反原発の記事は主に社会運動の観点が多いと思えていたが。この経済紙では、先行きの危うい原発の経済における意味を深刻にとらえている。
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http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/matome/15/325410/012200163/
プルサーマル発電の高浜原発再稼働へ 廃炉への課題残す危険な船出
2016年1月25日 hatenaRSS
2016年は安全審査のために停止になっていた原発が続々再稼働する。
1月29日にも関西電力の高浜原発3号機(福井県)が再稼働する予定だ。同4号機についても、2月下旬に再稼働する計画が進められている。
●新規制基準後に初のプルサーマル発電が再稼働
*1月末にも再稼働する高浜原発(写真:流しの / PIXTA)*写真略
高浜3号機は原発の新規制基準の施行後、MOX燃料を使う初のプルサーマル発電となる。同原発の燃料157体には、使用済み燃料から取り出したプルトニウムとウランを混ぜたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が24体含まれるからだ。
高浜原発の再稼働については、昨年2月に原子力規制委員会の安全審査に合格していたが、住民らの再稼働差し止めの申し立てを受けて4月に福井地裁が差し止めを命じる仮処分決定をしていた。
ただし、その後も再稼働に向けた準備は進められ、12月に入ってからは地元合意も取り付けた。そんななか、12月24日には仮処分決定が取り消されることとなり、再稼働に向けて本格的に動き出したというわけだ。
原発再稼働については、昨年9月、九州電力の川内原発1号機(鹿児島県)が新規制基準下の再稼働第1弾となった。11月には同2号機が再稼働し、続く再稼働がどの地域の原発になるかが注目されてきた。
●政府のエネルギー計画には根本的な欠陥
現在、原子力規制委員会の安全審査に合格しているのは、高浜原発と四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)である。上述したように高浜原発については今月から順次、再稼働が行われる見込みだ。伊方原発については、今春に再稼働が目指されている。
なお、伊方原発の再稼働に対しては、根強い反対意見が存在する。BizCOLLEGEの田原総一朗氏のコラム「伊方原発再稼働で改めて問う!日本のエネルギー政策」では、伊方原発の問題点から日本の原発政策、エネルギー政策の課題までを広く論じている。
⇒ 伊方原発再稼働で改めて問う!日本のエネルギー政策
*問題が指摘される伊方原発(写真:fuguran / PIXTA)*写真略
まず田原氏は、伊方原発再稼働の問題点を整理する。「万が一、事故が起こった場合の住民の避難経路が明確になっていないということ」「自治体が地元住民への説明会を行っていないこと」といった理由から、伊方原発再稼働には問題があるとの見解を示している。
一方で、政府のエネルギー計画には根本的な欠陥があると指摘する。昨年7月に経済産業省が発表した「長期エネルギー需給見通し」では、2030年度に、原子力発電が20〜22%、再生可能エネルギーは22〜24%になるとしている。
しかし、日本国内の原発すべてを再稼働したとしても、2030年には15%程度にしかならず、政府の見通しは破綻していると田原氏は言う。
●再び蘇る「安全神話」の危険性
さらに田原氏は、使用済み核燃料の問題についても言及している。日本では既に使用済み核燃料が1万7000トンまで貯まっているが、処分の見込みは立っていない。
フィンランドでは、オルキルオト島にある使用済み核燃料の最終処分場「オンカロ」に使用済み核燃料を長期保存しているが、これを無害化するのに10万年かかる。日本ではオンカロどころか、使用済み核燃料をどの地域に保管し、どういった施設をつくるのかということすらまったく決まっていない。
