雑感。補正予算と高木復興相
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52745344.html
2015年11月01日 在野のアナリスト
高木復興相に、公選法違反疑惑が報じられます。慶弔費や供花代を収支報告書に記載していた、とのこと。当選6回、細田派、というだけで大臣になれたような人物ですが、メディアの身体検査には耐えられなかった。そもそも安倍政権では、復興担当相はお飾りの名誉職ですが、不名誉な実態が次々と明らかになり、通常国会までに更迭が確実となったのでしょう。
30日、突如報じられた補正予算、事前に検討の報はありましたが、日銀の金融政策決定会合で、現状維持に合わせるよう市場が予想した規模より少し大きめに、といった念の入れようです。新規国債の発行なしに3兆円規模、としますから予備費や税収の上ぶれ分などを用いるとみられますが、恐らく昨年度までは税収が上ぶれしますが、今年度からはそうもいかない。企業の想定為替レートが、120円ぐらいになっているためで、下手をすれば為替が減益要因になりかねません。これで法人税減税などすれば、Wショックで税収は目減りしていくことでしょう。
問題はその使途で、介護施設の充実や大都市圏のインフラ整備、TPPの国内対策費ですから尚のこと景気刺激に乏しい。大都市圏のインフラ整備は、東京五輪関連も含まれるとみられますから規定路線ですし、介護施設を充実させたとて介護離職が減るわけでもない。介護報酬が増えない、また年齢や経験を重ねると給与が増える、といったことでもない限りは介護従事者が報われることがないので、人材の使い捨てのような状態はつづきます。TPP国内対策費は「攻めの農業」という言葉だけが踊り、具体的にどうすればそうなるか? ということが語られない。小手先の改善では、もう立ち行かないことが自明ですから、その具体策が出るまで評価は不可能です。
早くも出てきたのが、1億総活躍という名目でどう予算をとるか? という省庁の動きです。1億担当部署などができ、予算分捕り合戦が活発化している。安倍政権では、特にこうした看板がぽんと出るので、その名称に応じて予算はとるものの、実はまったく別のことにつかう予算がまかり通っている。政策効果がないばかりか、本来ならそれを監視する政治家の能力もない。それは自分の政治資金さえ、公選法違反の疑いがある支出を堂々と記載するぐらいのどんぶり勘定です。
しかも船頭が多くて、1億総活躍も、結果的にどの省庁が責任をもって担当するか、未だに不明です。横断的に…といっても、担当大臣の能力不足が顕著な中、担当大臣まで予算の分捕り、縄張り争いにかまけていれば、実行性が現れるはずもあありません。安倍政権の病巣である、この責任の所在が不明という事態が、ますます悪化しているのですから補正予算もただばら撒く、というだけで終わるのでしょう。先週末、米株の仕上がりが悪く、シカゴ日経平均先物は19000円を100円以上下回って、返ってきます。株価維持には日系の頑張りにかかってきますが、日銀の非協力ぶりと補正予算の実態をみるにつけ、年末2万円予想は儚くなってきた、というところなのでしょう。閣僚の首がころころすげ替わる安倍政権では、1億どころか閣僚2、3人でさえ活躍させるのが難しい、ということなら、株価の復興は成し遂げられないのかもしれませんね。