フランシスコ法王とキリル総主教、正教会とカトリック教会の統一に言及[スプートニク日本語]
2016年02月13日 15:12(アップデート 2016年02月13日 15:35)
ロシア正教会を代表するモスクワ及び全ルーシ総主教キリルとローマ・カトリック教会を代表するローマ法王フランシスコは会談を終え、ハバナで宣言文に調印した。
宣言では、中東・北アフリカのキリスト教徒差別を止めるべく、「即刻」対策をとるよう、国際社会に呼びかけがなされた。
シリアとイラクでは数千の人命が奪われ、数百万人が家や財産を奪われている、との指摘の上、テロ対策、暴力の停止で国際社会が結束するよう、呼びかけがなされた。
キリスト教徒徒が信教の自由を制限され、信仰を告白し、それに従って生きる上で、しばしば困難に直面するようになっているという。
両者はまた、教会の統一が失われたことを憂えた。今回の会談は全世界のキリスト教徒に対し、ひとつの教会で祈りを捧げる希望を与えるだろう、と語られた。
http://jp.sputniknews.com/life/20160213/1601777.html
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ローマ法王とロシア正教トップ、東西分裂後初会談へ[日経新聞]
2016/2/13 0:12
カトリック教会の頂点に立つローマ法王フランシスコと、東方正教会で最大のロシア正教会のキリル総主教が12日(日本時間13日未明)、キューバで会談する。ロシア正教会とローマ法王庁(バチカン)のトップ対談は初めてで、1054年に東西に分裂したキリスト教が融和へ動き出すことになる。歴史的な会談が実現する裏には、「イスラム国」(IS)などイスラム過激派が台頭していることへの危機感があったようだ。
Q カトリック教会と東方正教会、ロシア正教会との関係は。
A キリスト教は教義の違いなどから1054年にカトリック教会と東方正教会に分裂した。カトリックが法王を最高指導者とするのに対し、正教会は法王に相当する地位を設けていない。それぞれの独立教会が対等とする点がカトリックと大きく違う。
東方正教会は各地の正教会の連合体だ。コンスタンティノープル総主教を代表と位置づけるが、法王のような権限は持たない。現在は東方正教会の信者のうち約3分の2をロシアが占めるとされる。
キリスト教で最大勢力のカトリック教会は1962〜65年の「第2バチカン公会議」で他の宗教や宗派との対話路線を打ち出し、正教会とも関係改善を図ってきた。最近では14年にコンスタンティノープル総主教のバルトロメオ1世がバチカンを訪れるなど融和の機運も高まっている。だがロシア正教会は東欧やロシアでカトリックが勢力を広げることを警戒し、距離を置いてきた。
Q なぜロシア正教会はバチカンを敬遠していたのか。
A かつてスターリンはソ連内のカトリック教会をロシア正教会に引き渡した。だが共産主義が崩壊するとウクライナ西部を中心にカトリックが多くの教会を取り戻すなど巻き返し、ロシア正教会はこれを脅威ととらえた。それが対話に向かう意味合いは大きい。
Q 会談実現のきっかけは。
1つは中東やアフリカで「イスラム国」やボコ・ハラムといったイスラム過激派組織が台頭し、結束してキリスト教徒を守る必要性が高まったことだ。会談の内容もキリスト教徒の保護が中心になると両教会が説明している。
具体的にはキューバのカストロ議長が仲介したと報じられている。フランシスコ法王は米国とキューバの国交回復を促した経緯があり、15年にカストロ議長との会談でロシア正教会との対話に協力するよう求めたもようだ。
プーチン大統領の後押しも加わったとみてよさそうだ。大統領は繰り返しバチカンを訪問し、ヨハネ・パウロ2世やフランシスコ法王に会っている。03年の会談ではロシア正教会とカトリック教会の和解を推進することで一致した。ローマ法王は西欧との対話の窓口になり得る存在で、そのためにも宗派間の対立を解消したかったからだ。
Q 外交問題についても話し合うのか。
A シリア和平やウクライナ問題に加え、バチカンの長年の悲願とされる法王の訪ロも話題になる可能性がある。ただ、会談の内容は詳しくは公表しない公算が大きい。
(ジュネーブ=原克彦)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM12H6N_S6A210C1FF2000/?dg=1