金第1書記率いる北朝鮮がテロ攻撃を強行するとの情報を受け、朴大統領や韓国軍は警戒を強めている(AP)
【スクープ最前線】朴大統領がテロ対象者リストトップに 正恩氏が出した韓国攻撃“極秘命令”
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20160224/frn1602241140001-n1.htm
2016.02.24 夕刊フジ
朝鮮半島が緊迫している。米韓情報当局は、北朝鮮が核実験や事実上の弾道ミサイル発射に続き、テロ攻撃を強行する可能性があると分析しているのだ。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の暴挙を阻止するため、米韓両国は3月7日から、史上最大級の合同軍事演習を行う。日本も警戒態勢を敷くなか、能天気な一部野党は安全保障関連法の廃止法案を提出した。ジャーナリストの加賀孝英氏による緊急リポート。
「韓国が異常なまでに緊迫している。国内に潜入している北朝鮮の工作員やエージェントが一斉に動きだし、水面下で戦いが始まっている」
旧知の米情報当局関係者は緊張した声で、こう語った。
韓国の情報機関、国家情報院は18日、与党・セヌリ党との会議で衝撃的な報告を行った。以下、その概略だ。
《正恩氏が最近、対南(韓国)海外工作を統括する、朝鮮人民軍最強の特殊機関『偵察総局』に対して、韓国へのテロ攻撃の極秘命令を出し、その準備に入った》
《攻撃目標は、地下鉄やショッピングモールなど人が集まる場所、浄水道や原発などとみられる。そこで、爆弾テロや生物・化学兵器テロを強行する危険がある。加えて、偵察総局傘下で5000人の要員を抱えるサイバー戦指導局が、空港の管制塔など、重要施設の指令系統を破壊するサイバーテロを行う恐れがある》
中央日報(日本語版)も翌19日、この会議について報じた。注目すべきは国家情報院が同会議で明かした「北朝鮮による拉致・テロ対象者リスト」だ。
《金寛鎮(キム・グァンジン)大統領府国家安保室長、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相、洪容杓(ホン・ヨンビョ)統一相、韓民求(ハン・ミング)国防相…》
全員が現政権中枢である。だが、驚かないでいただきたい。冒頭の米情報当局関係者は「韓国政府は隠した。テロ対象者リストのトップにあげられたのは朴槿恵(パク・クネ)大統領だ。北朝鮮は朴政権転覆を狙っている」と明かした。
問題は偵察総局トップ、金英哲(キム・ヨンチョル)統一戦線部長だ。日本の外事警察関係者は「正恩氏の右腕で、強硬派の代表格だ。朝鮮人民軍の中で最も危険で、残忍な男といわれている」と語った。
世界を敵に回して暴走している北朝鮮が、次に何をもくろんでいるのか。以下、複数の日米情報当局関係者から得た衝撃情報だ。とくとお読みいただきたい。
「英哲氏は、金正恩体制下でのテロの首謀者だ。1月中旬に、統一戦線部長と党中央委員会対南担当書記に抜擢され、さらに絶大な権力を握った。北朝鮮は今月20日、朝鮮半島西方の黄海側沿岸から韓国側の海上に向けて突然、数発砲撃を行い、韓国を慌てさせた。米韓情報当局は『これは英哲氏の宣戦布告に近い挑発だ』と受け止めている」
ちなみに、英哲氏が主導したテロ事件には、2010年3月の韓国哨戒艦「天安(チョンアン)」撃沈事件や、同年11月の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件などが指摘されている。14年に、正恩氏の暗殺を題材にした米映画製作会社へのサイバー攻撃も実行したという。
衝撃情報を続けよう。
「核実験や弾道ミサイル発射はすべて、5月の朝鮮労働党大会を前にした正恩独裁体制の『威信づくり』が目的だ。さらに威信を高めるため、正恩氏は父、金正日(キム・ジョンイル)総書記を超えるテロを決意したとみられる。何をやっても『弱腰のオバマ大統領は動かない』と、米国をバカにしている」
正日氏主導のテロ事件といえば、1983年のラングーン事件(現ミャンマーで発生した爆弾テロ事件。韓国の副首相ら21人死亡)や、87年の大韓航空機撃墜事件(乗客・乗員115人全員死亡)、横田めぐみさんなどの日本人拉致事件もそうだ。絶対に許すことはできない。
情報が事実なら、日本を含め、アジアや世界が北朝鮮のテロの脅威にさらされる。公安関係者がいう。
「実は、日本でも不穏な動きがみられる。5月には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)がある。国内で、テロ事件が起きる可能性は否定できない」
国連安全保障理事会は、北朝鮮に対する新たな制裁決議の採択に向けて動きだし、日米韓3カ国は断固たる制裁強化に踏み切った。
米韓両国は3月7日から、過去最大規模の合同軍事演習(米軍約1万5000人、韓国軍約29万人が参加)を行う。北朝鮮に圧力をかけ、暴走を断念させるためだ。
米軍関係者は「万が一、北朝鮮が攻撃を仕掛けてくれば、米軍は躊躇(ちゅうちょ)なく『金正恩独裁体制殲滅作戦』を実行するだろう」と語る。日本にも影響がある「第2の朝鮮戦争」勃発の危機が迫っている。
こうしたなか、民主、共産、維新、社民、生活の野党5党は19日、安保関連法を廃止する法案を衆院に共同提出した。現実の脅威である、北朝鮮や、東シナ海や南シナ海で軍事的覇権を強める中国の動向を無視していいのか。国民の生命と財産をどうやって守るというのか。
日本政府は国際社会と密に連携し、万全の警戒態勢を敷くべきだ。
■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。