雑感。安倍ノミクスのエンジンをふかす?
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52808846.html
2016年06月07日 在野のアナリスト
舛添都知事から「第三者の厳しい目」とされたヤメ検弁護士、猪瀬前都知事の政治資金疑惑の弁護、小渕元経産相の政治資金疑惑の第三者委員も担当し、検察官時代はマムシと称された、とされます。そのことから巷ではこういうそうです。「政治家疑惑に『違法でない』とお墨付き、中国服にも『お墨付き』。ドリルと虫食いで調査の実態は穴だらけ」。政治家に「問題ない」とお墨付きを与えるのがこの弁護士の仕事で、舛添氏もこの人の実績を十分に承知し、またこの人ならと勧められ、「第三者の厳しい目」として選任した。つまり一番「厳しい目」を向けていたのは、舛添氏による弁護士の人選、となるのです。
自民党は参院選の公約を発表、と言いながら中々HPには載せませんが、安倍氏の会見からは「安倍ノミクスのエンジンを最大限にふかす。デフレからの脱出速度をさらに上げる」とします。しかし昨日発表された5月消費者動向調査は、消費者態度指数は40.9と、前月に大幅に下がったこともあって0.1pt改善しましたが、消費者が予想する物価見通しは、上昇するが3.4pt低下し、低下するが0.8pt上昇した。4月とは逆の動きでもありますが、そもそもこの調査は1年後の物価見通しを聞くもので、4月は消費税増税を織りこんだとするなら、5月の低下は何か? 増税見送りの予想が増えたためだとしても、まだ決定ではない段階であり、もし円高や小売の安売り攻勢をみていたとしたら、デフレからの脱出速度は間違いなく減速傾向です。
4月の景気動向調査も内閣府が発表していますが、これが驚いたことに一致指数でマイナス寄与はゼロ、しかも出荷関連や小売、卸売から有効求人倍率まで、すべてプラス寄与です。熊本地震の影響はまったくなかったどころか、九州地方の下がった分をすべて他地域でカバーした、との良好な数字がでました。しかし他の統計資料とも整合がつかず、まるで別の国の指標をみているような気分になります。逆に、熊本地震で一気に物資が九州地方に流れ、他地域はその補充に動いたことが原因なら、一時的要因と言えるのでしょう。
安倍ノミクスのエンジンを吹かす、どころか、すでに景気は斜陽。G7の中でもっとも低い成長率ですし、これまでがエンジンを吹かしまくって金融緩和を異例な速度ですすめてきたのであって、そのスピード違反から米国により円安誘導へのけん制が入る始末です。これからは安全運転どころか、燃料切れでいつ停車するか分からないですし、最大の問題は、安倍ノミクスではアクセルを踏んでもギアがつながっていないので、日本が前にすすむことができない点です。ギアというのは制度、政策であり、社会を動かすために、お金を上手くタイヤに伝える役目があります。しかしここに構造上の問題を抱えたままで、まったく効果が出ないのです。
デフレからの脱出速度、どころか、今年に入ってからふたたびデフレに巻き戻っており、今後はさらにデフレがすすむでしょう。増税延期をしたことで、物価見通しが今後より下がるはずですので、むしろデフレの泥沼に嵌りこんだ、速度を上げるどころか、デフレ方向にむかって加速する印象です。いずれも安倍政権の経済政策の失敗であり、安倍ノミクスも脱デフレも、実はもう成果どころか失敗との結果が出ていて、それをさらに押し進めるのか? という点に、最大限の不安が生じてしまうのでしょう。
安倍ノミクスのエンジンを最大限にふかす、どころか、増税延期をまるで減税効果のように語ったり、マイナス金利は効果があると言ったり、月例経済報告で『回復基調』をつかいつづけたり、指標ではすでに確報が出ているのに、速報を見直してGDPの大幅改定の説明をしたり。安倍政権で起きてきたのは『安倍ノミクスの効能をうたうために、最大限にホラをふかす』ということです。そのホラに踊っていたら、いつのまにか日銀の保有する金融資産や年金などが、ホラーのような状況となってしまった。壊れた車に乗った、暴走する可能性のあるエンジンをさらにふかそうとする、ホラー、サスペンスに近い演出を施そうとしているようにしか、自民の寸劇は見えなくなってきているのでしょうね。
http://www.asyura2.com/16/hasan109/msg/551.html