(CNN) 英ロンドンに拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」は19日までに、シリア東部の拠点都市デリゾールで過去数日間に、政権側戦闘員の家族ら少なくとも400人が過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に拉致され、近郊で殺害された恐れがあると報告した。
デリゾールはこれまでもたびたび戦闘の舞台となっていたが、人権活動家らによると数日前から特に自爆攻撃などが続発し、多数の住民が拉致されたり殺害されたりしている。
国営シリア・アラブ通信(SANA)も、デリゾール北郊のアルバガリエ村で女性や子ども、高齢者ら約300人がISISに殺害されたと伝えた。
SANAが17日に報じたところによると、シリア外務省は国連の潘基文(パンギムン)事務総長に書簡を送り、ISISが「民家に侵入して罪のない民間人の殺害を繰り返している」と訴えた。
シリア人権監視団やSANAからの情報を独自に確認することは不可能だ。シリア反体制派の別の組織などは、犠牲者の人数をこれより少なく見積もっている。
ISIS系のアマク通信は17日、政権側の戦闘員167人が死亡し、多数が負傷したと伝えた。ISISが同日公開したビデオには、重砲や戦車を使った戦闘や、政権軍が放棄した拠点の様子が映っている。
シリア人権監視団によると、政権軍は部隊を増派して防御態勢の強化を図っている。戦闘は18日になっても続いているという。デリゾール県の知事はロシア国営スプートニク通信に、政権軍がアルバガリエ村を奪回したと話したが、事実かどうかは確認できていない。
デリゾールでは大半の地域が1年以上前からISISに制圧されているが、一部の住宅地や南郊にある軍の飛行場は政権の支配下にとどまっている。戦闘は昨年10月から激化し、ISISが政権側拠点の地下にトンネルを掘ったり自爆攻撃を仕掛けたりしてきた。ISISは数週間前から攻勢をさらに強め、兵士の殺害や住民の拉致を繰り返している。
同市は隣国イラクや西方の歴史都市ホムスへの道路が交差し、重要な油田に囲まれた戦略上の要衝。米軍とロシア軍は数カ月前から集中的な空爆を続けている。ISISに占拠された地域では物資が不足し、住民らは苦しい生活を強いられている。
http://www.cnn.co.jp/world/35076413.html
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