日経平均の反発
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52744088.html
2015年10月15日 在野のアナリスト
安倍首相がJA全中で挨拶をした、との報道は多いですが、そこでヤジをとばされた件について報じたところはごく一部。見事にそろって報道規制がかかったようです。TPP合意をうけ、JA内に高まる不満が噴出したとしても、一向に不思議はありませんが、それすら安倍政権下では禁忌扱いをうけるようです。それが政権への配慮なのか、TPPで恩恵をうける大広告主への配慮なのか、は不明ですが、事実も報じられないようではマスコミとしての価値もないのでしょう。
安倍氏は産業競争力会議でも挨拶していますが、成長戦略が「新たなステージに入る」とし、「カギは生産性革命」として人材やITへの積極投資を促すそうです。しかし安倍ノミクス旧3本の矢の成長戦略は「なかった」のであり、「新たな…」どころか、いつ始まるのか? がカギです。生産性革命どころか、成長戦略をどうつくっていくか、その成長戦略を産みだすのに革命が必要なほど、硬直した思考、発想しかない。今さら人材やITなど、手垢のついた話をもちだす時点で、何の期待ももてないことが明白です。しかもまた「デフレ状況ではなくなりつつあり…」という話をもちだしましたが、生産者物価の大幅下落など、明らかにデフレに陥りつつあります。
日経平均が急反発しましたが材料もなく、理由が不明とされます。ただこれは単純で、最近の動向は日系の大手証券1社の動向で決まることが多い。昨日、一昨日はそこが日経225先物を2000枚以上売ったので下がり、今日は2000枚以上買ったので上がった。買いの筆頭、売りの筆頭に名を連ねることがここ数ヶ月で一気に増え、しかも決まって1日の傾きが2000枚から2600枚に収まっている。ここ数日の上げ局面で堪った買いをはきだし、ポジションが軽くなったので、今日は買いの余裕がでた、となります。朝方からしつこく買ったのはこの主体で、ほぼ間違いありません。
しかし為替は欧州市場で一時、118円割れを試しにいくなど、ふたたび市場が不安定化していることが顕著です。昨晩は米小売売上高が予想外にマイナスと、世界全体に消費不況の波が襲いつつあり、輸出入など貿易の停滞も意識される水準に来ました。為替市場が先にリスクオフの動きに傾くのも自然な流れです。最近、株式との連動も薄れましたが、今は米国のスニーカー市場のように、一部の投機的市場は活況という二極化を示している。金余り下の不況、という状況によって、新たな動きが出つつあり、その一環として株高も維持されているのような状況といえます。
米企業決算も始まりましたが、米小売大手のウォルマートが見通しを下方修正したように、より消費者に近いところから苦境を感じ始めているのでしょう。金余りでデフレ、これが世界の新常態になりつつあり、投機的には上げたくても、実体経済の悪化がそれを許さず、そのことで市場が弱含み、投資を減退させて市場全体が地盤沈下を起こしかけている。日本でも短期の動きが活発でも、売買高がまったく伴いのは、長期の資金が逃げているため、というのが現状です。
日系の大口資金が、首をかしげる局面で反対に動くことで、やたら値動きを大きくしている。VIX指数が下がっても、日本の不安定感はつづくのでしょう。成長戦略なき安倍政権により、日本市場でも少子高齢化がすすんでいます。本来、成長すべき子、つまり新興企業が大事にされず、老体になって機動力も失った大企業が、安穏と生き延びる。新陳代謝を失った市場をまず革命しないと、日本にとっての成長は想像しえないのでしょう。とはいえ、その古ぼけた大企業は自民党の献金元であり、切ることができない。人材やITに変革が必要なのは、実は国会なのかもしれませんね。