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第9回福島県「県民健康管理調査」検討委員会議事録平成 24 年 11 月 18 日
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春日
チェルノブイリ事故の後の甲状腺がんの増加ということがいろ いろ言われていますけれども、それを参照した場合に、前回の委員会で御報告のありま したお一人の患者さんというのが、とても原発事故が原因であるとは思えないという御 説明でしたけれども、そのこともわかるような御説明を、そして、それであればなぜ昨 年度から、早い時期から検査を始めているのか、その意義や意味などをもう少し踏み込 んで御説明いただければと思います。
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鈴木教授
春日委員から御指摘いただいたことについて、まず、甲状腺がんとはど ういうものなのかということですが、通常の我々が知っている胃がんや大腸がん、肺が んとは違った性質を持っております。
甲状腺がんは、進行が穏やかだとか、年齢が高い 人の方が進行が早いとか、
そういった特徴がございます。
そういうことをある程度知っ ていただくということと、先ほど甲状腺がんが一例出た方についてお話されましたが、 それに対しては、影響はあまり考えられないということを前回申し上げたと思うのです が、要するに 1 名しか出ておりません
一般論 としては、今の一例の方の年齢とか属している組織とか、あとは何度か検査を行ってお りますので、時間的な経緯で急激に増大していないとか、いろんなことから先ほどから 言っているように今までのチェルノブイリとか、今までの疫学データと照らし合わせて、 これは、我々が知りうる情報、科学的な知見からは放射線の影響であるということは言 えないのではないかと思います。それを断定するものは、今後もそうですけれども、一 人一人この人が出たら、この人は放射線の影響だ、この人はこの食べ物の影響だという のがわかるというのは、なかなかがんにはございません。ただ、ある程度それは疫学調 査で、基本調査の結果とかと照らし合わせて、グループとしては、ある程度はわかりま すけれども、一人一人が瞬間的にわかるものではございません。ただ、我々は今まで得 られた貴重な知見から医学的に判断するとそうであろうということしか、今のところ言 うことはできないです。そこに関して、具体的な説明は、今回は申し上げませんけれど も、今後時間が経ってある程度の数が出たところでは、きちんと出すようになると思い ます。このくらいで御理解いただければと思います。
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第10回福島県「県民健康管理調査」検討委員会議事録 平成 25 年 2 月 13 日
鈴木教授
細胞診を実施しております。その結果とし ては、10 例が悪性もしくは悪性を疑う
ものであり、細胞診の結果として良性もしくは 正常というのが 66 例でございます
。10 例のうち、3 例については、既に診断が確定し て、甲状腺がんであると確定
しております。
井坂委員
がんの問題ですけれども、一般の方は、それ出たかということになってしまいますね。
ただ、私ども医師としては、発がんするには、イニシエーターとかプロモーターとかご ざいまして、健康な細胞がそういったもので刺激をされて発がん化するまでには、5 年、 10 年、何十年とかかると教わっているわけですね。実際に、最近の遺伝子の問題では、 早いもので 5 年ぐらいということだったので、今出ているがんは、先ほどの鈴木先生の 御説明で通常のがんということで、そのへんははっきりとお話しておかないと県民の方 も戸惑うのではないかと思いますので、その辺のところはどうなのでしょうか。
山下座長
鈴木先生、これは先行調査ということで、御説明いただければと思います。
鈴木オブザーバー
はい、ありがとうございます。そのとおりで、基本調査の方でも現在のところの線量
では健康に影響が出る量ではないというコメントがありましたが、それも含めて、まず 最短でチェルノブイリで 4 年、5 年で甲状腺がんが増加したということの情報から、こ ういう調査を開始しました。4、5 年後から見るのではなくて、その前にそれぞれの甲 状腺の状態を把握するということのために、この先行調査が来年までに一回り終わるわ けです。そのために行っておりますので、当然、先行調査で元々あったものを発見して いる可能性が高いということです。実際、今までに得られている情報からは、それを覆 すものはないわけですが、ただ、断定をするとかいうことではなくて、これから粛々と 症例を見ながら、きっちりと検討をしていく必要があると思います。今まで、我々が医 師として、科学者として、そしてこの検査を執行する者として、得られている情報の中 から総合的に判断すると非常に考えにくい。通常の甲状腺がんが見つかったものと思わ れるということであります。
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第 11 回福島県「県民健康管理調査」検討委員会議事録 平成25年6月5日
