Xデーは7・18党大会か 現実味増すトランプ暗殺のシナリオ
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2016年5月10日 日刊ゲンダイ
“泡沫”が“本命”に(C)AP
テッド・クルーズ上院議員が撤退表明したことで、共和党の指名獲得を確実にしたドナルド・トランプ。“泡沫”が“本命”に躍り出たことに共和党員からもため息が聞こえてくるが、現実味を帯びてきたのが「トランプ暗殺説」だ。
トランプは低学歴・低所得の若い白人層から強い支持を受けているが、保守を自任する職業政治家や米軍関係者たちには煙たがれている。また、イスラム教徒や中南米系移民に差別的発言を繰り返すトランプに対し、昨年12月あたりからネット上にトランプへの殺害予告が次々と書き込まれている。
大統領暗殺は米国の暗黒史だ。建国以来、現在のオバマまで暗殺された大統領はリンカーン、ケネディなど4人に上る。暗殺未遂、暗殺計画が明らかになったのは、公の記録に残っているだけで16人もいる。トランプは3月11日にイリノイ州で予定していた遊説を“保安上の理由”で中止し、翌12日にオハイオ州郊外で開いた集会で反対派の男がトランプを目がけて演壇に駆け上がろうとする“事件”が起きた。米紙ニューヨーク・タイムズの著名コラムニストがトランプの暗殺シナリオをツイートし、「不謹慎だ」と謝罪に追い込まれる騒ぎも起きている。
■2キロ先から正確に急所を射抜く退役軍人
「トランプ氏の暗殺計画があるとすれば、警護が厳重ではない大統領選のキャンペーン期間中を狙ってくると思います。今、米国には映画『アメリカン・スナイパー』のモデルになった“伝説の狙撃手”のように、アフガン戦争やイラク戦争で心の傷を負った退役軍人がたくさんいます。彼らは2キロ以上離れた場所からでも正確に急所を射抜く。暗殺後“実行犯は心の病を抱えていた”となれば、裏で暗殺の糸を引いたシンジケートの存在はひっそりと闇に葬られることになるでしょう。イスラム国や中南米マフィアが腕利きのスナイパーを用意する可能性もあると思います」(軍事ジャーナリストの世良光弘氏)
“Xデー”は、7月18日からオハイオ州クリーブランドで開催される共和党の全国大会ではないかという見方もある。クリーブランド市は、米国の「危険な都市の上位10位」に常に入るほどの凶悪犯罪多発地帯だ。市は連邦政府の補助金5000万ドル(約54億円)を大会警備のために充てる方針だが、「銃の携帯を認めろ」という署名が2万2000人以上から集まっている。
「会場となるクイッケン・ローンズ・アリーナの収容人数は約2万。拳銃の携帯が認められたら、スナイパーを雇わなくても至近距離から狙えます」(世良光弘氏)
トランプは「メキシコとの国境に万里の長城をつくる」と主張してきたが、4日前からメキシコ料理を食べながら「中南米系好き」と急にアピールを始めた。暗殺を本気で警戒しだしたのか。