人生最大の買い物だけに…(C)日刊ゲンダイ
マンションが傾いたら…リスクの減らし方を専門家が指南
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2015年10月17日 日刊ゲンダイ
三井不動産グループが2006年に販売した横浜市都筑区の大型マンションが傾いている問題。基礎工事を担当した旭化成建材がズサンなくい打ちをしたせいで、“夢”が“悪夢”のマイホームに。そのうえ「まさか」の超大手不動産会社だけに、もう何を信用していいのか分からなくなる。
「くいがきちんと地盤に届いているかなんて、プロでもなかなか見抜けない。実際のところ、工事に関わった末端の会社に至るまで問題がない物件を選ぶのは、かなり困難な話です」(不動産業界関係者)
庶民にとって人生最大の買い物に傾かれたら、たまったものじゃない。リスクを少しでも減らせないものか。住宅評論家の櫻井幸雄氏が言う。
「今回のようなケースを購入前に見抜くのは難しいですが、ただ、私がこれまで見聞きしてきた工事ミスや欠陥住宅は、相場が安かった時期の物件というケースが多い。最近なら03〜04年と、リーマン・ショック以降にマンションが売れなくなった2010年の物件です。売れない時期はどうしても安く造らざるを得ないし、そうなると、下請けや孫請けに流れるお金が少なくなる。10回やるべき検査を5回で済ますなどの“手抜き”が起こりやすくなるわけです」
■不動産会社はどう選ぶ?
中古物件を検討しているのなら、要注意だ。
新築の場合、事業者が構造上主要な部分の瑕疵に対する10年間の瑕疵担保責任を負うと、法律で決まっている。要するに買ってから10年以内にマンションが傾くような問題が起きたら、タダで補修してもらえるというわけ。万が一、その間に事業者が倒産しても、2000万円までの補修費用は保険で支払われる。とはいえ、それも10年以内という条件付きだ。
「やはり問題が発覚した時に潰れない、逃げない不動産会社の物件を選ぶというのが、一番のリスクヘッジでしょう。親会社が財閥系、鉄道系など後ろ盾がしっかりしている会社なら、10年を過ぎても、世間体を気にして補修に応じてくれる可能性が高い」(前出の櫻井幸雄氏)
今回の“傾斜マンション”の補強、改修費用は旭化成建材が全額負担するというが、工事にはおおむね1年前後かかるらしい。住民が一時退去することになったら、その費用だってかかる。不動産会社、建設会社に“財力”があるかどうかは、チェックしておいた方が無難だろう。