安倍政権の3年
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2015年12月26日 在野のアナリス
安倍政権発足から、3年が経ちました。安倍首相は「桃と栗は何とか収穫できた。官邸の庭の柿は渋かった」と述べました。しかし果実がつくとされる3年目、収穫する前に枯れてきたのが現状であって、株価は6月が最高値、今はそれより日経平均では2000円も低いレベルです。25日が年内受け渡しの最終売買日で、節税売りがあったとはいえ、ここまで安倍政権は12月が高値をとってきました。昨年は黒田バズーカ第二弾などもありましたが、今年は補完措置が不発に終わり、ここからいくら頑張っても最高値に届かない。収穫は今年で終わり、なのかもしれません。
国会議員にも育児休暇を、という話がでてきました。しかし国会議員は常用雇用ではありませんし、何より国会が開いていないとき、国会法では議員をしばる条件は何も付されていません。つまり何をしていてもよく、召集詔書があれば、その期日までに国会に集まるだけです。それこそ委員会に入らなければ、国会の開会に合わせて数日、顔をだせば済むのであって、子育てならできるのです。例えば病気になって、国会をお休みしていても病欠ではなく、単に国会に出てこないだけ。酷いことを言えば、サボっていても国会議員は身分保障のある立場なのです。
それを公的に「休み」と認めるか? という話であって、逆にいえば、非公表のまま国会をサボっているよりは、公にしてしまった方が有権者の選択の理由になる、ということかもしれません。育休をとった、という議員を有権者が支持するかどうか。その選択になるのなら導入する必要性があるのでしょう。ただ、国会議員は兼職が禁止されているだけで、基本的には暇を託つこともできる。委員会や、地元のために動き回っているのなら別ですが、そうではなく、本当にぐうたらで仕事をしていない人もいる。その線引きをどうするか? も合わせて考えないといけないのでしょう。国会議員には出席簿も、テストもない中で、優良な人材を見抜くためにも、国会はあらゆる情報をオープンにしていかなければいけない時期に来ているのです。
安倍氏がつけた果実の一つは、恐らく憲政史上初の、首相によるヤジ問題です。法律を通してもらうよう、政府は国会にお願いする立場であるにも関わらず、その相手に向かってヤジを飛ばす。国会まで支配したかのような、増長した気持ちが招いたことであり、我が世の春に結実した、一つの形でもあるのでしょう。国会軽視として、審議どころか国会すべてストップしても可笑しくない事例であるにも関わらず、これをあまり大きく報道しないメディアがいることは驚きでもありました。
もう一つ結実したのは、最近よく耳にする「決まったことだから…」という言葉です。決め方を間違えていたり、決まったことが正しくなくとも、「決まったこと」として批判も、反論もできないというなら、とても息苦しい国になった、ということです。新国立競技場でも、五輪があるから…、間に合わないから…、として反論できないのなら、仮に今後トラブルが出てきたとき、何が問題だったのか? も検証できなくなります。特に、安倍政権になってから、こうした理由も、説明もなく「決まったこと」に押し上げてしまう風潮が、より強まったと云えるのでしょう。それは上意下達、上からの命令に下の者は文句も言わず、つき従え、ということを国民へ刷り込もうとしているようにしか感じられない。メディアでも、ネットでも、盛んに使われるこの文言には、強い危惧しか感じない。ただ、政権側としてはそういう社会になることを望んでおり、それが着々とすすんできた、ということは言えるのでしょう。
桃は、実が熟す前のものは青酸化合物が含まれ、食べ過ぎると中毒症状を引き起こす、とされます。柿も、タンニンが含まれ、それが渋みとなります。栗は古より日本人が食してきた、縄文人の常用食ともされるものですが、実はその木自体が硬くて、建築材として古くから用いられるなど、人との生活に近いものでした。桃栗として収穫したのが、どちらかは分かりません。少なくとも、国会のヤジも、決まったことを批判してはいけない、という風潮も、どちらも根付かせてはいけないものであることだけは、間違いないことなのかもしれませんね。