<日銀短観>日本経済足踏み 3カ月後は「悪化」見込む
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151214-00000008-mai-bus_all
毎日新聞 12月14日(月)10時46分配信
日銀が14日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業でプラス12、大企業・非製造業でプラス25といずれも前回9月調査から横ばいだった。日本経済の回復が足踏み状態であることが裏付けられた格好だ。3カ月後の先行きDIは大企業の製造業、非製造業ともに悪化を見込んでいる。中国など新興国経済の減速懸念が依然根強いことが示された。
DIは景気が「良い」と回答した企業の割合から「悪い」の割合を引いた数値。大企業・製造業のDIは16業種のうち7業種が改善、8業種が悪化、横ばいが1業種だった。原油や鉄鉱石などの原材料安を背景に「化学」「鉄鋼」「食料品」が4〜6ポイント改善した。一方、中国など新興国の経済減速の影響から輸出割合の多い「電気機械」が9ポイント、「自動車」が3ポイント、「生産用機械」が10ポイント悪化し、製造業の景況感はまだらもようとなった。
大企業・非製造業は、12業種のうち改善と悪化がそれぞれ6業種と拮抗(きっこう)した。訪日外国人のインバウンド消費拡大を背景に「宿泊・飲食サービス」が1ポイント改善のプラス32と過去最高を更新。「不動産」は5四半期ぶり、「物品賃貸」は3四半期ぶりに悪化した。
中小企業のDIは、製造業がゼロと前回調査から横ばいで、非製造業はプラス5で2ポイント改善した。
2015年度の設備投資計画は、好調な企業業績を背景に高い水準を維持した。大企業・全産業では前年度比10.8%増。大企業・製造業は15.5%増と12月調査時点としては06年度(同16.5%増)以来の高水準で、大企業・非製造業も8.5%増と07年度(同10.2%増)以来の高い水準となった。
業況判断の前提となる15年度の想定為替レートは、1ドル=119円40銭と、9月調査(117円39銭)から円安方向に修正された。また、原油価格の一段の値下がりに伴うコスト削減により、今年度の経常利益率の見通しは14年度を上回って過去最高になる見通しとなった。【中井正裕】