ミック・ジャガー(写真)のデモ参加映像も(C)AP
戦争映画よりリアル NHK「新・映像の世紀」は迫力度満点
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/175785/1
2016年2月21日 日刊ゲンダイ
大人にも「面白い!」と思える番組がある。NHKの「新・映像の世紀」をご存じだろうか。主に日曜(土日連続の場合もある)の21時台に放送されている「NHKスペシャル」の中のシリーズだ。
「NHKスペシャル」は、原発事故や先週の「司馬遼太郎思索紀行」など、現代の問題や故人の回想録までさまざまな特集を組んでいるが、「新・映像の世紀」は世界史、特に世界の戦争を扱っていて、映像がすごい!
昨年10月、「百年の悲劇はここから始まった 第1次世界大戦」からスタートし、12月の「時代は独裁者を求めた 第2次世界大戦」では、心中した愛人の遺品から発見されたヒトラーのプライベートフィルムが公開された。初めて報じられるVTRが多く、独裁者が戦争に突き進む様子が解説され、充実した内容だった。
今年1月の「世界は秘密と嘘に覆われた 冷戦」では米ソそれぞれに侵入したスパイ(CIAとKGB)の話を軸に、諜報活動の映像を公開。スパイの文書が両国の核戦争を止めるまでのシリアスな攻防が伝わる。これは2月上旬に再放送され、他の回も再放送があったから、チラッとでも見た中高年は多いのではないか。まとめて再度、放送してほしい。
知っている史実も多いのだが、「こんなのを撮っていたのか」「残っていたのか!」と驚かされることばかりで、戦争映画よりリアル。
で、明日21日は「第5集」の「若者の反乱が世界に連鎖した 激動の1960年代」のオンエアがある。キューバ革命のチェ・ゲバラ、中国建国の毛沢東らの革命家・政治家に絡め、米国、フランス、チェコスロバキアなど、反戦や民主化を訴える若者たちのデモの映像を通して、カウンターカルチャーの新時代が描かれるようだ。
何と60年代に現れたビートルズやデモに参加した時のミック・ジャガー、さらにはデビッド・ボウイのベルリンの壁前でのライブなど、貴重な映像も流れるらしい。団塊の世代にはストライクな時代だ。
国内のニュース報道がバラエティー化している今、「新・映像の世紀」は実に骨太なドキュメント。池上彰の解説番組もいいけど、世界情勢を知るには“映像の力”にはかなわない。これを見ると、日本の政治家がスケール小さく見えちゃうなぁ。(作家・松野大介)
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