国内の野菜摂取不足が課題となっている中、忙しいビジネスパーソンは、野菜ジュースとどのように付き合っていくことができるのだろうか。
野菜ジュースだけで野菜不足は解消できるのか?
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@DIME 2016/1/1 21:00 DIME編集部
普段、何気なく購入して飲んでいる野菜ジュース。近頃は、グリーンスムージーにジュースクレンズと、自宅で自作するまでに進化している。姿形を変えつつも、この野菜ジュースが未だに廃れない理由はどこにあるのだろうか?
また、国内の野菜摂取不足が課題となっている中、忙しいビジネスパーソンは、野菜ジュースとどのように付き合っていくことができるのだろうか。栄養士のアドバイスと共に、野菜ジュースの活用法に迫ってみたい。
■野菜ジュースはなぜ流行するのか
今年の春にカゴメが、アパレルブランドである「ジャーナル スタンダード」が手掛けるパンケーキカフェで、野菜ジュースを使ったオリジナルスムージーを展開した。近年のグリーンスムージーブームに乗った試みであるようだ。
また、昨年からジュースクレンズダイエットが盛り上がった。コールドプレス製法という、野菜や果物などを低速回転で圧力をかけ、栄養素や酵素を壊さずにジュースにする方法で作られたジュースを食事と置き換えて飲むことで、デトックスや美容効果を狙ったものである。
これ以前には、スムージーなど、野菜ジュースブームは形を変えて続いている。そもそも、なぜ野菜ジュースは流行するのだろうか? 野菜ジュースの始まりは、カゴメの野菜飲料の歴史に限っていえば1933年に発売されたトマトジュースが始まりだったという。その後、1970年代にトマトミックスジュースとしての野菜ジュースが発売され、1995年に現在も残る「野菜生活」が発売された。今、野菜ジュースといえばカゴメと伊藤園の商品が主流になっている。
そんな40〜50年ほどの歴史ある野菜ジュースだが、市販品、家庭でのジューサーやミキサーを用いた調理共に、未だに人々に飲まれ続けている不思議な飲み物といえる。その流行が途絶えない背景は、JC総研が2014年に実施した、「野菜・果物の消費行動に関する調査」結果からも知ることができる。調査を行った男女2097名のうち、「野菜不足を感じている」という人の割合が「不足気味」の人を含めて約半数を超えていたのだ。また、野菜不足の解消方法として、「市販の野菜ジュース等を飲むようにしたい」と答えた人の割合は20.3%だった、野菜ジュースはやはり、野菜不足の解消ニーズにピッタリくる飲み物のようである。
■野菜ジュースでは野菜不足は解消できない?
厚生労働省は一日の推奨野菜摂取量を350gと設定しているが、2012年の統計によれば国民の平均野菜摂取量は286.5gだった。まだまだ基準に満たない現状、野菜不足は自分からもっと積極的に解消していく必要がある。
マイボイスコムが2015年に行った男女11776名に対する「野菜ジュースの利用」についての調査によれば、野菜ジュースの購入理由で最も多かったのは「野菜不足を補うため」だった。次いで、「おいしい」「手軽に栄養素を摂取できる」「なんとなく体によさそう」「一度に多種類の野菜・果物が摂取できる(効率がよい)」などが続いた。このように、消費者は「野菜ジュースさえ飲んでいれば、野菜不足にはならないだろう」と野菜ジュースに対して、“野菜不足解消”の期待を大きく寄せていることが分かる。
しかし、一般社団法人健康栄養支援センター代表理事で栄養士の諏訪淳子さんによれば、野菜ジュースで野菜不足を解消するには、少々懸念点があるという。
「野菜を摂る上で重視したい栄養素には、ビタミンCと食物繊維があります。市販の野菜ジュースは加熱されていたり、濃縮されていたりするため、生野菜に含まれるビタミンCの多くは失われています。
また、野菜の水分を濃縮して作られている場合が多く、食物繊維がほぼ除かれているものが多くみられます。そのため、本来野菜から摂りたい食物繊維量は非常に少ないといえます。最近は、自宅でスムージーやコールドプレスジュースを作る方が増えていますね。この場合は、生で食物繊維ごと摂る場合も多いので、野菜から摂りたい栄養素は比較的摂りやすくなるでしょう」
野菜ジュースで野菜不足を完全に解消することは、なかなかむずかしいところがあるようだ。
■ビジネスパーソンが野菜ジュースと上手に付き合うためには?
では、忙しくあまり食事に気を遣う時間のないビジネスパーソンは、野菜ジュースとどのように付き合っていくのがいいのだろうか? 諏訪さんは次のことを教えてくれた。
「野菜を“食べる”ということは“噛む”ことです。咀嚼の効果は、脳の活性化や消化液の分泌など、体にとって有益なことが多く、また満腹中枢が働いて食べ過ぎを防ぐなどの効果もあります。ジュースにしてしまうとそれらの効果を得られにくくなりますので、まずはしっかりとバランスの良い、野菜たっぷりの食事を摂り、野菜ジュースは補助として利用するようにしてください。野菜ジュースに頼りすぎない食生活を送ることが大切です。どうしても野菜を食べる機会がない場合や、野菜嫌い、体調不良などの場合には、上手く野菜ジュースを利用されると良いでしょう」
グリーンスムージーやコールドプレスジュースなどは、栄養面で期待できるが、生の野菜を搾って飲むのは少々手間で、さらに保存が効きづらいという難点がある。その点、市販の野菜ジュースは職場にも持っていきやすく、手軽に摂取できるところがメリットといえる。まずは生の野菜を食べる食習慣をベースにし、野菜ジュースは補助的に活用しよう。
取材・文/石原亜香利
@DIME編集部