タリバン掌握の北部都市 アフガン政府「奪還した」 戦闘部隊の再駐留求める声
【ニューデリー=黒沼勇史】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンに掌握された同国北部の都市クンドゥズについて、アフガン政府は1日「奪還した」と公表した。タリバンは市郊外で戦闘中と否定するが、中心部は政府軍側に戻ったもよう。米特殊部隊の支援などが奏功したとみられ、昨年末に戦闘任務を終えた国際部隊の再駐留を求める声も高まりそうだ。
アフガン内務省は1日早朝、「アフガンの特殊部隊がクンドゥズ市を奪還しテロリストを一掃した」と公表した。米軍の夜通しの空爆の後、午前3時に政府軍が市内に入ったという。ただタリバン側は声明で「市郊外では米軍とイスラム聖戦士の戦闘は続いている」とし、市全域の奪還には至っていないようだ。
米軍は軍用ヘリから落下傘部隊も投入し奪還作戦を敢行。地元報道によると市民らも少なくとも40人が死亡した。ロイター通信によると、タリバン戦闘員は150人が死亡し90人が負傷した。クンドゥズ市を州都とするクンドゥズ州の他地域には依然、タリバンが優勢な地区も残っている。
タリバンの攻勢が始まったのは9月28日未明。政府軍が反撃を始められたのは、米軍中心の北大西洋条約機構(NATO)軍が空爆を始めた29日以降。政府軍独力での抗戦は難しかったようだ。
NATO軍は昨年末にアフガンでの戦闘任務を終了し、現在は米軍9800人を含む約1万3千人が残り、政府軍の訓練やテロ対策を実施するのみ。オバマ米大統領は2016年には駐留米軍を完全撤収させる方針を堅持し、アフガン情勢の悪化が懸念されていた。アフガン外交筋は今回のクンドゥズ陥落を受け「治安維持には国際部隊が必要」と話している。
[日経新聞10月2日朝刊P.7]