サンマの漁獲量は激減(C)日刊ゲンダイ
専門家は「養殖頼る時代」危惧 天然サンマが食卓から消える日
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2015年10月21日 日刊ゲンダイ
秋の味覚が日本から消滅するかもしれない――。全国のサンマ漁獲量は、漁が本格化した8月以降、およそ5万5000トンで、前年から半減した。
記録的不漁だった2013年(およそ8万750トン)より少ないため、価格も品薄感により、市場では昨年の1.5倍に跳ね上がった。
サンマ不漁の背景には2つの原因が浮かび上がる。「異常気象による海水温の変化」と「台湾、中国などの海外とのサンマ争奪戦」である。
「サンマは北海道のような冷たい海で水揚げされますが、温暖化による海水温の上昇で、漁獲される岸近くの水温が温かくなった。サンマの群れは水温の低い沖を回遊しているので、岸近くに来る資源量が激減したのです。また、公海でサンマ漁をする台湾や中国の大型漁船が大量に捕獲しているのです」(北大名誉教授の尼岡邦夫氏=魚類学)
サンマの魚群が沖合にある以上、日本の“資源量”は減る一方だ。
「近い将来、島国ながら、日本では天然魚が食べられなくなる」と警告するのは、消費者問題研究所代表の垣田達哉氏だ。
「台湾、中国、韓国などの東南アジア諸国は魚が重要な食資源です。彼らは沖合のサンマの魚群を桁違いに捕獲し、日本は危機感を募らせながら手だてがない。そのため近い将来、サンマは養殖に頼る時代が来るかも知れません」
庶民の味といえるのは、今だけかもしれない。