新興市場株:約1カ月ぶり長期下落−英国のEU離脱めぐる懸念で
Choong En Han、Nupur Acharya
2016年6月14日 14:58 JST
14日の新興市場株は4営業日続落。このままいけばここ1カ月余りで最長の下落局面となる。日米の中央銀行の会合を前に、英国の欧州連合(EU)残留か離脱かを問う国民投票をめぐる懸念が市場に混乱をもたらしている。
MSCI新興市場指数は香港時間午後1時6分(日本時間同2時6分)現在、前日比0.2%安。この4日間の下落率は合計4.1%となっている。4日続落は5月9日以来の長期下落局面。素材株やエネルギー株を中心に値下がりしている。
フィリピンやベトナム、韓国の株価指標が下落。タイやインドネシア、台湾株は上げている。
原題:Emerging Stocks Set for Longest Slide in a Month as Brexit Looms(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-14/O8QY6P6JIJUP01
日本株下落続く、内外イベントと円高リスク警戒−マザーズは大幅安に
佐野七緒
2016年6月14日 08:06 JST 更新日時 2016年6月14日 13:39 JST
14日午後の東京株式相場は下落している。英国の欧州連合(EU)離脱問題、日米の金融政策会合に対する不透明感が広がっており、投資家の間でリスク回避姿勢が強い。為替の円高進行に対する警戒もある。
東証1部33業種は銀行や証券株など金融セクター、医薬品や食料品株など内需セクター、輸送用機器株など輸出セクターと幅広く安い。また、東証マザーズ指数が一時9%以上下げるなど国内新興市場も崩れている。
午後1時36分のTOPIXは前日比12.03ポイント(0.9%)安の1272.51、日経平均株価は171円21銭(1.1%)安の1万5847円97銭。日経平均は日中ベースで5月6日以来、およそ1カ月ぶりに1万6000円を割れ、4月12日以来の安値水準だ。
英EU離脱に関し、ICMなど3社による4つの最新世論調査で「離脱支持派」が「残留派」を上回った。ICMの13日の発表によると、1000人を対象に10ー13日に実施した電話調査では離脱派が50%、残留派は45%。同期間に2001人を対象としたオンライン調査では、離脱派49%、残留派44%だった。英大衆紙サンは、1面論説で離脱支持を表明した。
英問題への不安が広がる中、13日のニューヨーク原油先物は0.4%安の1バレル=48.88ドルと続落し、約1週間ぶりの安値。アジア時間14日の時間外取引でも安い。13日の欧米株も下げ、米投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティ指数 (VIX)は23%上昇の20.97と昨年12月以来の高水準に達した。国内では、格付け会社フィッチ・レーティングスが13日、日本の格付けの見通しを「安定的」から「弱含み」に引き下げた。
午後のドル・円相場は1ドル=105円90銭台で推移。朝方に一時1ドル=106円40銭台と前日加速したドル安・円高の流れに一服感があったが、きょうからの米連邦公開市場委員会(FOMC)、あすからの日本銀行の金融政策決定会合を控える中、なお円高進行リスクに市場参加者の懸念は強い。前日の日本株市場の終値時点は105円80銭。
東証1部売買代金上位では三菱UFJフィナンシャル・グループ、小野薬品工業、JT、ファーストリテイリング、ペプチドリーム、デンソー、富士重工業が安い半面、NTTドコモやリクルートホールディングス、大成建設、しまむらは堅調。
マザーズ市場ではそーせいグループやブランジスタ、グリーンペプタイド、サンバイオ、アドウェイズ、ヘリオスの下げがきつい。これに対しHamee、ジェネレーションパスは上昇。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-13/O8QF7H6JIJV901
【コラム】ソロス氏の弱気トレード成功させる6イベント−エラリアン
コラムニスト:Mohamed El-Erian
2016年6月14日 07:03 JST
米紙ウォールストリート・ジャーナルが先週報じたところによると、著名投資家のジョージ・ソロス氏はトレーディングに復帰し、リスク資産の大幅な下落を見込んだポジションを組んでいる。
しかしこうした取引が成功するにはタイミングが最も重要だ。特に、調整の引き金となるようなイベントを特定することが不可欠となる。今後数週間に検証と監視が必要になるそうしたイベント6つを挙げてみよう。
1.23日の英国民投票で欧州連合(EU)離脱が選択される。市場への影響は破壊的な規模になり得る。英国の欧州市場へのアクセスを可能にする自由貿易協定のような代替制度が早急に整備されなければ、なおさら深刻になる。
2.中国当局の失策。経済に流動性を支援しながら、信用ブームや国内企業の債務膨張、行き過ぎた株式市場を整然と管理することでバランスを取ろうとする政策が、実行段階で行き詰まる。
3.米国大統領選挙の予備選で示唆された孤立主義的な傾向が示威的な言動にとどまらず、米国が数十年間担ってきた経済・金融グローバル化における主導的役割に決定的な変化が生じた兆候と受け止められる。
4.世界経済の成長スピードの差や政策かい離を反映した為替相場の大変動。金融市場全体へのボラティリティが拡大。
