中国の天安門広場前(C)AP
写真撮影が最も危険 日本人が「中国でやってはいけない」こと
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/165381
2015年10月8日 日刊ゲンダイ
中国で邦人3人が「スパイの疑い」で拘束された事件。神奈川県在住の元脱北者の男性は、北朝鮮との国境付近の遼寧省・丹東付近で捕まり、愛知県の男性は浙江省のナンキ列島の軍事施設周辺で大量の写真を撮影しているところを見つかった。さらに北京でも日本人男性が拘束されているとみられる。この手の“事件”は初めてのことではない。2010年には、建設会社フジタの日本人社員が河北省で軍事管理区域に侵入したとして拘束されたのを覚えている人は多いはず。
実は昨年11月、中国は「反スパイ法」を制定。スパイ容疑に関わる取り締まりを一段と強化したばかり。今後は、外国人監視がさらに厳しくなり、日本人がバンバン拘束されかねない状況となったのだ。
万が一のとき、もはや「知らぬ存ぜぬ」は通用しない。スパイ容疑なら、数十年の投獄もあり得るというから、考えただけでゾッとする。観光やビジネスで渡航する際、絶対に“やってはいけないこと”は何か――。
一般人にとって、最もリスキーな行為はやはり、“写真撮影”だ。周囲の看板に「軍」や「管理」などの漢字があれば撮影はやめておくのは当然。入国前から注意を払わなければならない。
「中国には、大連空港のように軍と民間の共用飛行場が多数あります。日本でいえば、那覇空港や小松空港です。軍用機、レーダーなど写されては困るものがたくさんある。撮影禁止の機内放送も流れますが、観光客は軽い気持ちで撮ってしまう。数枚ならデータ抹消やカメラ没収で済みますが、趣味でも多数撮っていたらスパイとみなされ拘束されるでしょう。滑走路の長さを把握されることも嫌がります。離陸前に飛行機の中から飛行場を撮るのも禁止です」(中国・長沙民政職業技術学院の伊藤茂教授)
■拘束どころか死刑のケースも
ほかにも、山の上に北朝鮮や韓国に向けたレーダーが立っていたりする。コレにカメラを向けるのもほぼ“アウト”。軍区の外でも、むやみやたらな撮影は危ない。
「共産党幹部の住居地区である北京市の中心部・中南海エリアや、北京にあるスパイ養成大学の『外事学院』は観光バスが普通に通る場所にあります。ガイドも、“スパイ学校”とは説明しないので、知らずにカメラを向けることはある。ですが、撮影すれば拘束のリスクは高い。特に生徒と教員の顔は明かされれば大問題ですから。また、“スパイ容疑”ではありませんが、天安門の毛主席紀念堂で毛沢東の遺体の撮影はタブー。ある種、“国家の最高機密”でもあり、撮影してはいけません。もちろん、スマホもダメです。10年のフジタ社員の事件時は尖閣問題で日中関係が冷えていたため、報復のようにとらえられました。“知らずに撮った”だけでも、情勢により長期拘束もあり得ます」(伊藤茂教授)
■拘束では済まない場合も……
拘束どころか“死刑”も覚悟しなければならないケースもある。「薬」と「売春」だ。拓大教授の富坂聰氏(現代中国)が言う。
「知人であっても絶対に他人の荷物を預からないことです。麻薬運搬罪に問われれば、死刑の可能性があります。また、接待などで売春街に複数の知り合いを引き連れていくのは危険です。自分も客のひとりのつもりでも、お客さんを率先して連れて行った組織犯罪とみなされ、斡旋容疑でこちらも最悪死刑に問われることがあります」
楽しい旅のはずが、一瞬で人生がパーに。中国に行くときは、下調べと細心の注意を忘れてはいけない。