中国の為替操作
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52744517.html
2015年10月20日 在野のアナリスト
1年前に経産大臣だった自民党の小渕議員が、辞職した1年後にやっと記者会見を開きました。小渕氏が依頼した第三者? 委員会の報告をうけたものですが、秘書への地裁判決が出た後、という調査の遅さもお粗末ですし、判決で「裏金捻出が目的」と指摘されたことについても、また使途不明金があることすらも何も分かっていない。調査自体もお粗末と言わざるを得ません。
後援会から「群馬のために頑張れ」と言われ、身を粉にして働く、と決意を述べたそうですが、この認識からして謝りです。国会議員は国政を担うのであって、群馬のために働くのではありません。後援会に先に説明したことも、国民より身内、と国会議員の資質としても疑問符を生じるものです。高木復興大臣も、週刊誌で報じられた下着ドロの件で記者会見していますが、臨時国会を開けないのは、こうした安倍政権に携わる、携わった人間たちの資質に問題があることが、そもそもの原因なのでしょう。しかし疑惑が報じられ、きちんと説明できないようでは、「身を粉にする」どころか「プライドを粉々にされる」ということを肝に銘じておくべきなのでしょう。
中国の習近平国家主席が、英国を訪問しています。仏国主導の原発建設に中国は33.5%を出資、その見返りとして新設の原発計画に、原子炉を収める契約を勝ちとるなど、シンガポールの高速鉄道計画受注と同じように、なりふり構わぬ受注獲得をすすめます。勿論これは中国が過剰設備に陥り、少しでも輸出しないとさらに景気が下押しする、負の連鎖に陥りかねないためで、英国もそれを重々承知した上で、安価な中国製をつかうとの決断をしたものと思われます。
しかし中国に関して、米国で複数の報告書がでてきました。米中首脳会談でサイバー攻撃はしない、とした中国は未だにサイバー攻撃をつづけている事実。そして為替報告書で、中国は9月だけで1200億$近くを売りこし、人民元安に誘導した、とされます。さらに8月だけで2000億$の資金が流出した、とされるなど、中国景気の減速を色濃く報告書内に盛りこんだ。サイバー攻撃と合わせると、中国を為替操作国と認定できる材料は、米国も整ったことになります。
一方で、この為替報告書で韓国にも為替介入の抑制をもとめ、日本の円も過小評価としています。その中で、日本は債務削減目標に固執すれば、景気回復とデフレ脱却を脅かしかねない、と注釈を加えるとともに、柔軟な財政政策で『金融政策や円安による外需主導の成長への、過度の依存を避けられる』としています。つまり日本は金融政策、円安に『過度に』依存している、と認めていることになり、日銀の金融政策にも重石になりかねない文言とも読み解けます。
為替操作はしていないものの、円は過小評価されている、とするのも日銀にとっては逆風でしょう。為替報告書は政権も重視するものであり、日銀が動くと、米にとっての心証も悪くなる。そしてここで警戒すべきは、米国が何らか、中国へ圧力をかけるケースです。為替操作国認定がされ、米国が中国の貿易に制限をかければ、それは中国景気をさらに減速させ、ひいては日本にも波及する問題となるでしょう。中国が底抜けしてしまう懸念は高まってきてしまいます。
カナダの総選挙で、政権交代となります。今のところ新政権側はTPPに関して、あまり良い印象をもっていないと伝わり、批准にも逆風です。『過度に依存する』外需主導の成長、その象徴がTPPということなら、安倍政権にはダブルで逆風ともなってきます。米国で高まる中国への圧力、欧州ではそれでもまだ中国の成長に依存しようとする。その間で、日本も中国との付き合い方を考えていかなければいけません。そうでないと、中国の減速で日本経済も木っ端微塵にされてしまう。『外需』に過度に依存していれば、そうなってしまうことが警戒されるのでしょうね。