暮らし全般の依頼に対応するためPA(パーソナルアドバイザー)と呼ばれるSGローソンの配送員。東京都世田谷区内の8店舗で展開中だ(撮影/編集部・吉岡秀子)
宅配に「届けない」新形態 背景には19.6%の再配達〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151227-00000001-sasahi-ind
AERA 2015年12月21日号より抜粋
ネット通販の満足度を左右する宅配サービス。2015年にはこの宅配にも大きな変化があった。自宅まで「届けない」究極の新業態も登場した。
ビジネスチャンスは「宅配」にあり。今年は数々の消費者向け物流サービスが誕生した。
アマゾンジャパンは11月、東京都内の一部地域限定で有料会員向けに1時間以内に食品などを配送する「プライムナウ」を開始。楽天も4月、郵便局内に楽天市場で買った商品を受け取れるロッカー「はこぽす」を試験的に設置した。運送業者が主役の物流業界で、ネット通販などの小売業者の存在感が高まってきたのがポイントだ。
きっかけは「19.6%」という数字にある。これはヤマト運輸、佐川急便、日本郵便が2014年12月に調査した「2回以上の再配達率」だ。ネット通販など消費者向け電子商取引市場が年13兆円規模に成長し、宅配物の個数はトラック運送荷物だけでも年約36億個に達した(14年、国土交通省調べ)。再配達で必要となる労力やトラックのCO2排出量は、国交省が今夏、改善に向けた検討会を開催するなど、社会問題になっている。
自宅を留守にするなら都合のいい時間に取りに来てもらおう――従来からの荷物の「留め置き」の発想が、今年は新サービスを生んだ。その立役者がコンビニエンスストアだ。
東京都世田谷区。住宅街の中を、青い斜め縞のユニホームの男性が荷台を押して颯爽と歩く。ローソンと佐川急便が6月に立ち上げた配送会社「SGローソン」の配送員だ。
「ローソン店舗の一部スペースを借りて、佐川急便の荷物をお届けして回るのですが、ついでに商品の注文を取ったり、家事代行サービスの仲介をしたりと“暮らしの便利屋さん”を目指しています」(運営部シニアマネジャーの戸津茂人さん)
いわば、宅配と御用聞きを合体させた新サービス。留守宅には「ローソン◯◯店でお預かりしています」とチラシを残して引き取りを促す。店舗は自宅から500メートル圏内なので、客は迷うことなく、好きな時間に来店。店舗としては客が荷物を受け取りに来た際の“ついで買い”が期待でき、元は取れる。