予約16年待ちの「神の手」直伝! 腰痛を「自宅で自分で」治す方法 高橋由伸や中山美穂も御用達
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2016年06月04日(土) 週刊現代 :現代ビジネス
治療しても効果がなく、意を決して手術をしてもすぐ痛みがぶり返す—腰痛患者が抱える長年の悩みに朗報!腰痛治療のスペシャリストが実践している、「新常識」に基づいた治療法を紹介する。
■マッサージはいらない
「私の治療院には日々、腰痛に悩まされている50代、60代の方が大勢いらっしゃいます。その方々の大半は、脊柱管狭窄症などに代表される、体を後ろに反らせると痛みを感じる症状を訴えます。
こうした症状には、体を丸める動作を伴った体操がよい、というのが従来の『常識』でした。しかしこれだけでは決して腰痛は治らないんです」
こう話すのは、著書『脊柱管狭窄症は自分で治せる!』が今ベストセラーになっている、さかいクリニックグループ代表の酒井慎太郎氏だ。
これまで100万人以上の患者を診療し、「神の手を持つ治療家」とも言われている。新規の客がマンツーマン治療を受けるには、現時点で予約16年待ち(酒井氏が部分的に施術に入るコースであれば1年待ち)だという。
そんな酒井氏の腰痛治療では、手術や筋トレ、マッサージの類いは一切行われない。
その代わりに実践しているのが、オリジナルメソッド「酒井式腰痛解消ストレッチ」。これまで腰痛には逆効果として避けられていた体を反らす動きも積極的に取り入れ、丸めて反らす≠アとで腰痛を治すという画期的なやり方を提唱している。
ではなぜ、体を丸める動きと体を反らす動きの両方を行うと腰痛が解消されるのか。そのメカニズムを酒井氏が解説する。
「腰痛の症状は大きく二つのパターンに分けられます。一つは椎間板ヘルニアなど、前かがみになると痛みが起こるもの。これは腰椎の前側に負荷がかかり、椎間板内の髄核が押しつぶされる形ではみ出て、神経が圧迫されることが原因です(図1)。
もう一つは後ろに反ると痛むもの。こちらは椎間板の変性により、神経が通る脊柱管が圧迫されることが原因です(図2)。
これまでの腰痛治療では、患者が二つの症状のうちどちらに当てはまるかを判別し、それに合わせた治療をすればよいとされてきました。ですが、現実はそれほど単純ではない。いくら治療を受けても改善に向かわない患者の方々を診断するうちに、二つの症状が混ざり合ったタイプの腰痛の存在に気付いたのです。
腰痛は突発的に起こるものだと思いがちですが、きちんと時系列に沿った『物語』があります。今、腰を反らせると痛みを感じる患者の方が、若い頃に前かがみになると痛みが出る腰痛に悩まされた経験をお持ちだった場合がよく見られます。腰痛のタイプは経年変化し、結果二つの症状が組み合わさったミックスタイプの腰痛が生まれてしまうわけです。だから片方に絞った処置だけでは当然完治しないのです」
■「腰痛貯金」を減らす
酒井氏はとりわけ「体を反らす動き」が日本人の腰痛患者の治療には必要だと話す。
「日本人は農耕民族ですから、農作業に必須な前かがみの姿勢が古くから定着していました。また、おじぎやうなずきといったコミュニケーション上の前かがみ文化≠熏ェ付いています。そのため、現代でも意図せず前かがみになる姿勢が、私たちの日常生活に染みついているんです。
腰痛の原因となる日常動作の積み重ね、私はこれを『腰痛貯金』と呼んでいますが、諸外国と比べても、日本人はこれを蓄積しやすい。腰痛が国民病といわれる所以はまさにこのためです。だからこそ、体を丸めて反らすストレッチで日々溜まった腰痛貯金を減らしていく必要があります」
それでは具体的に「酒井式腰痛解消ストレッチ」の中身を紹介していこう。
酒井氏が一番オススメしているのが「仙腸関節ストレッチ」(次ページ図参照)だ。このストレッチは、これまで完治の難しかったミックスタイプの腰痛患者にとくに大きな効果を持つ。
「歩いたり、座ったり、物を持ち上げたりといった腰の動きは、背骨の腰部分を構成する『腰椎』と、骨盤中央の仙骨と左右の腸骨の境目にある『仙腸関節』という二つの関節が上手く連携してはじめてスムーズに機能します。
ただ、仙腸関節は正常時でも可動域が狭いので、放っておくと動かなくなりやすい。この状態が腰痛を悪化させる根本原因なので、まず最初に矯正してやる必要があるのです。逆に言えば、この仙腸関節ストレッチはほぼすべての腰痛を治す力があるんです」
■「イタ気持ちいい」が目安
必要になるのはテニスボール2個だけ。これをガムテープ等でつなげて固定し、図のように仙腸関節部分へ当てた状態で寝転がれば準備は完了。あとは、この姿勢を数分間キープする。これを毎日、続けるだけで凝り固まった仙腸関節を刺激し、腰痛知らずの体が手に入る。酒井氏自身も足がしびれるほどの腰痛に襲われた際、このストレッチを実践して治したという。
「仙腸関節ストレッチの効果を補強する、二つの腰痛症状別ストレッチもあります。前かがみになると痛みが起こる方の場合は『おっとせい体操』を、逆に、体を後ろに反らせると痛みが起こる方は『ねこ体操』をそれぞれ試してみてください。筋肉痛レベルの腰痛ならこれだけでも十分効果があります」(酒井氏)
「おっとせい体操」のやり方は、まずうつ伏せになって、両手を顔の横にくるようにして床につけ、脇をしめる。その状態で深呼吸をし、両手両肘を床につけたまま、ゆっくり息を吐きつつ上体を起こす。その体勢を1~3分間キープすればOKだ。
「ねこ体操」は正座をした状態から、ゆっくりと両腕を伸ばしながら上体を前に倒し、その体勢を1分間キープする。
「これらの体操を毎日継続して行えば、3週間以内に効果を実感するはずです。『イタ気持ちいい』と感じるくらいが目安ですが、最初の3日間位は苦しく感じることもあります。けっして無理はせず、肩の力を抜いて続けましょう」(酒井氏)
日本人の4人に1人が悩まされる腰痛。長引く痛みに「もう治らない」と諦めてしまった人も、すぐに始められるストレッチを、一度試してみてはどうだろう。
「週刊現代」2016年6月4日号より