性交渉でも感染 「ジカ熱」死の恐れも デングどころじゃない…感染者の入国阻止策「事実上なし」
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20160205/dms1602051550015-n1.htm
2016.02.05 夕刊フジ
出生前診断で順番を待つ中米、エルサルバドルの女性たち(AP)
ジカウイルスを媒介するネッタイシマカ(AP)
ジカウイルスによる感染症「ジカ熱」が、中南米で猛威を振るっている。日本では耳慣れないが、感染した妊婦から胎児に重大な影響を与え、最悪の場合、死に至る恐れもある奇病だ。蚊を媒介にする病(やまい)という点は、2014年に国内で感染が確認された「デング熱」と共通するが、専門家は「ジカ熱の恐ろしさは、デング熱の比ではない。いつ日本に入り込んできてもおかしくない」と警鐘を鳴らしている。
流行地となっているブラジルでは昨年11月頃から、小頭症の新生児が次々と誕生し、その数は約4000人に達するという。
「妊娠3カ月目までに妊婦がウイルスに感染すると胎児に影響が出るといわれる。小頭症だけでなく、眼球が未発達であったり、難聴の新生児も生まれている」(医療関係者)
脅威にさらされるのは妊婦だけではない。
元小樽市保健所長で医療ジャーナリストの外岡立人(とのおか・たつひと)氏は「ジカ熱自体の症状は、熱や発疹が5日程度続くものだが、合併症として筋肉を動かす運動神経に障害が現れる『ギラン・バレー症候群』を発症することがある。女優の大原麗子さんが患っていたことでも知られ、重篤な場合は死亡することもある」と話す。
米テキサス州ダラス郡の衛生当局は2日、「今年に入り、郡内で性交渉による人から人への感染があったことを確認した」と発表。セックスでも、うつるというからただごとではない。
今回、爆発的に流行した原因としては、ウイルスが強力な感染力を持つものに「変異」した可能性があるという。今月5日からはブラジルのリオデジャネイロで名物のカーニバルが始まるが、外岡氏は「妊娠初期やその疑いがある女性は、絶対に渡航を避けるべきだ」と強く訴える。
事態は現地で感染するだけにとどまらない。日本国内での大流行の恐れも十分に考えられる。
「ジカウイルスは日本に生息するヒトスジシマカも媒介とする。夏になって蚊が発生するようになれば、流行地から帰国した感染者を発信源に、爆発的に広がることもありえる」(外岡氏)
14年には、東京・代々木公園を中心に、国内では69年ぶりとなるデング熱の感染が確認され、一大パニックに発展した。だが、ひと度、ジカ熱が国内に持ち込まれれば、その混乱は想像もできないものになりそうだ。
「ジカ熱の恐ろしい特徴は、感染しても5人に1人しか発症しない点だ。エボラ熱などでは、空港の検疫所でサーモグラフィーを用いて発熱患者を確認する方法が用いられたが、ジカ熱に対してはほとんど意味をなさない。感染者の国内への立ち入りを防ぐ手段は事実上、ない」(同)
知らない間に感染し、悲劇を生む−。目を覆いたくなる現実が迫りつつある。