いつ余震に襲われるか分からない…(C)AP
余震で長期操業停止…大手企業を下方修正ラッシュが襲う
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/179689
2016年4月19日 日刊ゲンダイ
被災地の熊本では地震の影響で、コンビニも店を開け続けるのが難しくなっている。ローソンは熊本県内(全141店)の約7割で営業を続けているが、夜間は5割ほどしか店を開いていない。
「人手の確保が難しくなっています。店舗だけでなく、配送センターも状況は同じなので、店舗に商品が届きにくくなっています」(ローソン関係者)
企業の困惑はメーカーも同じだ。
「工場内の点検をしたいのに、いつ余震に襲われるか分かりません。点検作業はなかなか進まず、工場再開のメドが立たないのです」(メーカー関係者)
被災地(熊本県など)には大手メーカーへ部品を供給する工場が多い。アイシン九州(熊本県)は自動車のドア部品などを製造しているが、設備の一部に被害が出た。その影響で、トヨタ自動車は全国の完成車工場で段階的に生産を中止する。日産自動車九州(福岡県)は操業を見合わせた。
電機メーカーの工場も集積している。ソニーや三菱電機、ルネサスエレクトロニクス、東京エレクトロンなどだ。食品ではサントリー、山崎製パンの工場がある。
「生産ストップは企業業績を直撃します。余震の影響で、操業停止が長期化する恐れもあります。そうなったら、業績の下方修正ラッシュが起きても不思議ではありません」(株式アナリストのリチャード・コーストン氏)
2011年に発生したタイの大洪水では、日本企業400社以上が洪水被害の影響を受けた。サプライチェーン(部品供給の流れ)が寸断され、大手メーカーは操業中止に追い込まれた。この年、失った営業利益はトヨタ自動車で1200億円、ホンダ1100億円、ソニー700億円、日立製作所300億円、キヤノン200億円といわれる。
「熊本地震をローカルな場所で起きた災害と侮ってはいけません。東日本大震災のときは自粛ムードが消費を押し下げ、景気悪化を招きました。今回も物流網がズタズタにされています。ジワリと悪影響を及ぼす危険が高まっています」(株式評論家の杉村富生氏)
日本経済の先行きは一段と不透明になった。