約6兆1600億円)の拠出を表明したが、投融資実施にあたり、内容を精査するのは容易ではない。
中国社会科学院の世界経済・政治研究所で国際戦略研究室主任を務める薛力氏は「ベネズエラの事例からわれわれは、中国が海外投融資についてもっと慎重かつ習熟すべきだということを学んだ。中南米と比較すると中国にとってアフリカの戦略的意義は大きく、失敗すればより大きな危機に瀕(ひん)する」と話す。
2000〜14年の間、中国はサハラ以南のアフリカ地域に860億ドル以上の融資を実行。巨大な外交影響力を築き、自国の経済ブームのための資源を確保する上で役立った。習国家主席が世界中で投資攻勢をかけているとはいえ、ベネズエラの経済破綻は中国型金融モデルの危険性を浮き彫りにしている。
融資案件を絞れば、中国が資金援助を利用して地政学的な立場を高めるのは難しくなる。中国は無条件の援助を武器に、西側諸国に代わる魅力的な支援者となってベネズエラ同様にアンゴラやガーナ、スーダンなどと資源を裏付けとした取引を行ってきた。これまでの無条件援助を条件付きに切り替えるかは難しい判断になる。
中国の経済成長が鈍化する中、資源外交の相手国の多くは、資源価格の下落で打撃を受けている。ベネズエラと同じ産油国のアンゴラの例では、債務の支払いが難航しており、対外債務の大半は中国向けだ。米ジョンズ・ホプキンス大学、中国アフリカ・リサーチ・イニシアチブ(CARI)の4月の報告書によれば、00〜14年の間にアンゴラが中国から受けた融資は212億ドルに上り、中国にとってアフリカ最大の融資先だ。
米格付け会社ムーディーズは4月に原油価格の低迷を理由に挙げ、アンゴラの信用格付けを2段階引き下げてB1とし、アウトルック(見通し)をネガティブとした。
国際通貨基金(IMF)は同国に45億ドルの融資を提供するとともに、国有石油会社の再編も支援している。加えて、政情不安もある。ドスサントス大統領は2年後の政界引退を表明しているが、後継者に長女で富豪のイザベル氏を擁立する可能性がある。
全てIMF頼み
資源価格の下落で政府財政に負担がかかり、ケニアやガーナ、モザンビークも全て、IMFの緊急支援に頼っている。今年、アフリカ1位の産油国の座をアンゴラに譲ったナイジェリアは過激派の襲撃に遭う中、景気後退(リセッション)に見舞われており、政府は賃金の支払いに苦慮している。
厦門大学エネルギー経済研究センターのディレクターで国家能源局のアドバイザーを務める林伯強氏は、こうした圧力にさらされて中国は融資先に対し、財政の透明性を高め、金融責任を負うよう求め始めたと語る。
外見上、中国はアフリカとの契約を拡大し続けている。だがアフリカに外交官として駐在した経験を持つ政府系調査機関の人物は、水面下で中国は警戒を強めていると明かす。公表されてはいないが、金融面や安全保障面でのリスクを理由に、中国が資金と労働者を引き揚げる傾向が強まっているという。(ブルームバーグ Ting Shi)
http://www.sankeibiz.jp/macro/print/160705/mcb1607050500020-c.htm
苦境のベネズエラ、対米関係修復に意欲 外務省がメッセージ
2016年07月05日 10:48 発信地:カラカス/ベネズエラ
苦境のベネズエラ、対米関係修復に意欲 外務省がメッセージ ×ベネズエラの首都カラカスでの会談に当たり、握手を交わすニコラス・マドゥロ大統領(右)と米外交官のトーマス・シャノン氏(2016年6月22日撮影、資料写真)。(c)AFP/FEDERICO PARRA
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【7月5日 AFP】南米ベネズエラの外務省は4日、6年にわたって凍結している米国との外交関係を修復する用意があると発表した。社会主義政権のベネズエラは原油価格の急落を受けて深刻な経済・政治危機に見舞われている。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は2週間前、国の危機を打開するための支援を求めて米外交官のトーマス・シャノン(Thomas Shannon)氏と会談を行っていた。
外務省はこの日迎えた米独立記念日を祝福するメッセージの中で、米国と「互いに尊重する形の外交関係を築く用意がある」と表明した。
両国関係はマドゥロ大統領の前任者で反米を掲げた故ウゴ・チャベス(Hugo Chavez)大統領の政権下で悪化し、2010年以来の大使の交換を見合わせている。
チャベス氏と同様にマドゥロ大統領もこれまで、内政に干渉して政権転覆を狙っているとして米政府をたびたび非難していた。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/3092885
http://www.asyura2.com/16/hasan110/msg/589.html