こういう問題を考えた上で、田原氏は、原発を将来的に廃止していくべきだと主張する。ただし、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの展望が見えていない以上、問題はあるにせよ、当面は原発を再稼働せざるを得ないのではないか、と結論付けている。その際、当面の再稼働はやむなしではあるが、想定外の事故が起こる可能性があることを前提にしなければならないと注意を促している。
「想定外の事故」により、事後処理の途上にある東京電力の福島第1・第2原発では、今も災害発生を想定した「安全訓練」が行われている。日経ビジネスオンラインの記事「轟音や暗闇も、福島第二原発のリアルな安全訓練 3.11から4年半経った原発施設に潜入(4)」では、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が福島第2原発を取材。訓練の模様が伝えられている。
⇒ 轟音や暗闇も、福島第二原発のリアルな安全訓練 3.11から4年半経った原発施設に潜入(4)
取材を終えた渡辺氏は、「3.11から4年半以上が経過して、再びこの国は『原発安全神話』への道を歩み始めている感がぬぐえない。電力会社関係者はイチエフ・ニエフを視察して、もし原発施設が巨大地震・津波に襲われて事故を起こせば、新たな想定外がそこでは起こり、当事者としてどんなに厳しい現実が待っているのかを、ぜひ学んでほしい」と述べ、安易な再稼働が広がっていくことに警鐘を鳴らしている。
●原発再稼働に立ちはだかる高いハードル
では今後、原発再稼働はスピード感を増して全国に広がっていくのだろうか。立命館大学大学院客員教授の村沢義久氏は、日経ビジネスオンラインのコラム「再稼働は限定的、「減原発」時代へ向かう日本」のなかで、「そう簡単には行かないだろう」と厳しめの見通しを語っている。
⇒ 再稼働は限定的、「減原発」時代へ向かう日本
村沢氏によれば、原発再稼働には高いハードルが立ちはだかっているという。1つは原発再稼働に反対する世論であり、もう1つは各地で原発の運転を禁じる仮処分を下した「司法の壁」である。
特に「世論の壁」を乗り越えるには、政治家が「ポリティカルキャピタル」(政治的資本)を多く消費しなければならない。このポリティカルキャピタルは「有限の資産」なので、原発再稼働だけでなく、さまざまな政策のなかでどれを優先するかという資産配分が必要となる。
村沢氏は、多くの政治課題を抱える安倍政権が、ポリティカルキャピタルを原発再稼働に集中するわけにはいかないので、再稼働への圧力は減るとの見通しを示している。
●原発の廃炉も課題に
なお、原発については再稼働が進められる一方で、原発の廃炉も課題となっている。昨年12月には、九州電力の玄海原発1号機(佐賀県)について、2043年度までに廃炉作業を完了するとの廃炉計画が初めて提出された。
物理学者・技術評論家の桜井淳氏は、日経テクノロジーオンラインの記事「原子力技術者の先見性と後進性 第3回 苛酷炉心損傷事故炉の廃炉に向けて」のなかで、通常停止した原発と事故を起こした原発とでは、廃炉の困難さが違うと指摘している。
玄海原発1号機のように老朽化などによって通常停止した原発の廃止措置については、複数の研究機関の評価や解体撤去実施例から、解体撤去に関する技術と費用、期間などが比較的よくわかっているが、苛酷炉心損傷事故炉の解体撤去例は世界中のどこにも存在しない。実に、福島第1原発1〜3号機の解体撤去が、世界初の事例となるのだという。
⇒ 原子力技術者の先見性と後進性 第3回 苛酷炉心損傷事故炉の廃炉に向けて
原発再稼働後の安全対策から原発の廃炉まで、原発をめぐる状況には依然として不確実性が存在する。引き続き、課題の解決と改善が求められていくことになりそうだ。
(構成=宮島理)
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★参考記事
田原総一朗:伊方原発再稼働で改めて問う!日本のエネルギー政策
轟音や暗闇も、福島第二原発のリアルな安全訓練
再稼働は限定的、「減原発」時代へ向かう日本
第3回 苛酷炉心損傷事故炉の廃炉に向けて
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それでも現政権で再稼働を止める声は聞こえない。
http://www.asyura2.com/15/genpatu44/msg/754.html