米国の右派は日本を核保有国に誘導している 日本外交と政治の正体
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2016年4月8日 日刊ゲンダイ 文字お越し
横畠内閣法制局長官(C)日刊ゲンダイ
日本の核保有化への話が唐突に出てきた。
3月26日付のNYタイムズ紙は、共和党の大統領候補であるトランプ氏のインタビュー記事を掲載。トランプ氏が、在日米軍などの大幅削減を主張する一方、核兵器開発を進める北朝鮮に対抗するため、日本の核保有もあり得るとの見通しを示した――と報じた。
この直前、日本国内でも意外な発言が飛び出している。横畠内閣法制局長官が3月18日の参院予算委で、「憲法上あらゆる種類の核兵器の使用がおよそ禁止されているとは考えてない」との見解を表明したのである。
日本の右派は核保有の願望が強い。安倍首相の祖父である岸信介・元首相は「岸信介回顧録」の中でこう言っている。
〈現憲法下でも自衛のため核兵器保有は許される〉
〈日本も近代戦に対処しうる有効な自衛力を持たなければならない〉
佐藤栄作・元首相も日本の核武装の必要性を認識し、1964年12月29日のライシャワー駐日大使との会談で、日本の核武装論について言及していた。しかし、佐藤元首相は「非核三原則」を打ち出し、その後の歴代内閣はこの原則を順守してきた。
それが今、米国と日本の両国で突然、日本の核武装化の話が急浮上してきたのだ。実はトランプ氏は過激な発言を繰り返して顰蹙を買っているが、思想や考え方は多くの共和党員が内心抱いている内容で、彼はそれを過剰に表現しているに過ぎない。そのため、共和党の主流派も言動を厳しく咎めても、政策自体は批判しないのだ。
ブッシュ政権を実質的に支配し、現在も隠然たる権力を持っているチェイニー元副大統領は03年、「日本が核問題を書き直すか否かの再考を迫られるだろう」と日本の核保有を容認する発言をしていた。
さらに米国の安全保障問題を主導している共和党重鎮のマケイン上院軍事委員長も03年に「日本は核兵器を持つことを強制されるであろう」と言っている。
こうした動きに対し、国際ジャーナリストのクローウェル氏は06年に「Asia Times」で「シーファー駐日大使は日本の核武装について言及した。ブッシュ政権は日本をそそのかしている」と批判していたが、米国右派は以前から「日本に核武装させ、中国・北朝鮮に対峙させよう」と働きかけているのだ。極右内閣と揶揄される安倍政権で、その動きが一気に表面化。横畠長官の答弁となったとみていい。