日本経済の停滞はすでに常態 もはや「日本病」
人民網日本語版 2016年05月02日10:06
日本経済が再び注目を集めている。「アベノミクス」の成果が輝かしいからではない。国際経済界は日本の長引く停滞や深刻なデフレに「日本病」の診断を下した。主要国首脳会議(サミット)が5月末に日本・三重県で開催される。開催国が「病身で参加」し、病気は感染しやすいので、どのように予防すべきか、どうやったら困った事態を抜け出すことができるかと、世界が不安を感じている。「経済日報」が伝えた。(文:陸忠偉・中国現代国際関係研究院元院長)
モルガン・スタンレー元アジア会長のスティーブン・ローチ氏は、「『日本病』とはすなわち日本経済の長期的な低迷、転覆した船や枯れた樹木のような状況、救いようのない深刻な病状を指す。第二次世界大戦後の日本の経済周期から考えて、1990年以降に5回の衰退期があり、2015年までの5年間(の衰退期)には、国内総生産(GDP)の年平均成長率がわずか0.8%にとどまり、それまでの45年間の年平均7.25%を大幅に下回った」と述べる。
最近の景気の指標も楽観できないものだ。経済は2四半期連続で縮小し、日本銀行(中央銀行)は2年ぶりに景気判断を引き下げ、円相場は下げ止まって上昇し、復興を喚起する効果は始めは高かったが徐々に低下し、一部の企業は賃金上昇幅が昨年の半分にとどまり、物価上昇率を2%に押し上げる力はまったく備わっていない。日本経済はデフレの悪影響を強く受けて、出口の見えないトンネルの中にいるといえる。
日本経済の停滞はすでに常態となっている。「日本病」は潜伏期間にはわかりにくいが、発病すると拡大していく。「オランダ病」、「英国病」、「ギリシャ病」などと似ており、物価の低迷、内需の縮小、投資の不振、負債の山、翌年の収入を食いつぶさなければならない経済的困難、産業の空洞化、競争力の弱まり、根本的対策にならない各種の政策、デフレや低成長から抜け出せない遅々とした歩み、といった病状も似ている。
最近、米国や欧州の経済が弱々しく復興に向かう中で、「日本病」の症状がひっそりとみられるようになった。消費の不振、通貨の過剰供給、これ以上は下がりようのない金利、深刻なインフレなどだ。08〜15年には、ユーロ圏のGDP年平均成長率はわずか0.1%だった。欧州中央銀行は16年のユーロ圏のGDP成長率予測を1.7%から1.4%に下方修正した。同じように米国でも米連邦準備制度理事会(FRB)がGDP予測を2.4%から2.2%に引き下げた。
欧米などの発達したエコノミーだけでなく、中国を除く新興エコノミーもGDP成長率が軒並み低下し、成長の鈍化が一般的な現象となり、15年の経済成長率は4%にとどまった。モルガン・スタンレーの予測では、16年のグローバル経済成長率は3%で、以前にうち出した予測の3.3%を下回り、これから日本のような長期的低迷に陥る可能性があるという。
そこで安倍内閣はサミットの前に大規模な経済活性化プランを再びうち出し、財政・金融の「無制限フリーマッチ」を戦おうとしている。財政予算約450億ドル(約4兆8299億円)を追加拠出して、公共事業の費用を前倒しで支払ったり、「プレミアム商品券」を発行したりするほか、消費税率引き上げの先送りも検討している。ここから「アベノミクス」には目新しいカードがそれほどないことがわかる。
海外の経済専門家の中には、グローバル経済の低迷に対処するには、「アベノミクス」のバージョンアップ版を早急にうち出す必要がある。また金融・財政政策を一層緩和し、構造改革と関連づける必要がある、とみる人もいる。この提案は「船に目印をつけて落とした剣を探そうとする」ようなものだ。腕のある医者ならば、症状に応じて適切な薬を処方し、病状に応じて量を調節し、いろいろな薬を用いて、さまざまな病気を治すことができるからだ。
「日本病」は直りにくい病気ではなく、処方箋がないわけでもない。安倍内閣の経済活性化のための使い古したやり方が、新たな情勢の変化に追いついていないだけだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月2日