WTI原油、30ドル割れ観測も 中東情勢緊迫も2週間ぶり安値
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SankeiBiz 2016/1/7 08:15
国際的な原油価格がサウジアラビアとイランの断交後も低迷している。指標となる米国産標準油種(WTI)は5日の終値で約2週間ぶりの安値をつけ、市場では今後、1バレル当たり30ドル割れの安値水準まで落ち込むとの観測が出ている。ただ、両国の対立で湾岸地域の緊張がさらに高まり、価格が上昇に転じる懸念も捨てきれない。原油の8割を中東からの輸入に頼る日本は気の抜けない状況が続く。
5日のニューヨーク原油先物相場は続落し、WTI2月渡しは前日比0.79ドル安の1バレル=35.97ドルで取引を終えた。外国為替市場でドルがユーロなどに対して上昇し、ドル建ての原油先物に割高感が出て売り注文が優勢となった。6日発表の米週間石油統計で原油在庫が増えるとの見方も売りを誘った。
経済産業省資源エネルギー庁が6日発表した4日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、昨年12月21日の前回調査よりも3円10銭安い120円40銭と、約6年7カ月ぶりの安値水準だった。原油安を反映し、10週連続の値下がりとなった。
中東情勢が悪化するなかで原油価格の下落基調が続くのは、米国のシェールオイル開発や中国経済の減速などが重なって原油が供給過剰になり、下落圧力が地政学的リスクによる上昇圧力を上回っているためだ。サウジとイランの対立で石油輸出国機構(OPEC)は減産に向けた調整がさらに難しくなり、下落に拍車をかける恐れもある。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは当面の原油相場について、リーマン・ショックの影響で2008年12月19日に記録した1バレル=32.40ドルを念頭に、下落が続くと予想する。今後、北半球で寒さが緩めば需給は一層軟化するため、「30ドルを下回る可能性も否定できない」と指摘。20ドル台に入れば約12年ぶりの安値水準だ。
一方、日本の原油輸入はサウジとイランが4割弱を占める。両国が直ちに供給を減らすことはないとみられるが、サウジ東部の油田地帯では石油関連施設へのテロ攻撃が懸念されており、情勢が悪化する恐れもある。石油元売り大手の関係者は「緊張が高まれば原油価格が上昇に転じ、ガソリン価格や電気料金にも波及する」と警戒を続けている。