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鈴木教授
結果概要です。二次検査 の結果ですが、細胞診を最終的にした方の結果ですが、平成 23 年度が 12 名、24 年度が 16 名、いわゆる悪性ないし悪性疑いと出たものであります。合計で 28 名であります。5 月 27 日現在のデータでございます。23 年度は悪性ないし悪性疑いの 12 名の中 8 例が手術をし て診断が最終確定しております。1 例が良性結節でありました。7 例は通常の乳頭がんでご ざいます。1 例の良性結節に関しては、非常に専門家の中でも非常に診断が難しいと言われ るもので、最終的にご本人ご家族と相談の上、手術で確定するという判断をいただいてま す。男性、女性の比は 5:7、平均年齢 17 歳、平均腫瘍径は 14mm。24 年度は悪性ないし 悪性疑いの 16 例で手術で確定したものが 5 例で、すべて甲状腺乳頭がんでございます。全 体の男女比は 9:7、平均年齢 16 歳、平均腫瘍径 18 で、合計でもう一度繰り返し申し上げ ますと、28 例中 13 例が手術して、12 例が甲状腺乳頭がんと確定して、1 例が良性の腫瘍 であったということであります。
春日文子
鈴木先生がこれまで県立医大 側でお一人で対応されていたわけですけれども、今回検討委員会の中に清水先生やまた疫 学の津金先生というご専門家も加わらられましたので、この機会にですね甲状腺がんにつ いて、特化した専門部会のようなものをこの検討委員会の下に作っていただいて。もう少 し頻繁に県民の方にご説明をいただいたり、時間をかけて説明をいただくようなそういう 機会をつくっていただいては如何かと思います。
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清水一雄 委員
日本医科大学の清水でございます。
以前からチェルノブイリに 99 年から健診にいっているのですけれども、何歳の時に被ば
くすると、一番発症しやすいかというので、その時のデータは (数年後)1 歳から 3 歳、つまり乳幼 児の時に被ばくすると一番がんの発生率が高い。それから、4 歳、5 歳、6 歳と次の段階の 被ばくの年齢なんですけども、7 歳から 15 歳は大体それからもう少し下がって横ばいとい う状況で、しかも乳幼児から 6 歳くらいまでの間というのは、被ばくの時の感受性といい ますかそれが専門分野でないので良く分らないのですが、3 から 4 倍位高い感受性があると いうふうに理解しているんですけれども、そういうのを考えた上での表なんでしょうか。
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清水一雄
男女比はだいたい乳頭がんは 1:7.7~1: 8.8 で女性に多いんですけれども、この結果をみますと男の子が多いような印象が、頻度が ですね。前、チェルノブイリの結果を見ましても 1:3.3 くらいで、男の子がちょっと多くな ってきたかなという印象があるんですけれども、その点先生何かお感じになったことがあ れば、この 2 つを教えていただければと思います。
鈴木教授
確かに 1:7 という比率がありますが、施設によっては 1:4 くらいです。どんなにでも大体女性が多いというのは一般的な、特に成人の乳頭がんでは 多いということなんですが、今 23 年度、24 年度、24 年度は特にやや男性が多いというこ とですが、これは全く途中経過のデータですので、全体が揃ったところでないとなかなか 分からない可能性がございます。ですから、一応そういうことを一つ頭に入れながら、今 後経過を追わなければいけない。この時点でどうだ、というような表現はないです。コメ ントのもう一つとして、男性が多い場合に非常に悪い症例が多いのが一般的ですね。女性 は良くて、男性が含まれていると相当悪いのが入ってるんじゃないか、という事がありま すが、今までのデータを見ても、非常にそこの臨床症状として決してこのグループは非常 に進行の早いグループは含まれておりませんので、その点からいっても、あまり性差が何 か影響しているというよりは、まだそういう数ですので、また変わる可能性があるかもし れないということで、もう少し見られた方がよろしいんじゃないかと思います。
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第 12 回福島県「県民健康管理調査」検討委員会議事録 :平成25年8月20日
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星北斗
私が 1 つ気になったのですが、男女比の話で、チェルノブイリ等の人たちの間で、放射 線被ばくの影響があったとして、そのチェルノブイリではどんな感じなのですか、男女比 がないのか、それとも女性に多いとかそういうことはあるのですか。
村昇 委員
長崎大の村です。チェルノブイリの甲状腺がんについてはですね、発症が確認されだ
したのが、大体 5 年ぐらい経過した頃からで、最初の頃には確かに男女比そんなに明らか に普通の成人甲状腺がんのように女性が圧倒的に多い、というようなことはなかったです。 やっぱり、経過していくと女性の比率が高くなっていくということですから、段々、経年
