東京湾がドローンの墓場になる!?(C)AP
ドローン宅配で話題も…“特区”千葉市に気がかりな強風
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171805
2015年12月17日 日刊ゲンダイ
安倍首相肝いりの国家戦略特区で千葉市が手を挙げていた「ドローン特区」にゴーサインが出た。物流倉庫の多い東京湾臨海部との近さを生かし、ドローンで日用品や医薬品を運び、市西部の幕張新都心にある高層マンションなどに配達する実証実験を計画している。
千葉市はアマゾンや楽天などと組むというが、海に面した幕張はとにかく風が強い土地柄だ。JR京葉線海浜幕張駅に降りると風にあおられるのが日常だし、千葉ロッテの本拠地のQVCマリンではボールが風に振り回されてエラーが頻発している。そんな地域でドローンを飛ばして大丈夫なのか。
「具体化に向けて動き出したのは今年度に入ってからですが、千葉市はICT(情報通信技術)を活用した先進的な街づくりや企業誘致に力を入れてきました。幕張新都心の人口は現在約2万5000人で、2019年に若葉住宅地区で開発中の大規模高層マンションの入居が始まれば1万人増が見込める。東京五輪の競技会場にも決まり、モデル的ライフスタイルを提案するチャンスだと考えています」(千葉市政策企画課)
便利に越したことはないが、ドローンの事故は後を絶たない。9月には姫路城に突っ込んだし、前橋市内では開催中の自転車レースのコースそばに墜落して大騒ぎになった。ドローンは航空法で、地表や水面から150メートル以上の飛行を禁じられている。特区とはいえ、飛べる範囲はかなり限定されているのだ。ウェザーマップの気象予報士・佐藤大介氏はこう言う。
「気象庁の観測データによると、千葉市の年間平均風速は4.1メートル。東京都心部は2.9メートルです。地表より海上の方が風が強いうえ、その海風がダイレクトに入り込んでくる分、風速は大きくなる。地表から150メートル程度までであれば、一般的に高度が上がれば上がるほど風は強くなると考えていいでしょう」
千葉市の想定では、東京湾臨海部の物流拠点から海上約10キロの距離を飛ばして幕張を目指すという。風でコントロールを失ったドローンが空中をさまよって……。東京湾がドローンの残骸だらけに、なんてことが現実になりかねない。