農産品輸出1兆円 TPP大綱素案、中小の海外進出支援[日経新聞]
2015/11/21 13:30
政府が25日にまとめる環太平洋経済連携協定(TPP)対策の素案が明らかになった。中小企業の海外進出を支援し、支援対象の企業の8割以上が海外で取引先や市場を獲得するのを目標に掲げた。農産品や食品の輸出額は2014年の6000億円超から20年までに1兆円にする。TPPを契機に農家の不安に配慮しつつ、農業の成長産業への転換を進める。
対策は「総合的なTPP関連政策大綱」。TPPを「アベノミクスの成長戦略の切り札」と位置づけ、国内投資や生産性の向上で「実質国内総生産を押し上げることが期待される」とした。「国民の不安を払拭し、成長産業として力強い農林水産業をつくりあげるため万全の施策を講ずる必要がある」とも記した。
農業では米価下落を避けるため、輸入量の増加に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れる。牛・豚肉生産者の赤字を補填するしくみを法律で恒久化し、補填割合も現在の8割から9割に引き上げる。
中小企業の海外進出は、自治体や商工会議所が一体で支援。業績改善につなげるため数値目標を示し、支援対象の企業が経常利益で1%以上、付加価値額で3%それぞれ増やすのを目指す。
海外での入札機会の拡大を踏まえ、20年にインフラシステムの海外での受注を約30兆円にする。映画やアニメなどコンテンツ産業も、18年までに海外売上高を今の約3倍に増やす。
外資系企業との窓口に日本貿易振興機構(ジェトロ)は19年度までに470件の海外企業の誘致を目標とし、海外のマネーを呼び込むことにも努める。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS21H1B_R21C15A1MM0000/?dg=1