的に女性の方の比率が増えていくような傾向だと思います。
清水修二 委員
素人感覚から教えていただきたいことが 3 つあります。
1 つはですね、要するに、いつの時期から出てくるのかということで、今お話しありまし
たけれど、チェルノブイリの場合は 4 年ないし 5 年後から急に増え始めたということで、 今回はまだ 2 年半弱しか経っていない。したがって、今回の甲状腺のがんが原発の事故が 原因だというふうには考えにくいという評価が、ここには書いてありませんが、あるよう に思います。その通りだとすると今回調べて出てきた甲状腺のがんというのは、事故の存否にかかわらず通常からあったということになりますよね。つまり、調べたから出てきた という、疫学バイアスと言われているそうですけれども、そうするとですね、非常に珍し いと言われてきている子どもの甲状腺がんが調べれば結構出てくると、前回 28 で今回 44 になって、今後も増えていくだろうと思われますけれども、そもそも甲状腺がんという病 気は調べればそれほど出てくるものなのか、つまり、患者として顕在化しない潜在的な患 者というのがそんなにたくさんあるものなのか。そもそも、甲状腺がんという病気がどう いう病気なのかということをやはり知りたいと、私は思います。今日は授業をやってもら う訳にもいきませんので、時間は短いと思いますけれども端的にポイントを教えていただ きたい
3 つ目が、潜伏期間。チェルノブイリの場合、4,5 年といわれていますけれども、この 4,5 年という数字の信憑性というか、つまり、調べたから出てきたのだということを裏返しに 言うと、調べられなかったから出なかったのだということも、あり得る訳ですね。チェル ノブイリ事故の直後の状況で、どれだけの甲状腺がんの診断が正確に行われたかというこ とに関しては、疑問があるという指摘がありまして、調べてなかったのではなくて、調べ ることが十分にできなかったので、発見が出来なかったのではないかという見方が一部あ ると聞いているのですよ。だから、4,5 年というのが本当に原発の事故の場合にはこのぐら いなのだと、あるいは、日本人の場合はヨウ素が多いからもっと遅いのだという見方をし ていいのかどうかというところなんです。
鈴木教授
まずですね、甲状腺腫瘍がもし 2,3 年で、そもそも甲状腺腫瘍というのは 2 番目の質問に
もかかりますけれども、まずゆっくり育つがんということ、非常にゆっくり育つ。我々、 通常年齢が増せば増すほど、加齢が伴うほど悪性度が増します。特に、閉経後は 50 歳以降、 45 歳以上でステージ分類、病期分類というのは変わると言われております。年が上がれば 上がるほど悪い、そういうことがあるなかで、今、若い人である。年上の方でもあっとい う間に進むがんを、未分化がんと言って、それは 50 歳以上の人にしかありませんので若い 人にはないということと、2,3 年ということですが、腫瘍倍加時間というのがあって、我々 はスポット、スポットで腫瘍を見た時に腫瘍の大きさが変わると、変わったところの期間 を計ることで、腫瘍の増殖曲線を描くのですけれども、増殖曲線の立ち上がりが早いほど 増殖能が高いということ、つまり腫瘍倍加時間が短いと言うことですが、ほとんど今の検 診で来る人たちは、例えば半年経ってもあまり変わらないというようなことで、それがも し急激に出来たものであれば、会う度に急激に増大してこなければいけない。それは、時 間が遅くなればなるほど早くというのが、腫瘍の常識ですので直線的にはいきません。段々 段々、時間とともに立ち上がりが早くなるので、そういうことは今の 2,3 年ではないという こと。もう 1 つは、甲状腺がんでは剖検患者、亡くなられた剖検患者を診ると、統計では 28%~10 数%まで 5 mm以下がほとんどですけれども、多発性の微小がんが山ほど見つかる ことが知られている。いわゆる、自分の寿命より甲状腺腫瘍が顕在化することの方が遅い 人がかなりいるということですので、極端に小さいものを探すのはやめようというのが、 甲状腺の臨床の世界でありまして、ガイドラインというのはそういうことで 10 mmでもいい という人がいるのを、今一応、日本では 5 mmにしていますけれども、5 mm以下は積極的に探 さないよう、それは一生変わらないものが多いからだということで、変わるものは 5 ミリ 以上で見てきて対処しても、間に合うということは知られている。その中の動きからみて、 今見ているものは既に出来ていたものであるということは予想されるところでございます。 急に 2 年前のことで起こったものではないというのが、今まで我々が知り得る常識からは ないのではないか、ただ我々は科学的なもう少し分析して評価はするが、これまでざっく り今まで診ている中では、それをあえてもう 1 度留まって詳しい検査をしないととても人 には言えないというデータではないだろう。今までの常識の範囲、今までの調べられてい る範囲、我々が診療して経験している範囲の中から逸脱しないだろうということでありま す。
質問3つ目 潜伏期間。チェルノブイリの場合、4,5 年といわれていますけれども、この 4,5 年という数字の信憑性というか、つまり、調べたから出てきたのだということを裏返しに 言うと、調べられなかったから出なかったのだということも、あり得る訳ですね
この件
鈴木教授 何も答えず。