5.欧州の銀行は資本増強と業務体質の強化で出遅れており、リスク過剰時代からの負の遺産をまだ処分できていない。こうした金融機関への懸念が再燃。
6.中銀が繰り返し介入することで安定を確保し続けるとの確信の下、リターン追求でさまざまなミスマッチを積み上げてきた市場参加者が、突然リスク回避に転じる。相対的な流動性不足に定期的に見舞われる市場でこれが起こる。
(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:Six Events That Could Make Soros a Winner: Mohamed A. El-Erian(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-13/O8P4US6KLVR701
長期金利を中心に軒並み過去最低更新、世界的なリスクオフの流れ継続
船曳三郎、山中英典
2016年6月14日 07:54 JST 更新日時 2016年6月14日 13:52 JST
新発10年債利回りマイナス0.175%、新発20年債利回り0.155%
今月は日銀買い入れオペの有無に読みにくさある−三菱モルガン
債券相場は上昇。新発10年物をはじめ、5年物、20年物、30年物の国債利回りが連日の過去最低更新となっている。日米の金融政策決定会合や欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票を控えて不透明感が強く、国内株安も続く中で、リスク回避の債券買いが優勢だ。日本銀行が国債買い入れオペを通知しなかったことを受けた売りも限られている。
14日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいのマイナス0.165%で開始。その後1ベーシスポイント(bp)低いマイナス0.175%まで下げ、3営業日連続で過去最低を更新した。新発20年物の156回債利回りも一時1.5bp低い0.155%と、同じく3営業日連続で最低更新。新発5年物128回債利回りが0.5bp低いマイナス0.28%、新発30年物の51回債利回りは1.5bp低い0.225%と、いずれも連日の過去最低を記録している。
BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、英国民投票について、「予想外に離脱派優勢の報道が続いていることから、グローバルにリスクオフが広がっている」と指摘。「離脱となった場合の欧州通貨安や米利上げ期待の後退、日銀の緩和期待の高まりなどもあり、円債市場でも利回りが史上最低値を更新する展開となっている」と言う。
英国のEU離脱の是非を問う国民投票を23日に控えて、ICMによる世論調査が電話とオンラインの両方で「離脱派」が「残留派」に対するリードを5ポイントに広げるなど、3つの最新の世論調査で英国がEU離脱に向かっていることが示唆された。
長期国債先物市場で中心限月9月物は、前日比4銭高の152円41銭で取引を開始し、一時は152円50銭と中心限月ベースでの最高値まで1銭に迫った。日銀の国債買い入れオペレーションが見送られて上げ幅を縮小する場面もあったが、日経平均株価が一時200円を超える下落となる中で買いも根強く、午後も152円50銭まで上昇する場面があった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「いろいろイベントを控えて動きにくさはあるが、それでも世界的な金利低下の流れが円債の背中を押している感じだ」と指摘する。
13日の米国債相場は続伸。米10年物国債利回りは前週末比3bp低い1.61%程度と約4カ月ぶりの低水準で、2月以降では最長の5営業日連続高。今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ見送りが予想される中、英国民投票を控えた安全資産への逃避が続いた。ドイツ10年物国債利回りは0.02%と前週末からほぼ変わらず。
2日連続でオペ見送り
日銀はこの日の午前10時10分の金融調節で長期国債買い入れオペの通知を見送った。BNPパリバ証の藤木氏は「昨日に続いてオペが見送られたことが相場の重荷となり、朝方に高値を付けた後はやや弱含んだ」と言う。
日銀は6月に入って4回の長期国債買い入れオペを実施した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留氏は、「今月はこれまでに比べてオペの有無の読みにくさがあり、今週はオペ通知の10時10分の時間帯が波乱含み」とみていた。
もっとも、債券市場の足元の需給環境は良好だ。3カ月に一回の利付国債の大量償還を控えており、財務省の発表によると、15日から20日にかけて19兆円弱の償還が予定されている。稲留氏は、「多くの投資家にとって主戦場になっている20年ゾーンなどの動きが注目され、消費増税先送りなど悪材料がある中でも相場はしっかりしている印象だ」と述べた。
http://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-06-13/O8P7CW6TTDS701
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/777.html